Photo 「ナクしもの」
by dokonidemo
カッツも私も実家に暮らしてたけれど
私はカッツの実家に出入りしていた
どこの馬の骨とも判らない女が
かわいい息子の部屋に勝手に上がりこんで居るわけだが
両親や兄弟皆私をむしろ歓迎していた
私はそれまでも彼の家族に好かれはしても嫌われたことが無かったので
この時は気にもとめなかったが
仕事をサボり遊び歩いていたドラ息子がちゃんと家に帰る様になり
私に感謝していた様であった
といっても入り浸っていたわけではなく
仕事の合間に週に1~2回立ち寄る程度であった
しかし彼は私を待ち比較的帰宅していた様だった
とある日
カッツの部屋に行くとベッドサイドに見慣れぬイヤリング
しかも片方だけ
『ふーん・・・』
女がベッドで寝る時に
普通に外して置いただけなら両方のイヤリングを置き忘れる
片方のイヤリングは私への宣戦布告であることは間違いなかった
彼はその小さなイヤリングに気づいていない
私は少し考えて・・・
そのまま沈黙した
布告など受ける必要も無い
イヤリングは彼の部屋の定位置からは死界に置いてあった
拾ってきた女にそれはできない
その日私はそのまま帰り・・・
次に彼の部屋を訪れた時
カッツは言った
「千夜イヤリング忘れて行ってたよ?大事な物じゃないの?」
私は心の中で笑っていた・・・でもそれを微笑に代えた
「あぁ・・・この部屋で片方失くしたみたい
同じのあったら拾って欲しいと思って・・・いい?」
二つ返事で了解した彼はホッとした顔をしていた
私はワクワクしていた
イヤリングの持ち主が
いつしびれを切らし現れるかと
イベントを楽しみに待っていた
それはそう遠くはない未来だった
そしてその期待するイベントの前に更にイベントがあったのだった
私はこの時に何故
こんなに卑劣でイヤラシイ人間だったのか
未だ理解できないが
多分裏切られることに慣れすぎていて
笑ってることしかできなかった
それは転んで膝を思い切り擦り剥いて
痛さのあまり笑ったかの様に・・・
私とまともに向き合ってくれる人なんて
ドコニモイヤシナイ
・・・つづく