私の修業時代 第21話 波瀾万丈の初出勤
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あらすじ
1987年昭和62年に高校を卒業した私は、横浜の調理師学校へ入学し、スペイン料理店でアルバイトをしながら少しずつ新生活になれて来た頃には就職活動。不採用になったりいろいろ経験し無事に就職先も決定したのでした。そして入社式の朝、、。
4月1日 入社式
寝坊して人事部からの電話で起こされ慌てて出勤。
ホテルに着いた時は、入社式は終わっていて、新入社員は宴会場で研修中でした。
今後のスケジュールや業務説明が行われて、
ホテル内の宿泊、フロント、総務、調理部、、各部署からスタッフが仕事の内容や他の部署との関連性を話している時、、私は遅れて来て新入社員の空いている席に滑りこみました(汗)
田盛と宮脇君の間の席が空いてました!
私が席に着くと進行役の総務の方が時計を見て、
『じゃあ、今から10分程休憩〜!』となりました。
『 終 わ っ た な。』と、
私を見て田盛は不敵に笑ってます。ライバル争いから1人脱落しましたからね…。
隣の宮脇君が、
『流石だねぇトミちゃん。田盛から聞いたけど成人式とか卒業式とか、◯◯式には来ないタイプって聞いたけど入社式は来ないとまずいっしょ〜』
いやいや誤解だって!今日は誰よりも早く来るつもりだったよ!←心の中で叫びました。。
私も開き直り、
『田盛、起こしてくれよ〜!モーニングコール無かったぞ〜』と、強がって言いました。まったく反省してない野郎です。
もしかしてサテライトホテルから門前払いか?と最悪の事態を考えましたが、なんとか研修に参加させてもらえるようです。。
ふぅ、危機一髪でした(汗)
しばらくしてまた研修が再開され、最後に清水総料理長が壇上に立ち話はじめられました。
清水総料理長は私よりも小柄で、とても優しそうな人でした。私達の倍以上もある高いコック帽を被り、私が今まで出会った料理人のイメージと180度違う人でした。
清水総料理長のお話は、、
『調理部の新入社員の皆さん入社おめでとう!
サテライトホテルにはプロ野球選手をはじめ、いろんな方が宿泊されレストランを利用されます。
例えば、、
ヨコハマスタジアムで試合が終わるのが遅くなったら選手達に合わせて食事を提供するので、その時は調理部も待機したり泊まり込んだりする必要があります……
…レストランからは以上です。』
『 あと最後に、
レストランの料理人は人数が足りているんだけど、ベーカー部門(ペストリー)、ケーキやデザートを担当する部門をベーカーと言うんだけど、スタッフが足りてません。
誰か調理部からベーカー部門に1年間手伝いに行ってくれる新入社員はいませんか?
ケーキやデザートを勉強してると、料理の方に戻った時に盛り付けや色彩感覚などきっと為になるよ。
コース料理ではデザートが最後のしめくくりで、デザートはコース料理ではとても重要だよ。
誰かベーカー部門にお手伝いに行ける人いますか?』
『はい!、私手伝います!』
『ありがとう。君は、、冨高君だね。きっと自分の為になるよ。』清水総料理長はそう言ってくれました。
そうなんです!
ケーキを作った事もない料理人志望の私が、
ベーカー部門の配属に立候補したのでした。