Winterecord -18ページ目

浅田次郎(2007)『輪違屋糸里』文春文庫

司馬遼太郎(1999)『日本人への遺言』朝日文庫

浅田次郎(2002)『壬生義士伝』文春文庫

オルテガ(2002)『大衆の反逆』中公クラッシクス

大衆の反逆 (中公クラシックス)/オルテガ

¥1,365
Amazon.co.jp

 著者はスペイン人の哲学者。近代社会に生まれた「大衆的人間」について論じ、人間社会の将来を憂う。
 筆者はまず、すべてはヨーロッパ社会において「以前は支配されていた凡庸な人間が、世界を支配しようと決意した」ことに起因すると考える。そして、この「凡庸な人間」たちこそ、「大衆的人間」であり、「甘やかされた子供」であり、「贅沢が人類のなかにつくりだした奇形の一つ」であるとする。
 更に我々が今一度憂慮すべき、恐るべき問題として、「社会の主導権が文明の諸原理に全然関心のないタイプの人間に握られたということ」を挙げている。この事態が、世界は文明化しているが、そこに住んでいる人間は未開人のままである、という逆説的状況を生んでいるのだ、と。
 また、本書で触れられているウォルドー・フランクによる「ヨーロッパ合衆国の成立」の指摘には、そら恐ろしくなってしまった。

 そして最も驚くべきは、本書が発表されたのは未だ第二次世界大戦も始まっていない、1930年であるということだ。彼が表現し、揶揄する事態は、我々が生きる21世紀にこそ正鵠を射ているのではないだろうか。
 10年後、20年後の再読を要する一冊だろう。

ダンサー・イン・ザ・ダーク(00丁)

<ダンサー・イン・ザ・ダーク/ビョーク

¥3,100
Amazon.co.jp

 主人公セルマは息子と共にで貧しいながらも、幸せに暮らしていた。しかし彼女は近い将来、失明する運命にあったのだ。アメリカ田舎町で繰り広げられる、悲しいシングルマザーの物語。
 全体として暗い画面が続くが、時折ミュージカル調の晴れやかな主人公の心理描写が行われる。こうした表現技法は、映画ならではの醍醐味だろう。
 隣人との諍いから裁判にいたる顛末に流れる圧倒的な閉塞感が強く印象に残った。小さな田舎町の中で、淡々と展開されていく凄惨かつ理不尽な光景に「魔女裁判」を思い出した。