日々感じたこと・読んだ本 -18ページ目

『すべての罪は血を流す』 S.A.コスビー(㈱ハーパーコリンズジャパン 2024.5.20発行)

「このミステリーがすごい」1位の著者の最新作ということで、書店で手に取り、読んでみました。

 

結論: とてもよかった。

アメリカ南部で、2020年の今でも黒人差別が残る小さな町で、その町を守る保安官となった黒人保安官タイタスが主人公です。

目を覆いたくなるような猟奇的な殺人が続くこの町で、住民を守る使命を自分に課し果敢に犯人捜査に挑む「虐げられた側」の黒人であるタイタス。

推理小説としても面白い上に、アメリカ南部を覆うダークな気分(なのか?)が作品世界を覆い、「故郷」と「社会正義」と「人種間対立と暴力」。さらには事件に直接関係のある「銃犯罪」「幼児虐待」「児童ポルノ」「麻薬」など、今のアメリカの社会問題が噴煙を上げているようなとんでもない世界が描かれている。

 

そんな中で、タイタスの人間性、行動、そして数少ない彼の部下たちの心意気は、健気で哀しくも、尊さを感じさせてくれた。

 

悲惨な殺人事件にいたたまれなくなる物語だが、なぜか読後感は、タイタスの「人として」の勇気と行動の尊さを感じる、さわやかなものとなった。

 

素敵な物語を書いてくれた著者 S.A.コスビーに感謝☆彡

今度は彼の別の作品も読みたくなりました。

 

今野敏 『無明 警視庁強行犯係・樋口顕 』(幻冬舎文庫 こ 7-9) を読んで

相変わらずなヒューマンな物語の筋です。

一度所轄が下した「事故死扱い」に「殺人」の可能性を感じてしまった主人公が、

自分の信念と組織の体面の間で揺れ動きながらも、ひとつづつ真理に迫る。

その物語の展開が胸を打ちます。

泥くさくて、不器用で、正直な主人公・樋口顕刑事の孤高の調査。

その背中から、人として、社会にどう貢献するか、を学ぶことができます。

 

 

今野敏 『石礫 機捜235』を読んで

機捜235シリーズの二作目が11月12日に文庫本化されたので早速読みました。

 

相変わらず面白いです!

警察と新聞記者との抜き差しならない関係、

警察の本庁と所轄との関係に加えて、

今回は、警察内の部署間の関係などまでわかって、なんだか得しました。

 

今野さんの警察小説って、けっこう昭和っぽい体育会系の話が多く、

ぶっきらぼうで不器用な主人公が警察組織の中で呻吟しながら、それでも社会秩序を守るため

汗臭く戦う漢っぽさが底流にありますよね。

 

今回は、中年過ぎて出世も期待できない縞長さんが、いい味だしています。

 

ちなみに、この小説は、札幌出張時に読んでいたため、どうしても

北海道の妖精のような可愛いもふもふな小鳥「シマエナガ」とダブって、ほほ笑んてしまいました。

 

もしかして北海道出身の今野さんも、そこから着想を得た!?

 

ラストが、今後に希望を持てる終わり方なので、それが読後感を爽やかに穏やかにしてくれます。