西田社中 夏の稽古茶会
~幕末に思いを馳せて〜
茶会の2ヶ月程前に先生からお役を仰せつかりました時には、まだまだ経験の浅い私には自信のないことでしたが、先生ご指導の元、皆様方に支えて頂き、なんとか当日を無事に終える事ができました。
先生より、ブログ上にて写真と共に振り返りの機会を頂きましたので、亭主の立場から今一度皆様と想い出を共有させていただきたく、お付き合い頂けますと幸いです。
■ 待合での様子
↑)待合の軸は「日本開港100周年記念切手」。
「会記」を書くことにも挑戦し、字が苦手な私にとって至難の技でした(泣) 巻紙2本使う始末です(;_;) こんなに習字を習っておけばよかったと後悔したことはありません(>_<)
↑)お気に入りの鳩居堂の文箱に、宮尾登美子さんの「天璋院篤姫」の小説を忍ばせて、待合の趣向とさせていただきました。今年に入ってからNHKオンデマンドを利用して、立て続けに幕末の大河ドラマを観てきたのですが、宮尾先生原作の2008年 NHK大河ドラマ「天璋院篤姫」に強く引き込まれ、この篤姫が徳川将軍家への輿入れのため 故郷の薩摩を出立したのは、この茶会の日と同じく8月21日。これを知った時、この茶会は篤姫だ!チャレンジしてみよう!と覚悟したのでした。
↑)待合軸に使った「開港記念切手」は3種類の絵柄です。
一枚は日本の開港に貢献した当時の大老・井伊掃部頭直弼の銅像。最初に開かれた港のひとつである横浜に鎮座しており、没後50年にして彦根藩有志により建立されました。桜田門外の変で生涯を閉じた直弼を想うと、横浜に彼の銅像があるという事に、なぜか報われたような気持ちになりました。
もう一枚は、当時の幕府所有の軍艦「咸臨丸」、初めて太平洋を渡った日本の船です。なんだか夢を感じます。
最後の一枚は、日米修好通商条約に際して咸臨丸でアメリカに渡った使節団、ワシントンでの大統領謁見の様子。
↑)そして、待合での汲み出しは、ラムネを用意しました。
日本が開国に至る大きな要因は、1853年にやってきたマシュー・ペリー率いる黒船来航でしたが、そのペリーの大好物がレモネード。当時日本にやってくる時も船にレモネードをたくさん積んできたそうな。
炭酸飲料に馴染みのなかった日本の幕臣達は、レモネードをお土産に頂き、開栓時の「ポン!」という音をピストルの音だと勘違いし驚いたそうです!そのレモネードという言葉が訛り、「ラムネ」となって今も日本で親しまれています。
せっかくですのでお客様の目の前でポン!という開栓の音を聞いて頂きました。
↑)暑い時期でもありますので、皆様スッキリする〜とお声を頂き ホッ(^.^)
↑)お正客様のみですが、汲み出しのグラスは「薩摩切子」をご用意しました。
薩摩切子は、薩摩藩主・島津斉彬がたいそう力を入れた工芸品です。
開港をした日本にとって何か高級な貿易品をという思いで力をいれ、薩摩の事業の一環としました。
島津斉彬が篤姫の養父であり、島津家分家の娘であった「お一(おかつ)」(のちの篤姫)を徳川将軍家に輿入れさせた立役者である事は、言うまでもありません。
↑)近衛忠煕公筆、表題は「寄鶴祝」。
近衛家と言えば五摂家のひとつ。薩摩の島津家とは縁の深い間柄でした。そして近衛忠煕公は、篤姫の二人目の養父でもあります。
身分の格差が明らかな時代。薩摩藩主・島津斉彬とはいえ外様は外様。自身の養女である篤姫を将軍家に輿入させるには、さらなる格上げの為、朝廷にお仕えする五摂家である近衛家の養女にもしました。
残念ながら軸の和歌を読み解くことができませんでしたが、表題からすると何かおめでたい席で謡われたものだと想像できます。
↑)香合は夏らしく、海を感じる緋扇貝(ひおうぎ・がい)。
綺麗なその色は貝が発する美しい天然色です。
↑)さあ、いよいよ緊張する鼓動を感じつつ、一席目スタートです!
皆様!本当にお忙しい中、天候のあやしい中、貴重な日曜日に、いろんないろんなご事情の中、今日という日に、よくぞお出まし下さいました!感謝の気持ちでいっぱいです!ありがとうございます!
もう後はなるようになる!
事前の準備と、そしてお客様を信じて、どうぞ楽しいひとときをお過ごしいただけますように‼︎
祈る思いでスタートしました。
今回はコロナ禍の為、濃茶は控え、点心と薄茶のお席です。
↑)点心のお素麺は、日曜稽古でご一緒するN橋君にお願いしました。
彼はプロの料理人であり、お若いながらも歴史にも達者でいらっしゃいます。全てをとても快く引き受けて下さり、お客様から、これまで食べたお素麺の中で一番美味しかった!というお声も頂きました。ありがとうございます!
↑)主菓子は、銘「水月」、鶴屋八幡製。ブルーの葛の中に濃厚な黄身餡が入っています。水に浮かぶ月を模していますが、海の色にも見えます。
竹の花入に、吾亦紅・藤袴・女郎花、秋の花です。
↑)お干菓子は、亀屋伊織の「渦巻(煎餅)と夕顔(州浜)」。夏の終わりの取り合わせ。
棗は 鵬雲斎大宗匠御好の三光棗、星月日の三つの光を備えています。蓋胴にかけては北斗七星を思わせる星。蓋を開けると合口に立ち上がる三
お茶杓は、建仁寺・竹田益州和尚作の、銘「一筋」。
まさに幕末を生き抜いた者達の心意気と重なる言葉というか、人生の役割を全うし、我が人生「一本道」を生き抜いた方々の物語が詰まった時代に思いが繋がります。
皆様の胸をお借りし、思い悩みながらも一つの事に誠心誠意向き合ったことは、私にとって大変貴重な経験となりました。
亭主を務めてみて初めて見えた一期一会のお茶の世界は、今後の私の財産となります。
何よりお茶会に向けて、幕末の事を勉強して下さったり、温かいお言葉をおかけ下さったり、様々な面で皆様の優しさや温かさをひしひしと感じ、感謝でしかありません。
先生、皆様、本当にありがとうございました!
まだまだ未熟ではございますが、これからもご指導のほどよろしくお願い申し上げます。
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