初めての茶事勉強会 ~ 懐石道具を使って | 【ブログ】裏千家 シュミネ茶道教室 || 大阪・心斎橋 || 西田宗佳

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大阪・心斎橋駅上がってスグの「シュミネ茶道教室」。
お稽古や教室の様子、茶の湯周りのことや、西田宗佳の歳時記・日常なども、生徒の皆さんに読んでもらえるよう徒然書いています。

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令和元年(2019年)9月26日:投稿
 
皆さん、こんにちは! 
シュミネ茶道教室の西田宗佳です。
9月も下旬となり、すっかり秋めいてまいりました。
 
先日9/23(月・祝)に開催した、
茶事勉強会~初級編」のレポートをお届けします。
うちは初心者さんばかりの教室ですので、みんなまだお茶事を経験したことのない方がほとんど。
私たちは詰まる所、お茶事を目指して日々稽古しているので、「お茶事って一体どうゆう中身?」をまず知ってもらうため、今回は茶事の基本となる「正午の茶事(炉)」に沿って、実際の懐石道具を扱っていただき、ひとつひとつ流れをみんなで勉強しました。
 
↓) 最初にお配りしたプリント。
 
 
↓) 午後2時、15名の参加者が集まり、勉強会がスタート。
最初の1時間程は、大まかな流れや意味を講義させていただきました。
 
 
講義のあとは、5人組でお客役グループを作って、各シーンで交代しながら茶事の流れを茶室の中で再現してゆきます。
 
↓) 初座での炭手前(炉)のシーン
11月には「炉開き」の行事も控えているので、ほんとは「初炭(しょずみ)」をしっかり説明したいところですが、時間がないのでサラッと流れだけ。
 
 
↓) 初炭のあとは、「粗飯差し上げとうございます」と言って、「折敷(おしき)」を持ち出します。
ここからいよいよ、懐石料理の始まりですが、今回は台本通りに動きと所作を勉強するだけなので、食べ物はありません。
折敷の上には、「飯碗」と「汁椀」、そして「向付(むこうづけ)」、「(利休箸)」が置かれています。
 
 
↓) さて、皆さん初めての懐石道具。
正客の動きに合わせて、飯碗・汁椀の蓋を、両手で同時に開けて重ね合わせ、折敷の右隣に置いておきます。
 
 
↓) この春から教室に来られたN野さんは茶歴も長くお茶事を知っている方ですので、私に変わってだいぶ助けていただきました。
 
 
↓) まず飯碗の米を一口、そして汁椀の汁を一口、この辺りまで、碗の取り上げから箸の上げ下ろしに至るまで、全員が動き(所作)を合わせて進んでいきます。客が所作の息を合わせるということは、相客と心を重ねていることと同じです
 
 
↓) 一献目の酒を頂いてから、初めて「向付」に手をつけます
 
 
↓) 亭主は「飯器(はんき)」を持ち出して、ご飯(米)のおかわりを勧めたあと、「汁替(しるかえ)」のため、汁椀を預かります。
 
 
正客の物だけは丸い「給仕盆(きゅうしぼん)」ですべて個別に出したり下げたりしますが、連客分は四角い「脇引盆(わきびきぼん)」でまとめて出し下げしてもオッケーです。
 
 
↓) 「煮物碗」を出すところ。
「一汁三菜」を基本とする懐石料理の「三菜」とは、一つ目が「向付」、二つ目が「煮物碗」、三つ目が「焼物」になります。その中でもこの「煮物碗」はメインディッシュの扱い。
 
 
↓) 二献目のお酒が出たあとは、「焼物」。
 
 
↓) 「小吸物碗」(箸洗い
 
 
↓) そしていよいよ三献目のお酒は「八寸(はっすん)」と一緒に持ちだして、「千鳥の盃(ちどりのさかずき)」が始まります。この「千鳥の盃」というのが、慣れないうちは本当にややこしくて、茶事の中でも頭がこんがらがるところ…。
私も今更ですが本を確認しながら必死に説明に挑みます(頼りなくてすいません…汗)
 
 
 
 
↓) 「千鳥の盃」は、正客から借りた一つの盃を使って、お客全員と亭主が酒の応酬を行ないますが、その盃が千鳥の足跡のように、あっち行ったりこっち来たりと、ジグザグに正客から詰まで渡っていくので、この名前が付いています。
その間、八寸をつけてあげたり、亭主が頂く酒を注ぐのは目の前の相手ではなく隣の人だったり、道具の向きを変えながら進んでいくうち訳が分からなくなります。
 
 
 
↓) 最後は「湯桶(ゆとう)」といって、「香物(こうもの)」と一緒にお茶漬けを頂く形をとりながら、碗を清める準備に入ります。
食べ終えた後、客は懐紙で折敷の上の物をすべて拭き清め、正客の合図で揃って箸をカランと落とし、その音を聴いて亭主は折敷を下げに出てきます。
 
 
懐石料理のあと主菓子が出され、客はここで「中立ち」となります。
茶事は、「初座」(前半)と「後座」(後半)に分かれて構成されており、客はこの間の「中立ち」で一度外へ出て休憩を取ります。
 
↓) 「初座」の床は軸ですが、「後座」の床は花に変わり、準備が整ったことを知らせる亭主が打つ「銅鑼(どら)」の音を聴いて、客は再度席入りし、いよいよクライマックスの濃茶へと進んでいきます。
 
 
↓) 今回の勉強会では時間の関係上、後座のメイン濃茶を省略して、薄茶でこの日の呈茶の時間としました。
 
 
初めての方にとっては、かなり難しかったと思います。台本に沿って流れだけをするのにも一苦労。
これが本物の茶事となると、亭主側にも客側にも、もっともっと力がいります。
いつかちゃんとした正午の茶事が催せるよう、目標を見据えて稽古していきましょう。
お疲れ様でした。
 
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*最後に、私たちが所属する淡交会・大阪東支部の前幹事長・藤井宗悦先生が監修されている本「実用 茶事(1)正午の茶事」の最初のページより全文をお借りして、ここに掲載させていただきます。
 
「稽古の基本は 茶事の基本」
~ 藤井 宗悦 ~
 
私たちが普段行っている点前の稽古は、茶事の亭主や客をするための準備として、日夜研鑽しているといっても、過言ではありません。
茶事を催すには、ただ点前や炭手前ができるだけでは足りません。平素より風炉の灰形や炉中の準備、掃除も壁や障子に傷をつけない心得などを、日常の所作から身につけていなければなりません。これらはすべて普段からの水屋仕事に集約されます。また茶花や懐石料理、菓子などの知識や、案内状を書いたり、趣向の一助として季節の風物や、行事の勉強をすることも求められます。
普段の稽古では、基本をきちんと身につけることが大切です。基本がわからないと応用もできません。稽古場では、亭主・正客・連客・詰、すべてを経験することができます。たかが稽古、されど稽古。たがいに不快な思いをさせない「相客に心せよ」の習いを一番学べる場所です。
そして次に、人をもてなし、もてなされるために、多くの「稽古茶事」を経験してください。「恥をかきたくない」「失敗をしたくない」という思いは過剰な自意識です。茶道の究極の目標は、そのような自意識や迷いや優越感を捨て去ることだと私は思います。
大切なのは「おいしいお茶を召し上がっていただきたい」とか「もてなしたい」と心から思うことで、そのためにどんな些細なことでも師について習い、研鑽を積むことが大切です。
 
 
令和元年(2019年)9月26日:投稿
 
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