1人になるまでのカウントダウン
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劣等感。

毎日、ちょっだけ手首を切る。 うっすら血が滲む。それで安心する。 自分にも赤い血が流れている。 手首だけでは修まらなくなったときは 太ももにも線を引く。 そのうち、見えないところを選んで刃をあてる。 そうしないと「生きててごめんなさい」感が・・・。 どうしてだろう。何が駄目なんだろう。 頑張ろうって、自分の人生だって前向きになってたのに。 一度沈んでしまうと、なかなか光りを掴めなくて。

無視。

毎日の生活を細かく書いてファックスを送った。 自分は1人でもやっていける。自信がついた。 喜んでもらえると思った。でも違った。 どれだけ、こちらから行動を起こしても何も返ってこなかった。 家族に無視されることが、いないと扱われることが、どんなに辛いことか。 死ねばいいのか。死ねば私がいたことを気付いてくれるだろうか。 それから1日に1回は手首にカッターをあてることになった。

明るい気持ち。

毎日、朝から好きなものを食べて好きなことをする。 落ち着いて本も読めるし夜中に外出しても怒られない。 誰にも何も言われないというのは、すごいと思った。 楽しくて楽しくて、あっという間に時間が過ぎていく。 でも、毎日家にファックスを送っていた。 ほとんど何も言わずに飛び出してきたから。 とりあえず住所と電話番号は報せた。 毎日楽しい、前向きな気分だと書いた。 そうすることで、家にいたときは苦しかったと伝えたかったのかもしれない。

静かな日々。

東京へ行ったのが7月。東京の夏が、あんなに暑いなんて思わなかった。 それでも1人だ。嬉しい。好きなときに寝て食べて出かけられる。 そんなことが、ものすごく贅沢だ。時間を自分のために使えるというのは、とても幸せなんだなあと。 朝御飯を食べてから、お昼まで近所をブラブラする日々。 大きな本屋さんがある。古本屋もある。スーパーも大きい。そして安い。 ただ外を歩くだけなのに嬉しくて楽しくて堪らなかった。 たったそれだけのことさえ、家にいたころは許されなかった。

1人の夜。

ひとしきり泣いて顔を洗って外へ出た。
とにかく何もない。コップさえない状態。
とりあえず周辺を歩いた。江古田という街を選んだのは
友達がいたから。何かあったら、すぐ相談できる。
お箸・コップ・お皿・まな板・包丁。思いつくままカゴに入れる。
パスタを買って茹でて食べて、ゆっくりとテレビを見た。
何て落ち着く。1人があんなにも楽しいなんて思わなかった。
ずっと、あそこに居たいと思った。
2度と家族に会いたくなかった。

初めて1人。

東京駅に着いて中央線に乗ってバスに乗って予約を入れていたウィークリーマンションへ行った。
暑かったことしか覚えていない。
朝から、ろくに何も食べずに出かけていた。
手続きを済ませて言われた部屋に入った。
感想は一言。狭い。それでも、自分の部屋。1人で誰にも気兼ねなく遠慮することもなく。
ベッドに腰掛けて大きな溜息を吐いた。夕方の風が入ってくる。
ほっとしたのか何なのか分からないけど。
涙が溢れてきた。声をあげて泣いた。
私は自分のために生きていいんだ。

遠くへ行きたい。

遠くへ行って1人で暮らしたい。
4年前の夏、家出同然で貯金を全部崩して東京へ行った。
もう父にも妹にもウンザリだった。顔も見たくなかった。
私は召使いじゃない。いつも自分達のことを優先して
私の都合など、お構いなし。むしろ家に置いてやってるんだという態度。
私は私の人生を生きたい。そのためには、ここにいちゃいけない。
離れなければ。行き当たりバッタリで、たった1人で。
私は新幹線に乗った。

喜怒哀楽。

その時その時の感情を、そのまま出すのは女性として
はしたないと教えられてきた。
だから怒りも哀しみも、喜びさえ出さずに静かに佇むことを覚えてしまった。
それだけに、妹の感情そのままの言動や行動を見てると、不思議で仕方ない。朝は特に機嫌が悪くて話し掛けても無視だし。
気に入らないことがあると、そのまま顔に出して文句を言う。
その場の雰囲気なんか、お構いなしだ。
どうしてそんなに自分のことを優先出来るんだろう。
こういうこと言うと周りが嫌な思いするなとか、一切考えないんだろうな。考えるなら最初からそういうふうにしないだろうし。

眠い眠い。

ピークは過ぎたように思える。
炭水化物ダイエットでもしてみようかなと思う。
痩せたら、みんな誉めてくれるだろうか。
少しは気にしてくれるだろうか。
外を歩いてて、ふと目にして落ち込む光景がある。
母親と娘が仲良く歩いてたり買い物してたり。
素直に羨ましい。自分にも、あんな思い出があれば。
母は本当はどうしたかったのだろう。
私を生んで後悔したんだろうか。
妹だけのうが幸せだったんじゃないだろうか。
いまさら考えても仕方ないことだけど。

拠り所。

ここを書いてることは誰も知らない。
だから本当の気持ちが書ける。
お腹すいてるわけでもないのに、アラレ食べてる。
夜中も食べることばかり。
こうしてずっと食べもののことばかり考えていくのかなあ。
少しでも気をそらせようとコーヒーをがぶ飲みしてみるけど。
早く解放されたい。
食べなきゃ不安を感じるなんて、もうイヤだ。
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