No ride,No 【life】. @FukadakeBase -42ページ目

No ride,No 【life】. @FukadakeBase

基本的にはバイク好きのネタですが
一見、道楽者に見えていながら
妻の精神的疾患を支える難しさなんかも書いています。

いろんな角度から見える「命・人生」がテーマです。

秋の納車から、峠を走り回る日々を過ごし、秋田のバイク乗りには耐え難い冬が来た。


バイク屋に教えられた通りに、バッテリーのマイナス端子を外して、キャブからガソリンを抜き


SRXは冬眠に入った。


長い冬の間も、乗りたい気持ちがウズウズしていた。



【教訓1:春先のコーナー】


そんな長い冬も終わりを見せ始め、日中の気温も上がり始めた頃。


国道のような大きな道路は乾き、残る雪も、道脇の一部となった頃。


3月下旬のことだったと思う。


当時、よく練習に使っていた、短い峠がある。


そんなにキツいコーナーもなく、初心者の練習にはもってこいの峠だった。



その日も、お決まりのコースで、日本海の見渡せる国道側から、その峠への道に入る。


路面もほとんどが乾いていて、ところによっては、雪解けの水が流れているところもあったが


気持ち良いペースで走ることが出来た。


なんちゃってハングオフスタイルで、登りのプチワインディングを駆け上がる。


出口でスロットルを大きめに開けながら、トルクでの立ち上がり加速を堪能する。



一冬を挟んでも、身体に染み付いている癖というか、操作的な部分はすぐに出来た。


とても気持ちがいい。


少しずつ感覚を取り戻すのと同時に上がるペース。


頭は完全に春。



峠を登り切ったところに、ちょうど早い時間帯は日陰になる右コーナーが有る。


コーナーの入り口を、離れたところから観察するとウェットであることがわかった。



ここまででペースアップしてきた速度では、何となく不安だなと


ブレーキングを始めて、速度を落とす。


50km/h位だったろうか?


ついに遠目でウェットだったコーナーへ差し掛かる。



フロントがウェットな路面へ乗り上げた瞬間


今まで味わったことのない感触に襲われる。



日陰のコーナーは凍結していた。



慌てて右足が出る。



RED WINGのクレープソールが路面に触れるが、その足さえも滑ってしまう。



あとは為す術がなかった。



フロントがアウト側へ逃げ始めると、車体は一気に倒れた。


おれはいつの間にか背中で路面を滑っていた。


自分のバイクが凍った路面を滑りながら道路脇へ進んでいくのを見ながら。



ほんの2,3秒の事なのに、物凄く長い時間滑ったように


スローモーションで時間は流れる。



久々に転倒した。



ライダーに戻ってからは初めての転倒だった。



バイクを起こして、ちょっと広くなった道の脇まで移動する。


どこどこがイカれているか確認する。


ハンドルが妙な角度になり。


ステップも曲がっていて、ウィンカーは片側が点かなかった。



そんなダメージを受けたバイクを見て


突然笑い出してしまった。


凍った路面での転倒を共有した事で、なんかこう、運命を共にした仲間意識?


のようなものがおれの中に芽生えるのを感じた。



親父と小さい頃に、TYで崖を登ろうとしてまくれてしまって


二人で笑いあった、あの感覚に近いものを感じた。



そっからは、とりあえずエンジンがかかったから、右折をしないように(ウィンカー点灯しないから)


ゆっくり帰った。



教訓として、春先の日陰のコーナーは凍結している事がある!


転んで覚えてたのはそれだけ。



でも運命を共有した事で、相棒がより愛おしくなったのは、ちょっとした収穫か。

SRXを新たな相棒に迎え、さて、スポーツライディングってどんなものか

そういう事を考えながら走る練習をした頃の話。

【スポーツライディング】

特に何か教科書的なモノを買ったり、DVDを買ったりだとか、そういうことは全然しなかった。

言ってみれば、我流。

峠を走る動画をみたり、レースを見たり。

そんなことをして確実に築き上げられた、勘違いとも呼べるスタイル。

それをSRXで実践していった。


フォームひとつとっても、何となくのハングオフ。


ステップにはつま先を乗せて、踵でヒールガードをホールドするのが都合がいいというか


おれにとっては自然なスタイルだった。


ジーンズだから本気で擦りにいくことはないけど、膝を出して、マネッコしたりした。


一方走り方の方はと言えば、SRXの特徴を理解するのに精一杯。


スタートダッシュは単気筒のトルクを活かすと素晴らしいものがあった。

ただ伸びない。

あっという間に5速に到達してしまう。

そうなると、250のマルチの方が高回転域を使うことが出来て

よりスパルタンなスポーティーさが有るのでは?と思った。



ただ世の中にはこの単気筒を愛する人が居る。

しかも、峠道をSS相手に同等に走る人もいる。
※600だけどね(^◇^;)

このバイクにはこのバイクのいいところが必ずあるはずだと、自分に言い聞かせ

ひたすら峠道を走り回る日々。

そしてある時、気付いた。

コーナー脱出の、トルクで立ち上がる快感。

パワーバンドを維持するようなキンキンな走りは

はっきり言って公道では何かあったときに対応できない。

でも、ある程度どの域からも沸き上がるようなSRXのトルクは

路面をまさに蹴っ飛ばすように、出口に向かって加速する。


その気持ちよさを知ると、立ち上がりに焦点を置いた走りを意識するようになった。


といっても、ただのクソガキの勘違いなんだけどね(;´∀`)



でもほんとコーナーってバンク角が深ければカッコいいとか


膝がすれればカッコいいとか


そういう気持ちが無かったとは言わないけど


気持よく立ち上がるためにコーナーに入るっていうのが楽しくて仕方なかった。



あと、これも変わってるのかもしれないけど


コーナー侵入前、リーンを始める前の段階が何故か好きだった。


エンブレを主体にした、ぬるい走りの中だったけど、一瞬フリーズするような感覚。


エンブレでボコボコいうエンジン音も好き。


そいうとこから、少しづつ、スポーツ走行のマネごとを進めていった。




SRX400が久々の相棒になってからの話。



【リターンライダー】

およそ八年のブランクを経て、おれはリターンライダーになった。

バイクに結局は戻ってきた。

SRXの納車は秋の初めの頃だったと思う。

それまでにヘルメットやら、グローブやらを買って納車に備えた。

ヘルメットは昔の、ファッションの延長にバイクがあるという個人的な考えで

黒のヴィンテージ風なスモールジェットに、スモークのバブルシールドをチョイスした。

グローブをほとんどしたことがなかったおれは

ホームセンターで売ってるネオプレーン素材の安い手袋を選んだ。

ウェアに関しては特に買い揃えなかった。

メッシュジャケットとかも、ファッション的に考えるとちょっと…と思っていたところがほとんどだ。

いずれはブリティッシュなカフェレーサースタイルをと思っていたので

レザーのライダースが欲しかったが、妥協すればそれなりになってしまう。

というわけで、ウェアは買わなかったというか、買えなかった。

さて、納車当日。

高鳴る胸を抑えて、バイク屋に向かう。

妻の運転で、ヘルメットとグローブを持って。

店の表に、SRXが出され、次なる主人の到着を今や遅しと待っていた。

まぁ、お決まりなんだろうけど、ひとしきりの操作系の説明を受けて

冬が近かったこともあってか、冬眠のさせ方のレクチャーも受けた。

店主への挨拶を終えて、キーを回しセルを押す。

かかったエンジンの音は、まるでカブ。

まぁ音で走る訳じゃない。

ヘルメットとグローブを装着して、久々の相棒に跨がる。

スリムなボディーラインがキレイだ。

タンクの造形も、細いながら凝っていて、どこかSSを匂わせるとおれは思った。

クラッチを切り、ギアをローへ入れる。

軽くスロットルをあおり、スロットルへのつきを確かめて、そろそろと走り出す。

シングル独特の、排気音と共に前へ進むバイク、そしておれ。

この時から、またおれのバイクライフが動き出した。

18歳から止まっていたバイクライフの時を刻む針は、意外にもすんなりと動き出してくれた。

こうしておれはリターンライダーになった。

でも、なんかリターンライダーって言葉あんまり好きじゃないな。



ライダーに戻ることが出来たんだ。