SRX400が久々の相棒になってからの話。
【リターンライダー】
およそ八年のブランクを経て、おれはリターンライダーになった。
バイクに結局は戻ってきた。
SRXの納車は秋の初めの頃だったと思う。
それまでにヘルメットやら、グローブやらを買って納車に備えた。
ヘルメットは昔の、ファッションの延長にバイクがあるという個人的な考えで
黒のヴィンテージ風なスモールジェットに、スモークのバブルシールドをチョイスした。
グローブをほとんどしたことがなかったおれは
ホームセンターで売ってるネオプレーン素材の安い手袋を選んだ。
ウェアに関しては特に買い揃えなかった。
メッシュジャケットとかも、ファッション的に考えるとちょっと…と思っていたところがほとんどだ。
いずれはブリティッシュなカフェレーサースタイルをと思っていたので
レザーのライダースが欲しかったが、妥協すればそれなりになってしまう。
というわけで、ウェアは買わなかったというか、買えなかった。
さて、納車当日。
高鳴る胸を抑えて、バイク屋に向かう。
妻の運転で、ヘルメットとグローブを持って。
店の表に、SRXが出され、次なる主人の到着を今や遅しと待っていた。
まぁ、お決まりなんだろうけど、ひとしきりの操作系の説明を受けて
冬が近かったこともあってか、冬眠のさせ方のレクチャーも受けた。
店主への挨拶を終えて、キーを回しセルを押す。
かかったエンジンの音は、まるでカブ。
まぁ音で走る訳じゃない。
ヘルメットとグローブを装着して、久々の相棒に跨がる。
スリムなボディーラインがキレイだ。
タンクの造形も、細いながら凝っていて、どこかSSを匂わせるとおれは思った。
クラッチを切り、ギアをローへ入れる。
軽くスロットルをあおり、スロットルへのつきを確かめて、そろそろと走り出す。
シングル独特の、排気音と共に前へ進むバイク、そしておれ。
この時から、またおれのバイクライフが動き出した。
18歳から止まっていたバイクライフの時を刻む針は、意外にもすんなりと動き出してくれた。
こうしておれはリターンライダーになった。
でも、なんかリターンライダーって言葉あんまり好きじゃないな。
ライダーに戻ることが出来たんだ。