今年もいろいろありました。HBOに続いてSHOWTIMEも長年続いていたボクシング中継が終了し、本格的に配信の時代に突入したのは録画して試合をストックするマニアを多いに悩ませる時代になりそうです。
１．年間最優秀選手：デビン・ヘイニー（米）
※接戦ながらロマチェンコを破り、プログレイスには完勝してSライトを制覇しての二階級制覇達成は見事。部分的に切り抜くと超絶技巧は素人目にも目を見張るが全体で観ると計算高くて安全運転が過ぎるというか。まあ打たせない選手が一番強いのは確かだしねえ。将来的にシャクールとの対戦が実現したら超絶な技術戦になるか、先日のシャクールのコンセイシオン戦みたいな塩試合になるのか。後者になりそうで不安だな・・・
２．年間最高試合：テレンス・クロフォードｖｓエロール・スペンスＪＲ
結果としてワンサイドな展開になったものの、実現するまでの過程やワクワク感も踏まえるとやはりこの試合がベストかな。勝った方が文句なくPFPのNO.1を名乗れるというのも正規の対決に相応しい。
しかし、この対決は一合一会なので上の階級で再戦とかやめて欲しい。それぞれが別の相手と対戦してファンを楽しませてくれ。
３．技能賞：オレクサンドル・ウシク（ウクライナ）
今年はデュボアとの１試合だけだったが、この試合での安定した戦い方を見るとフューリー戦の体格差も何とかしてしまいそうな気がする。ローブローでのダウンはもし続行だったら我慢してシレっと戦い続けてた気もするし、あれはウシクなりのマリーシアに見えなくもなかったような気がするなあ。
最後の右ジャブを顎に決めてのワンパンKOもまるで武術の演武を観てるかの様な唐突で、しかも鮮やかなものでした。ベストKOと言っても過言でもないかもですね。
４．敢闘賞：エマニュエル・ナバレッテ（メキシコ）
Sフェザー転級で以前のフィジカル・アドバンテージには欠けてきたけど、それでも３階級制覇は偉業だ。願わくばフェザーで井上を待ってて欲しかったが。
２月のリアム・ウィルソン戦でプロ初ダウンを喫しながらも逆転勝ち、そして８月にオスカル・バルデスに快勝、１１月のロブソン・コンセイソン相手には苦戦の引き分けだったものの、相手問わずにコンスタントに試合をする姿勢は共感できる。
ビッグマッチを目指しつつも試合を粛々と積み重ねていくのは立派だ。これが本来のメキシカン。
次点は僅差でデビッド・ベナビデス。
プラント、アンドラージという典型的なハイリスク・ローリターンの相手との２試合もキッチリとクリアしてみせた。来年、カネロはさすがにベナビデスを避けられないだろと思うが金路だからな・・・
５．殊勲賞：チャン・ジレイ（中国）
東洋圏で暫定ながら初のヘビー級世界王座奪取。しかもウシクｖｓジョシュアの後に次のヘビー級シーンに加わろうとしてた曲者ジョー・ジョイスを２タテに斬って落としたのは凄い。
昨年、フィルポビッチに惜敗したあたりが健闘だけど限界かなと思ってたが、さにあらず。大国、中国の底力はやはり凄い。
今後は正王者昇格を目指すと同時にビッグマッチ戦線にも参加して欲しい。本来なら日本人ヘビー級の出現を待ってたが、この際は同じアジア圏からの刺客として応援するぞ。
６．新人賞：フランシス・ガヌー（カメルーン）
エキシビションでなく公式の10回戦で現役の世界王者にスプリットまで善戦し、はては勝ってたのではないかという評価まで享受したのだから文句ないだろう。
UFCでも無敵のヘビー級王者として重いパンチでKOを重ねてきましたが、ボクシングでどこまで出来るかは未知数だったので権威主義のボクオタもこれは素直に賞賛すべきでは。ま、フューリーがだらしなかったというのもあるが、やはり目先の金とか稼ぎとかを強さよりも重視するとダメになっていくのかね。
朝倉未来もそうなってるしな。（ＲＩＺＩＮの話ですが）
エキサイトマッチでもジョーさんが仰ってたが、日本人が頻繁に海外でも戦う様になったのは嬉しい。吉野とかライト級より上になるとまだ厳しい感は否めないがそれでもシャクールと拳を交えた意義は大きいし、中谷潤人みたいな鮮やかな勝ち方を披露すると軽量級の注目を浴びるキッカケにさせられるのかなとは思う。
また、年末のヘビー級祭りや来年のフューリーｖｓウシクなどもサウジアラビアで開催されることでビッグマッチ開催のパワーバランスが微妙に崩れてきてる様にも感じる。チャン・ジレイがこれに絡むと中国での大試合開催も夢ではないだろう。
一極集中よりも健全な方向へ向かってると思いたいですね。