12・26有明:井上vsタパレス観戦記 | リングサイドで野次を聞いた ~独善的ボクシング論

リングサイドで野次を聞いた ~独善的ボクシング論

マニアの隠れ家を目指します。
中津の生渇きの臭い人はお断り。

テレビ放送】井上尚弥vsタパレスの配信予定・開始時間・視聴方法 ...

相変わらずの抽選倍率が伝えられてますが、いろいろと手を尽くしてチケット確保し年の瀬に行ってまいりました。

この日はボクシングや格闘技は好きだが、生観戦は初めての同僚と観戦。奴のたっての希望だったのでボクシングファンの裾野が広がればと思い、有給取って生観戦を思い立ちました。井上尚弥という存在はこういう層にも響いてきたみたいでなにより。

やや早めに会場内へ。最安値の11000円の席だが非常に観やすい場所でした。会場も上階は傾斜が急で結構観やすい作りなのでそこは満足ですが、後は交通アクセスの悪さと周辺に飲食の店が無いのが不満かなあ。

年末とはいえまだ仕事納めをしてる企業ばかりでないので出足はイマイチ。しかしチケットは完売でしたので17時位から客が続々と詰め掛けてセミ辺りにはギッチリ満員。壮観でした。

 

1.Sフェザー級4回戦

※佐藤力也(八王子中屋)vs遠藤圭介(DANGAN郡山)

両者が対峙すると身長差が結構ある。フンドラみたいに長身の遠藤に対し、デビュー戦の佐藤が内懐に入って左右フック乱れ打ち。そして左フックで初回にダウン奪取。

おぉ!と思ったが、この回凌いだ遠藤がのしかかる様なクリンチを多用して揉みあいが多い展開となる。それでも攻め手を緩めなかった佐藤が攻勢点をもぎ取ったか。判定は3-0で佐藤。

デビュー戦勝利の佐藤は1戦1勝。遠藤は3戦3敗。

 

2.フェザー級4回戦

※石川優(大翔)vs植松風河(駿河男児)

インターハイ8強、アマ19勝7敗の植松がいい出だしを見せる。

シャープな左ジャブ、鋭いワンツー。そして左フックでダウン奪取。これを凌いだ石川が2R以降に接近戦で手数を出して反撃。しかし4R、一瞬の隙を突いた植松が右ストレートでダウンを奪い、立ってきたところに連打を浴びせて試合ストップに持ち込んだ。タイムは4R2:46、植松TKO勝ち。

植松は2戦2勝(2KO)、石川は10戦3勝(2KO)6敗1分。

 

ここで簡単に休憩が入る。そして3試合目からメイン・カードになるためか、会場の雰囲気や演出がガラリと変わる。

 

3.49.5KGs契約8回戦

※坂間叶夢(ワールドスポーツ)vsジョン・ポール・ガブニラス(比国)

7月の堀川龍との決定戦で日本ユース王座を獲得し、ベルトよりもその試合内容が評価された坂間が登場。会場に熱が入る。

ガブニラスの右フック、左アッパーなどが単発でも強振してきて場内を湧かす。坂間はガードでこれを凌いでワンツー、ボディなどを返す展開。初回からハイピッチだったせいか、ガブニラスがややペースダウンして3Rあたりから坂間にペースを掴む。

途中、ヒッティングで出血してヒヤリとさせたもののガブニラスもマウスピースを吐き出して苦し気な感じ。小休止で互いに一息入れる形になったが、ここで坂間は一気に5Rに左ボディからの連打をまとめて試合ストップ。

やや早めのストップにも見えたが、ガブニラスの抗議も受け入れられず坂間TKO勝ち。タイムは5R2:35。

煽りビデオではやたら「世界、世界」と言ってた陣営だけどまずは日本王座を狙わせるところからかな。加納みたいな泡沫ランカーにはしないで段階踏ませて欲しい。

坂間は9戦9勝(8KO)、ガブニラスは13戦10勝(7KO)3敗。

4.54.5KGs契約8回戦

※武居由樹(大橋)vsマリオ・ディアス(メキシコ)

武居はとにかく会場人気が高い。特に後ろの女性ファンの黄色い声援が耳に響くこと(笑)。

1R、互いにほとんど手を出さないが緊張感が漲るいつもの武居の試合展開。2R、ディアスの右にちょっとのけ反り圧力をかけられる武居。さすがにメキシカンは一筋縄ではいかないかなと思った矢先に左のボディ一閃、鮮やかなワンパンKO勝ち。

後でスローで観ると一旦、左腕を後方に引いてる様にも見える。これはキッド・ギャビランのボロ・パンチじゃね?

タイムは2R2:23、武居鮮やかなKO勝ち。

すぐに世界前哨戦と謳うのはどうかと思うが、東洋卒業して階段は着実に昇ってる。

これで武居は8戦8勝(8KO)、ディアスは28戦21勝(9KO)7敗。

 

5.64.5KGs契約8回戦

※平岡アンディ(大橋)vsセバスチャン・ディアス(メキシコ)

平岡は約1年振りの試合。互いにサウスポー、右をフリッカーの様に付いてた平岡が1R早々に右打ち下ろしで先制ダウン奪う。

何とか凌いだディアスに2Rも攻めまくる平岡だが終了間際にディアスの右フックをカウンター気味にもらいヒヤリとさせた。

3、4Rと平岡が攻めるがディアスも結構タフ。打ち終わりに右を合わせるシーンも目立つ。

しかし、5R、左右フックを顔面、ボディにと打ち分けて攻め立てるとレフェリーが試合をストップ。これも坂間の試合同様にやや早めのストップみたいな印象。ここで止めなくても勝敗に影響を及ぼすことは無かっただろうが。モヤつくな。

平岡は23戦23勝(18KO)、ディアスは26戦18勝(13KO)7敗1分。

Sライト級での世界獲りということを考えると不安が大きい。

 

6.モンスター・トーナメント決勝戦

  日本バンタム級選手権試合10回戦

※堤聖也(角海老宝石)vs穴口一輝(真正)

これは凄い試合だった・・・

堤は前戦の増田戦も前半リードされて後半に怒涛の追い上げで逆転勝ちしてるが、今回はそれ以上の展開。まさに令和のジャッカル丸山。ダウンは奪われてないけどね。

互いに左構えのスタート。1Rは穴口かイーブンみたいな展開だったが2Rに穴口が早くもペースを握る。3Rに穴口のパンチで堤が左瞼をカット、これは結構な傷で正直、途中でストップされる可能性も考えた。

自分の席後方の穴口応援団が盛り上がる中、4Rも積極的に攻める穴口だが打ち合いは堤の土壌。ここで左を決めてバランス崩れるところにダブル、トリプルで追い打ちをかけてダウン奪取。

いつもの逆転パターンかと思いきや、5Rは穴口が落ち着いてペースを挽回し、途中採点は穴口優勢。

6Rも穴口。堤の出血した左瞼を狙い打ち、ドクターチェックがまた入る。終末は近いかもと思わせたが・・・

7R、堤がまたもやダウン奪取。どよめく場内。最高の試合だ。

8R、穴口がまた挽回するが、9Rに堤が右から始まり右フックで終わる連打で3度目のダウン奪取、ポイントが読めねえ。

10R、穴口が打ち合いを挑み、堤が応じて激しい展開。堤がグラつき、穴口がそのまま押し切るかと思ったが終了間際に堤の左フックが炸裂して4度目のダウン奪取。そのまま試合終了。

判定は3-0で堤。

凄い試合だったが、試合後にモニターに映った穴口の様子がおかしい。過呼吸なのか、泣き崩れてるのかと思ったが痙攣してたらしい。まともに立ってることもままならず、セコンドの肩を借りて退場したがちょっと心配に思った。

翌日、Xで穴口の様子がポストされたが、それを否定する様な書き込みもあって情報が錯綜してる。真正ジムは後日でいいので何らかの公式見解を出して欲しい。願わくばXのポストはガセで合って欲しいのだが。

王座4度目防衛の堤は12戦10勝(7KO)2分。トーナメントも優勝して1000万円の賞金と世界挑戦の権利も獲得。

初黒星の穴口は7戦6勝(2KO)1敗。

 

7.WBA、WBC、IBF、WBO世界Sバンタム級王座統一戦

※井上尚弥(大橋)vsマーロン・タパレス(比国)

そしてメイン。2008年の北京五輪の開会式のマスゲームをちょっと思い出させる演出の後、両者入場。この試合はジミー・レノンJR氏がコール。

セレモニーの後に試合開始。サウスポーのタパレスが手を出さずともジワジワとプレッシャーをかけていく。井上は右を多用して探り針を入れていく。

タパレスは後ろ足重心でL字ガード。半身に構えて当てられる場所を少なくし、顔面を狙って来ればこれをスウェーやスリッピング・アウェイでかわして、打ち終わり際にカウンター狙い。

井上も防御がいいのでタパレスのパンチも当たらない。

4R、互いに距離が近くなりボディを叩き合う。タパレスのパンチのヒット率が上がった様に見えたが、ラウンド終了間際に井上の左フックが決まりダウン奪取。ここを辛くも凌いだタパレス。

5、6Rと仕留めにいく井上だが、タパレスも応戦して粘る。

7、8Rは井上が力任せになってやや雑になった隙をついてタパレスの右フック、左アッパーが決まり場内がどよめく。

特に8Rのタパレスの右フックに井上の動きが一瞬だけ止まった様に見えたのは珍しいシーンだった。

9R、半身のタパレスに右に回り込んで右フックをスーパーマン・パンチの様に決める井上だが流されてる感。しかしダメージは確実に蓄積されてたらしく、続く10Rに井上の右ストレートのダブルに前のめりに崩れおちて遂に瓦解。

特に2発目はテンプルを捕らえており、これは立てないだろうと思わされた。そのまま10カウントが数え上げられて決着。

2階級目で4団体統一、4階級制覇も達成した井上は26戦26勝(23KO)。

タパレスは41戦37勝(19KO)4敗。MJから奪った2王座の初防衛に失敗。

試合後のインタビューで名言しなかったけど、次はやっぱりネリなんだろうな。エキマで浜田さんまでが口にしてたし、帝拳に近い知り合いも確定みたいな感じで言ってたしなあ・・・

個人的にはネリは亀3とやるよりはまだネリの方がいいという感じ。ただ一緒に観戦した人はネリだったらまた観に行きたいと言ってたので単純に因縁マッチとしてわかりやすいシチュエーションなのかな。自分はアフマダリエフ希望なんだが・・・

そしてインタビュー中に映った井上の顔がほぼ無傷で風呂上りの様、対するタパレスは顔面ボコボコ・・・結構、流してる様に見えた井上のパンチでもダメージを溜めていったのがわかる。

 

全試合終了で21時位だったかな。満足した興行でしたが、この会場の問題はここから。会場の出口が1箇所に限定してるので渋滞発生。やっと外に出ても有明テニスの森、新豊洲、どちらに向かっても人の列が凄い。国際展示場も似た様な感じだったしな・・・結局は東雲駅まで歩いていくのが最適解でした。

次は別の会場がいいなあ。