スイスという国は
通貨ユーロを使わずに
独立通貨スイスフラン(CHF)を有している。
CHFの特徴として
有事の際には
その中立的立場ゆえに
安全通貨であるCHF買いが行われる傾向がある。
そして
このCHFのもう1つの特徴として
スイス国立銀行(中央銀行)が
2011年9月6日に定めた
「CHFの対ユーロレートの下限を
1ユーロ=1.2000CHFとする」
という防衛ラインがある!
これは各国が金融緩和を競っていた際に
スイス企業の輸出支援のために設定されたもので
1.2000CHFを割り込みそうになると
スイスは無制限に市場介入を行うと
発表しており、
実際に
何度も介入を行われているし
FXの世界では有名な取引手法として
1.2000CHF近くで買いを入れると
いつか介入で儲かると言われていた。
◎国は万能じゃない!!
し・か・し!
ついに来るべき日が来てしまった。
スイス国立銀行は3年4ヶ月にわたり続けてきた
CHFとユーロの為替防衛ラインを撤廃すると
2015年1月15日に発表したのだ!
それを受けて
EUR/CHFは一気に0.7CHFまで低下し
数日間は乱高下を繰り替えしている。
このため
閉鎖に追い込まれたFX業者もいるとか。。。
だけど
一番大きな損失を抱えているのは
間違いなくスイス国立銀行だろう!
だって
介入し続けたために保有しているユーロに
毎年数兆円単位の含み損が生じていたからだ。
しかも
これからもEUは景気が回復しないために
ユーロ安は継続するので
ますます含み損は増えるしかない・・・。
出口の見えない
不良債権を抱え続けていたかつての邦銀と
同じ状態に陥っているのが
スイス国立銀行なのだ。
とどのつまり
この事件は「スイス国立銀行が市場の圧力に負けた」
ということなのであって
現実的には
「中央銀行の資金には限界があるし、
無制限の為替介入などできないということの証明」
だと言えるだろう。
国も万能ではないだ!
~次回につづく~