娘がことのほか好きだったご近所の枝垂桜も、今ではすっかり瑞々しい若葉で覆われています。
今年の桜の季節は、何故かどうしてもその前を通ることが出来ず、まわり道をし、駅へ向かいました。
娘を見送り3年の月日が流れたものの、時の経過と共に娘への想いは益々深まるばかりです。
ひとり家に居ると、ふと娘がもう二度とこの家に帰って来ることはないという現実に、よく耐えていられる自分自身が、不思議でならないことがあります。
娘と交わした何気ない会話も、今でも鮮明に覚えているあの笑い声も、時と共に私の記憶から薄れて行くのではないであろうかと、怖くて怖くてたまらないのです。時が経つのが怖いのです。
今一度、あの声、笑い声が聞きたい。
あの手に触れてみたい。
夢でもいいから、もう一度あの娘を抱きしめてみたい。
母。



