解釈改憲には訴訟リスク 憲法学者・木村草太氏
朝日新聞 2014.6.7
(途中引用します)
国家は、憲法で禁止された行動ができないだけでなく、憲法に根拠規定がない行動もできない。違憲だと訴えられたら致命的だ。
憲法学者の間に「自衛隊違憲論」は根強いが、従来の政府解釈は、国民の生命や幸福の権利を尊重する憲法13条を根拠に、個別的自衛権は許容してきた。しかし集団的自衛権を基礎づける文言は、憲法上にない。つまり、集団的自衛権の行使の結果、政府が訴えられれば、巨額の賠償責任を負う可能性があるということだ。たとえば命令を拒否して懲戒処分になった自衛官や、本土への報復攻撃で被害を受けた人々から、国家賠償訴訟を提起される可能性がある。不安定な法的基盤のもとでは、首相は不安を抱えて集団的自衛権を行使することになる。
情勢が緊迫しているから憲法を無視してもいいと開き直るのは、自ら違憲と認める自白に等しい。司法の現場では、政府がどれだけ必要だと言っても、違憲は違憲。多くの法学者が解釈改憲を違憲だと言っているのは、政治的な反対ではなく技術者としての忠告だ。
国内の憲法を無視すると、国際法もないがしろにすると見られ、外交上もリスクが高い。三権分立をやっていない国はあるが、国際社会で信用されていない。その仲間入りをしてもいいのだろうか。支持を得る自信がないから解釈改憲に行くのだろうが、本気で集団的自衛権が必要だと考えるなら、真正面から憲法改正を提案するしかない。
私自身は、行使容認自体にも、現段階では反対だ。アメリカに守ってもらうためのご機嫌取りが目的ならば、日米安保の枠組みでなぜ不十分なのかが疑問だ。
(引用ここまで)
http://goo.gl/lmH9tC
倉山満によると
「木村草太氏の文章を読めば、ご本人が日本国憲法は欠陥憲法だ、と言っていることになりますね。」
とのことです。
倉山の木村草太氏の朝日新聞へのインタビューに対する論評を一部紹介します!
木村草太氏
憲法学者の間に「自衛隊違憲論」は根強いが、
従来の政府解釈は、国民の生命や幸福の権利を尊重する憲法13条を根拠に、
個別的自衛権は許容してきた。
倉山の論評は以下の通り
日本国憲法13条
すべて国民は、個人として尊重される。生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利については、公共の福祉に反しない限り、立法その他の国政の上で、最大の尊重を必要とする。
木村氏によると、この条文を根拠に政府は個別的自衛権を合憲との解釈を導き出したという事実認定になる。
質問一、
どの内閣のどの時点での解釈なのか。
どの内閣のどの時点での解釈なのか。
首相・担当閣僚・内閣法制局長官の国会答弁など、政府の有権解釈と認められる証拠とともに述べよ。
質問二、
それ以前の内閣の解釈は?あるいはその時点以前の解釈は?
それ以前の内閣の解釈は?あるいはその時点以前の解釈は?
同じく、首相・担当閣僚・内閣法制局長官の国会答弁など、政府の有権解釈と認められる証拠とともに述べよ。
質問三、
質問一の答えが第一次吉田茂内閣でない場合、それは解釈変更ではないのか。
質問一の答えが第一次吉田茂内閣でない場合、それは解釈変更ではないのか。
ないとしたらその理由。日本語の意味を恣意的に変更しないで答えよ。
質問四、
どこをどう読めば13条から個別的自衛権の方は導き出せるのか。
どこをどう読めば13条から個別的自衛権の方は導き出せるのか。
また、同じ自衛権でありながら集団的自衛権の方は、この条文では認められない理由を述べよ。
質問五、
安倍内閣にだけ解釈変更が許されない理由を述べよ。
安倍内閣にだけ解釈変更が許されない理由を述べよ。
なお、政府がかつて解釈変更を一度もしなかったわけではないことは、第二次安倍内閣の報告書に記載されており、内閣法制局も事実として認めている。
(倉山満の論評全文は倉山塾コミュニティに掲載しています)
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