創りたいのは自死ゼロと事故ゼロの世界
【うつ専門メンタルコーチ&講師】
安田伸也です。
今回は「否定と肯定は同じ」ということを面白おかしく書いてみました。
これ結構人はハマってしまいます。
「絶対にこの箱は開けないでください」
そう言ってその箱は渡された。
浦島太郎は、助けた亀に連れられて訪れた海の底にある竜宮城で、美しい乙姫様と共に夢のような数日間を送る。
その竜宮城を去るときに乙姫様から送られたのが玉手箱だ。
しかし、浦島太郎が地上へ戻ると、数百年経っており世の中はスッカリ変わっていた。
知り合いなどは誰もおらず、絶望した浦島太郎は、開けてはいけないと言われて渡された玉手箱を開けてしまう。
細かい所は違っているかもしれないが、これが誰もが知っている「浦島太郎伝説」の概要だ。
この物語は、明治時代から昭和にかけて小学校の教科書に採用され有名になったようだ。
ウィキペディアの解説によると、小学校の教科書に採用された目的は、約束を守る大切さを教えようとしたとのことであった。
浦島太郎は、絶対に開けてはならないという玉手箱を開けてしまった。
だから、老人になってしまうという罰が下った。
君たちも、約束を守らないと罰が下るという教えのようだ。
それにしても、どうして浦島太郎は乙姫との約束を破り、玉手箱を開けてしまったのだろうか?
わたしは、乙姫の言葉にこの疑問を解く鍵があると思う。
「開けてはならない」という言葉だ。
アメリカの心理学者ダニエル・ウェグナーが1987年に行った「シロクマの実験」というのがある。
実験参加者をA・B・Cの3つのグループに分ける。
そしてシロクマの1日の生態を追った同じ動画をそれぞれのグループに見せる。
そしてこう指示する。
Aグループの参加者には「シロクマのことを覚えておいてください」と指示。
Bグループの参加者には「シロクマのことは考えても考えなくてもどちらでもいい」と指示。
Cグループの参加者には「シロクマのことは考えないでください」と指示したのだ。
一定期間を置いた後に同じ参加者に集まって貰い、参加者にシロクマの動画について質問したところ、一番シロクマの事を覚えていたのは「シロクマのことは考えないでください」と指示されたCグループだったそうだ。
どうして忘れろと言われたグループが、一番詳しく覚えていたのか。
実は、人間の脳は否定と肯定の区別が付かない。
すべて肯定と捉えるのだ。
何故なら「考えない」とか「忘れよう」とするときには、一旦その対象をイメージしなければならないからだ。
そして、自分が考えていないか、忘れているか確認作業が必要だ。
だから、忘れるためには、必ず1回は思い出さなければならない。
人間は、イメージする回数が多ければ多いほど、心に刻み込むように出来ている。
だから、シロクマの実験のように、考えないようにしたCグループが一番覚えているという結果になる。
この皮肉な結果は、日常生活でもよく起きているのではないだろうか。
例えば、失恋したときに相手のことを早く忘れてしまいたいと思うだろう。
そして、早く忘れようとすればするほど忘れられなくなる。
そんな経験はないだろうか?
また、子どもの頃は学校でよく廊下を走ると「廊下は走るな」と叱られる。
しかし、何故だか走りたくなってしまう。
そんなことは無かっただろうか。
また、映画などではイケメン俳優が「俺なんか好きになるんじゃない」とか「俺のことは早く忘れろ」なんてヒロイン役の女優に言う台詞を耳にしたことはないだろうか?
このように否定語で指示されると、ついついやりたくなる。
これを「否定命令」という。
もしも、「否定命令」を竜宮城の乙姫が意図的に使ったとしたら、この浦島太郎伝説は、実はこんな物語ではなかったのだろうか。
私の推理はこうだ。
浦島太郎に助けられた亀は、乙姫の化身であるとの説もある。
だから、乙姫は亀の姿に化けて、たびたび浦島太郎の漁村を訪れていたのだ。
そんなある日、悪ガキに捕まった乙姫は、助けてくれた浦島太郎に恋をしてしまう。
何とか浦島太郎と一緒に居たい、そして出来ることならば添い遂げたい。
そう思った乙姫は、再び亀に化けて恩返しを装い浦島太郎に近づき、ついに竜宮城へ連れて来ることに成功する。
そして、思いを遂げた乙姫は、毎日宴会を開き浦島太郎に尽し続ける。
ところが、身も心も捧げたはずの浦島太郎は、突然里へ帰りたいと言い出す。
この時、乙姫はどんな気持ちだっただろうか。
このままずっと一緒に居てくれると信じていた浦島太郎が、居なくなってしまう。
そして、いくら引き留めても、浦島太郎の意思は硬く変わらない。
乙姫は、自分を置いて帰ってしまう浦島太郎を赦せなかった。
だから「開けてはいけない」と否定命令し、玉手箱を渡した。
里帰りした浦島太郎は、罠とは知らず乙姫のもくろみ通り玉手箱を開けてしまう。
つまり、老人になってしまった浦島太郎は、まんまと乙姫の策略に填まってしまったのだ。
そう考えないと、話の辻褄が合わない。
何故なら、開けてはいけない玉手箱を、わざわざ渡す理由など無いのだから。
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