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 この本は、小中学生向けの「YA心の友だちシリーズ」本だけれど、竹田和平さんは日本一の投資家といわれた人だからビジネスマン向けの活動もしていた。世にビジネス書はワンサカあるけれど、その中で日本人の基本である「徳」の大切さを正面切って語っている書物はあまりにも少ない。和平さんの著作は、常に「徳」を中心に据えた、稀有な著作である。2015年9月初版。

 

【はじめに(タイトル改題)】
 日本一の個人投資家と呼ばれるようになってから、みんなから「どうしたらそんなにお金に好かれるのか」と聞かれるようになった。
 そこでぼくが言うのは、「大金持ちになりたい」とか「お金さえあればいい」とか、ただお金を得ることを目指すとしたら、そんな人にはお金は寄ってこないということ。
 たとえば、小さな器にたくさんの水を流し入れても、器の大きさ以上の水をとどめておくことはできないね。お金にとっての器とは自分自身の心。だから、大金を持つためには、まず心の器を大きくしておくことが必要なんだ。
 それには、心の勉強が大切だ。まごころや「徳」の大切さを知って身につけてほしい。よい心と情熱があれば、知識や経験はちゃんとついてくるから。・・・中略・・・。
 僕が目指すのは、まごころと感謝を常に忘れずに「徳」を積み、得られたお金を世の中に生かせる人になること。
 そのお手本が、昔話の「花咲かじいさん」なんだ。(p.1-2)
 このあと、昔話の「花咲かじいさん」のあらすじが記述されている。
 ふたりのおじいさんは、同じような行動をしても同じ結果にはならなかった。なぜならそれは心が違ったから。
 よくばりないじわるじいさんは、すべてが自分本位。やさしい正直じいさんは、子犬や臼を大切に思い、まごころで行動したという違いからなんだね。
 この本には、君が「花咲かじいさん」のような幸せなお金持ちになるために、心がけること、知っておくといいことを書いてみた。「平成の花咲かじいさん」からの贈り物、ぜひぜひ読んでね。(p.4)

 

 

【「自分のものは自分のもの!」という考え方】
 「自分のものは自分のもの!」という考え方は、お金に対する執着心となってしまう。
 たとえば、「消費税なんて払いたくない!」とか、「自分のお金は使いたくないから、誰か買ってくれる人いないかな」とか、思うようになったら要注意。
 ぼくは、苦労はしてもお金に迷うことがなかったのは、自分のもとにやってきたお金は、世の中が預けてくれたものと考えるようにしてきたから。
 たしかに自分の力で稼いできたお金だけれど、その本当の持ち主は世の中であってぼくではない。
 世の中から信用をしてもらって、「この分はあなたが使っていいよ」と預けてもらったものなので、使う権利はあるけれど独占所有する権利はないと思っている。
 すると、お金を自分のためだけに使うことはできなくなり、なるべく人に喜んでもらえる使い方をしようという気持ちが生まれるようになる。(p.22-23)
 「自分のものは自分のもの」という意識傾向が強くなるのは、大抵、経済的に逼迫している状況の時、逼迫している状況の人なのだろうけれど、全ての人がそうであるとは限らない。下記リンクのトニー・イライアスのような人々は結構いる。
   《参照》  『夢を翼にのせて』 岡村嘉子  双葉社
            【トニー・イライアス】

 トニーのような人であるなら、「これだけ物が豊かな社会に生きていながら、餓死できるなんて、なかなかロマンある死に方だぜ」と思いつつも、決してそんな状況にはならない。「貧すれば貪する」だけの凡人はいずれ餓死するだろうけれど、「貧していても他に与える」ような清らかな魂の人は、徳分ある故に、天が見放さないからである。

 

 

【最高の貯蓄法】
 人間の価値を表すもの、人間の価値を作り上げるものはなんだと思う?
 それが「徳」なんだ。相手に喜ばれる行いをすることを「徳」を高めると言うけれど、「徳」のある人はすべてにおいて尊ばれる。
 本当に豊かに成功できる人は「徳」のある人なんだ。・・・中略・・・。
 ぼくは、お金の有無で人に対して態度を変えることはしない。しかし、「徳」の高い人の前では素直に頭を下げるだろう。
 お金で信用は買えないけれど、信用があれば、銀行が貸してくれたりしてお金をつくることはできる。
 おなじように、お金で「徳」は買えないけれど、「徳」のある人はきっと一生お金に困ることはないと思っている。つまり、「徳」を貯めることこそが最高の貯蓄法なんだ。(p.28-29)
 和平さんはビジネスのみならずスピリチュアルな研鑽も積んだ方だから、他者の徳の有無を見分ける事ができただろうけれど、誰にどれだけの「徳」があるのか、凡人にはそんなに簡単に分からない。
 少なくとも社会的な地位や肩書、住んでいる家や乗っている車の立派さなど、何ら確かな判断材料にはならないけれど、余りにも叡智のない人は、そのような外見や噂話のみで容易に人を判断するだろう。叡智のなさは徳のなさに正比例している。
 最も簡単な、「徳」の積み方=「貯徳法」は、一番最後に書き出しておいた。

 

 

【まごころいっぱいで】
 孫には、幸せに生きていくのに大事な言葉の順番を教えている。
 一番=まごころ、二番=ありがとう、三番=わくわく、四番=智徳、五番=勇気とね。
 孫は、暗記したことを得意になって教えてくれる。そうしたら、「えらい坊や」と頭をなでてやる。孫からは笑顔が返ってくる。気持ちのいいまごこころのキャッチボールだね。
 まごころは喜び、自我は苦しみ。まごころは相手が喜び、自分が喜ぶことをするということ。
 何をするにも、まごころが一番大事。
 心がけしだいで、誰でもまごころいっぱいの人になれるんだ。(p.61-62)
 和平さんは常に「まごころ」を語っている。下記著作タイトルの“まろ”もこのことである。
   《参照》  『智徳主義【まろUP!】で《日本経済の底上げ》は可能』 竹田和平・舩井勝仁・小川雅弘 (ヒカルランド) 《後編》
            【タイトル改題】
   《参照》  『智徳主義【まろUP!】で《日本経済の底上げ》は可能』 竹田和平・舩井勝仁・小川雅弘 (ヒカルランド) 《前編》
            【智徳】

 

 

【ワクワク生きるコツ】
 日々のちょっとしたことでわくわくできることは、とても大切なんだ。
 でも、わくわく生きるってどういうことだろう?
 わくわくするコツをふたつ紹介しよう。
 まずひとつ目は、普段歩く時にニコニコしてみるんだ。
 ベビーカーの赤ちゃんや散歩中の犬、石塀の上で寝そべっている猫にもニコニコ。見知らぬ人とすれ違う時も、心の中で「わくわくですね!」って話しかける気持ちでね。
 でも本当に話しかけたらびっくりされちゃうから、あくまでも心の中だけで。すると、なぜだか自分がわくわくしてくることに気がつくよ。
 相手からいい気をもらっているのかもしれないけれど、本当にわくわくしてきちゃう。
 ふたつ目のコツは、扉を開けるたびにいいことがあると言い聞かせること。扉を開けて、いまいる部屋を出る、つまり次の世界へ行くわけだ。
 その時、「次の世界でいいことがある!」「扉を開けるたびにいいことがある!」と思うと、本当にいいことが起こってくるんだ。・・・中略・・・・。
 小さいことだけど、これを習慣にするだけで、不思議なことに毎日がわくわくしてくるから。(p.79-81)
 和平さんが言っているワクワクする方法は、あらゆる機会を良き結果の先取りとして活用する潜在意識の自己洗脳術である。
 「扉を開けて次の世界へ出たら、犬のウンチを踏んじゃった!」としても、ウン(チ)が付いたんだから「ボクはとてつもなくウンがいい!」と深く確信できるようになっていたら本物。
   《参照》  『トレンド学』 秋元康 (マドラ出版) 
            【運は思い込み】

 

 

【天が見てるよ】
「天が見てるよ」とよく教えてくれた、祖母の言葉は一生の宝物。
 いい子でいる時、天は母のようにやさしく、悪い子になると、天は父のように怖く、そして天からは決して逃げられない。
 ぼくの無意識に植え付けてくれたこの言葉のおかげで、取り返しのつかない失敗をしないで生きてこられたように思っている。
 イソップ物語の「金の斧、銀の斧」の話は知っているかな?
 ・・・中略・・・
 いつも正直でいるか、欲にかられてうそをつくか、それが招く結果を見れば、どうするべきかはわかるよね。女神様にはお見通しなんだ。
 お見通しといっても、見張っているのではない。天にいる御先祖様やいろんな目がいつも見守ってくれているということ。
 うそをつくこと以外にも、できないことを誰かのせいにする。
 知らないことはかっこ悪いと知ったかぶりをする。
 そういうのも全部、天は見ているんだ。
 間に合わせでは、いつまでたってもうまくいかない。
 できなければ、できるまでチャレンジすればいい。
 知らないことは聞けばいい。
「人」と「お金」に愛される人になりたかったら、天に恥ずかしくないように正直に、なんでも本気でやらなきゃ。本気の努力はきっと天が見ているよ。
「天が見ているよ」ということが、心の真ん中にしっかりと入っている人が増えたら、きっと事件や事故も減り、おかしな世の中にはならずにすむと思う。(p.84-86)
   《参照》  『神との語らい』  深見東州 (たちばな出版)
            【教育の務め】 【学問の初め】
   《参照》  『受け入れの法則』 山川紘矢・亜希子/naho & maho (徳間書店) 《中編》
            【バランスの問題?】

 

 

【「徳」を積むための、一番簡単な方法】
「徳」を積む=「貯徳」のための一番簡単な方法を教えようか?
 それは「ありがとう」と口ぐせにすること。
「ありがとう」という言葉は喜びを生む。ひとつの「ありがとう」から、ひとつの「徳」が貯められる。
「ありがとう」を口にすることなら、いますぐにでも始められるだろう?
 ぼくは、毎日3000回の「ありがとう」を唱えることを習慣にしていた。それで何事にも調子が良くなって。すべてがグッドタイミングで起きるようになったんだ。不思議な話だけ度本当だよ。(p.97)


 ぼくは六十九歳で入院した時、心の中で元気が足りないと感じたんだ。
 だから、心(潜在意識)を元気にするために、毎日「ありがとう」を言い続け、花咲かじいさんを理想像にして生きることを決めたんだ。
 おかげで、八十歳を過ぎても元気でワクワク生きている。(p.90)
   《参照》   『幸福論』 須藤元気 (ネコ・パブリッシング)
              【ありがとう】
   《参照》   『誰も知らない開運絶対法則』 白峰・有野真麻 (明窓出版) 《前編》
              【ありがとうございます】
   《参照》   『「ありがとう」は魔法の言葉』  佐藤富雄  宝島社

 

 

                <了>