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 本当の生き方を求めて会社を辞めようかどうか迷っている人には、最適な実体験書である。会社という防波堤が無くなった場合の現実的な困難も含めて、お金に関する意識を切り替えてゆく過程が記述されている。2016年6月初版。

 

【つまり、会社で働くということは・・・】
 つまり、私はこう言いたいのだ。
 会社で働くということは、極論すれば、お金に人生を支配されるということでもあるのではないか。(p.15)
 分かり切ったことである。
 貨幣経済社会に生まれ出た瞬間から、人はお金に支配されるような既存の社会意識に染められてゆく。
 会社を辞めたいと思う時、あるいは仕事を辞めたいと思う時、その思いを即座に実行できないのは、いつだって誰だって“お金”の問題があるからだろう。
 会社で働くことに疑問を持っている人、自分も会社を辞めたいと思っている人、そして一生会社にしがみついて生きていこうと思っている人。この本が、すべての人に、改めて「会社で働くこと」について考えるささやかなきっかけとなれば幸いです。(p.18-19)

 

 

【お金のモンダイ】
 お金のモンダイについては私にもできることがあると思いました。
 それは、「お金がなくてもハッピーなライフスタイルの確立」です。 (p.40)
 「いますぐ仕事を辞めても、お金のモンダイは全然なく、従来通りの生活ができる」と言える人は、かなり例外的なケース。本書は、そのような人を対象に書かれてはいない。
 収入がなくなることを前提とし、それでも退職を選択したい内心不安な人が、本書の対象読者。そもそも、価値観の転換ないし逆転を伴わないのなら、『魂の退職』というタイトルになっていないのだから、この視点を失わずに読了できたら、実行は早いだろう。
 ところで、著者が「お金がなくてもハッピーなライフスタイル」があることに気づけたのは、大阪から地方都市(香川県高松市)に転勤になったからである。
 疲れ気味の地方都市では、都会で何年も金満生活を送っていた私が「買いたい」と思うものはそれほど多くはないのであった。・・・中略・・・。
 要するにですね、私はまず物理的に、そして非常にネガティブな理由で、それまでの「金満生活による幸福の追求」を諦めざるをえなかったのであった。(p.49)
 最初に抱いた、このようなネガティブな心根を、その後、徐々にポジティブ側に変容させてゆく過程があったのである。
 具体的には、何もない地方都市で、「楽しみを見つける」ことに真剣に取り組んでいたら、お金を使わずに楽しい生活ができていたことに気づいたのである。

 

 

【香川県が誇る2つの日本一】
 1つは、言わずと知れた「うどん」一世帯当たりのうどん・そば消費量が、ご想像の通りダントツで日本一。(p.61)
 で、もうひとつの日本一が、これはほとんど知られていないと思うのだが、一世帯当たりの平均貯蓄率が日本一なのである(2008年当時)。(p.63)
 香川県のうどん一食の代金は200円程度だろう。ワンコイン(500円)で安いと言っている都市生活者は、金満生活に染まっている自覚がないのである。
 香川県民のように、食費が安く、住宅費も安ければ、都会並みの収入などなくたって貯蓄も出来るだろう。
 イタリア人は、全員が香川県民的生活スタイルらしい。食費に関しては、うどんをパスタに置き換えればいいだけなのであって、住宅費に関しては、香川県民のはるか上をいっている。
   《参照》  『フェラーリと鉄瓶』 奥山清行 (PHP) 《前編》
              【少なく稼いで優雅に過ごすイタリア人】

 チャンちゃんは香川県民ではないけれど、子どもの頃から貧食慣れしていたから、食事なんて不味くさえなければ、安い方がいいと当たり前に思っている。故に、飲食費に多額を注ぎ込む人間を見ていると、異星人かアホに違いないと思っている。そして、大抵は後者で、そういう輩は経済観念に乏しくまた倫理観も乏しい。つまり魂の定位置が餓鬼界側なのである。
 餓鬼界人間は金満生活に憧れているから世間体が何より大切なのである。家や車のローンを抱えていながら、人の金品を奪ってでも食費に多額を費やす生活スタイルを維持しようとする。これはもう完全に方程式である。このような人間たちは、地球進化の加速段階に入っている近年、近未来の時代精神から排除され、分岐の時を境に、異なるタイムラインへと移送されてゆくことだろう。

 

 

【「うどん」という価格の基軸(通貨)】
 そう、香川県民は「入場料だけでうどんがウン十杯食べられる」と考えるのだ。つまりは、あまりにも高い。もったいない。シビアである。テーマパークは「夢」を売る商売なので、現実の生活は度外視してお金を払うことで商売が成り立っているのだが、そんなドリーマーの理屈は香川県の人には通用しない。(p.64-65)
 うどんがブームになっても、香川県のうどん屋さんは、値上げなどしなかったという。香川県では、うどんこそが価格の基軸(通貨)だからである。フラフラしない。
 で、そんな香川県での生活を通じて著者が気づいたのは、以下のこと。
 ただお金があればハッピーでリッチ、なければ不安で不幸。それまでずっとそんなふうにしか考えていなかったのだが、どうも、お金ってそんな単純なもんじゃない。(p.68)
 「だったら、お金って、端的に、どんなもんじゃい?」ってマジ突っ込みを入れたら、
 「もんじゃじゃなくて、うどんじゃい!」って返ってくるだろう。

 

 

【林住期】
 寿命がこれほど長くなった今、この「林住期」という考え方は、これからの日本人の人生観にとって大きなヒントになるのではないか? (p.73)
 「林住期」とは、著者さんが宗教学者の山折哲雄先生に取材したときに聞いた、古代インド人の人生4段階区分概念のひとつ。その4つとは「学生期」「家住期」「林住期」「遊行期」。
 「林住期」を手短に言えば、社会活動・経済活動を終えて林間に住み瞑想などに励んで悟りを得る時期であり、「遊行期」は、得た悟りを説いて回る時期のこと。
 「林住期」を現代的に言いうなら、他者によって作られていた社会意識から出て、自分自身の魂の意識を回復させる時期と言い換えることができるだろう。

 

 

【「お金」を切り離す】
 仕事とは何なのか。会社とは何なのか。中年期にさしかかった私は、そんな、どうやっても行先の見えない暗がりに迷い込みかけていた。
 ところがうどん県での暮らしを経て、私は何だか少しずつ開き直り始めていたのでした。
「それがどうした」という気持ちになっていたのです。「それ」というのはもちろん、自分の評価です。
 なぜか。原因はおそらく、一つしかありません。
「お金」です。 (p.82-83)
 古代インド社会では、「家住期」と「林住期」の間に、お金に関する截然とした区切りが普通にあった。出家とか隠遁に類する概念が定着していたのである。ところが、現代の日本人は、退職後も経験を生かして働くことが優れた人生であるかのように思い込んでいる人々が少なくない。それだけ、日本人は、魂の本源から言って大きくズレた人生パターンに組み込まれてしまっていると言えるだろう。
 チャンちゃんは、50歳を前に既に「林住期」に入っていた。もともと「お金のために生きるのだけは、絶対にイヤ」と思っていたから、「お金」に拘束される結婚生活を選択することはなかった。独身のまま「林住期」を志向するという点で言うならば、チャンちゃんは著者の先達である。
 だからこそ、このブログ内で、最も頻繁にリンクしてきたのが下記リンクなのであって(今ブログ内検索で確認してみたら現時点で33回目)、これは「林住期のススメ」以外の何物でもない。
  《参照》   『アセンションの超しくみ』 サアラ (ヒカルランド)  《前編》
            【社会意識(コントロール・グリッド)という檻から出る】

 

 

【「やる気」は、依然として「お金」ですか?】
 「高い給料を払うと優秀な人材が集まる」という常識を、逆に社員の視点から言い換えると、こうなる。「高い給料をもらうほど、やる気が出てよい仕事ができる」。
 外国のことはよく知らないのですが、少なくとも日本に関する限り、この考え方はすべての会社において当然のことと考えられているのではないでしょうか。 (p.92)
 パブル時代を経験してきた世代の人々ほど、この記述に頷くのだろう。しかし、下記リンク著作をきちんと読めば、科学的にも、実態としても、まったく誤った常識(概念仕様)であることなど、一目瞭然のはずである。
  《参照》  『モチベーション3.0』 ダニエル・ピンク (講談社文庫) 《前編》
 若者たちの「人生とお金」に関する概念仕様の実態は、既に大きく変化している。日本だけではない。世界全体の若者たちの人生にかかわるお金の概念は、大人たちのそれとは既に違っているのである。地球進化の過程を理解しているなら、インディゴ・チルドレンやレインボー・チルドレンの存在と、彼らの内面を理解しているはずである。
  《参照》  『地球人革命』 松久正 (ナチュラルスピリット) 《後編》
          【地球に生まれてくる高い次元の子どもたち】

 現在は、既にインディゴ世代が親となり子供たちが生まれ始めている時代なのである。つまり社会の運営方法が若者たちの人生観(魂観)に合わなくなっているのである。なのに、社会の側がそれを全く理解していない。
 特に、日本は世界の雛形となる国であるが故に、「人生とお金」を切り離すことができて、なお自然と一体となった生活に切り替えることができた人だけを残すために、下記リンクに示す“分岐”の時が迫っているのである。
  《参照》  【鍵】バシャール 【日本へのメッセージ】
 本書は、世界を先導する役割のある日本人の生き方を変えるために、「地球進化のステージにおいて、大きく出遅れてしまっている日本人の大人たちこそが、まずは、スタート地点に立ちなさい」という、第一弾の役割を担っているのだろう。