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 カタカムナというと、科学者であった楢崎皐月の名前とペアで紹介されていることが多く、今まで読んだものは科学的なアプローチによる内容が殆どだった。しかし、この著作は、あえて“思念による解釈”に特化して記述されている。ちょっと意外な内容だったけれど、女性著者ならではのこの著作によって、カタカムナに興味を持つ女性が大いに増えることだろう。それって、とっても良いことである。
 七沢賢治さんのように、言霊を科学的に解明し応用している方々はいるけれど、言霊を感覚的に掴んで本質に迫ろうとする女性的な方法は、決して前者に劣るものではない。いや、劣るどころか、多分、勝るだろう。2015年9月初版。
   《参照》  七沢賢治・著の読書記録

     『言霊設計学』

     『言霊はこうして実現する』

     『天皇祭祀を司っていた伯家神道』  船井幸雄・推薦

 

【カタカムナ概論】
 カタカムナのカタとは「カタチのあるもの=物質・生命体」のことです。これをカタカムナではエネルギーの「容れ物」と見ます。つまり「カタ」とは「空間」のことなのです。・・・中略・・・。
 次に、カムというのは「その力の広がり=生命エネルギー・魂」のことで、カタから湧き出ています。空っぽの空間に、エネルギーが入ることで、初めて形のある肉体や物体ができるのです。そして、カタとカムの2つを統合する核を「ナ」といい、「ナ」は「十」に通じます。カタとカムの統合した肉体から、ナを通して何かが放出されている。その何かとは、言霊であり、したがって生命体から放出されている言霊が現象界に実体を表す力となっているとカタカムナでは言っているのです。
 この「カタカムナ」という目に見えない生命エネルギーの循環する構造がすべての生命、すべての物体、すべての現象の基本構造です。・・・中略・・・。
 「カタカムナ」は、自分の感じる心の中にあり、「今」を感じてどう思うかが震源となり、現実の世界に共振現象を起こし、実際に現象として現れるのです。(p.44-45)
 上記の内容を、簡略に書き出すと、
 「カタ・カム・ナ」 = 「空間 + エネルギー」 ⇒ 言霊(現象)

 

 

【カタカムナウタヒの中で語られていること】
 カタカムナウタヒとは、カタカムナ文献のこと。
 中心図象から放射状に広がったカタカムナ文字の一塊を「ウタヒ」といい、それが80首あることから、カタカムナウタヒと表現されている。
 カタカムナウタヒの中で徹底的に語られているのは、見えないエネルギー、思い、思念がこの世の中を作っていると言うことなのです。おそらく、これこそが、カタカムナ人が後世の人に伝えたかった思いではないでしょうか。(p.154)

 

 

【カタカムナウタヒの中心図象3分類】
 80首のカタカムナウタヒをよくよく見ていると、大きく3つのパターンがあることがわかります。
 ポイントは渦巻の中心です。
 ウタヒの渦巻の中心にある図象は、3種類しかありません。そして、中心は文字としては読まず、何かを象徴しているものです。
 ひとつは、円に十字を切ってあり、円の外周が小さな8つの丸で飾られている図象で、「ヤタノカガミ」と言います。
 2つめは、円に十字とひし形が描かれた図象で、「フトマニ」と言います。
 3つめは、シンプルな円形で、「ミクマリ」と言います。  (p.37)
 巻末に掲載されている、カタカムナウタヒ80首のうち、
 「ミクマリ」は、   2首 (1.15)
 「フトマニ」は、   7首 (2.11.18.21.46.77.78)
 「ヤタノカガミ」は、71首 (残り全部)
 となっている。

 

 

【「カタカムナウタヒ」の3分類 と 「三種の神器」】
 この3つが何を象徴しているかわかるでしょうか。(p.37)

 「ヤタノカガミ」とは、その名の通り「八咫鏡」です。・・・中略・・・。
 フトマニは・・・中略・・・「草薙剣」です。・・・中略・・・。
 ミクマリはもちろん、三種の神器の残りひとつ、「勾玉」です。 (p.38-39)
 天皇家の祭祀の内容を記述した後、以下のように書かれている。
 私は、この話を聞いて、天皇家はカタカムナを引きついているのだと確信しました。(p.43)
 三種の神器は、命を生むための3つの構造(3段階のエネルギー)を図象化したものであることが、第5章に記述されている。

 

 

【「思念表」に対応させて、その言葉の本質を読み解く】
 本書では、そんなカタカムナ文字が示す果てしない世界観の一部を体得していただきたいと思います。
 具体的には、言葉に宿る「思念」「エネルギー」といったものを解き明かしていくことで、私たちが普段何気なく話している言葉、あるいは、身近な人や物の名前、それに、社会現象や歌、物語にいたるまで、そこに秘められた意味を知り、本質がなんであるかを突き止める方法をお伝えします。
 その方法は、私が考案した「思念表」を使います。
 思念表は、カタカムナ文字48音それぞれに宿る「思念」を特定して一覧表にしたものです。
 ・・・中略・・・(思念表に対応させて)単語や文章を読んでみると、その言葉の本質的な意味が面白ほど浮き彫りになることを発見しました。(p.24-25)
 で、その「思念表」は、p.68-69 に掲載されている。
 読者は、この思念表を繰り返し使いつつ、この本を読むことになるだろう。

 

 

【「氏名」から読み解く「使命」】
 他の言葉が思念で読み解け、その本質がわかるのであれば、人の名前を読み解けば、その人が生きている使命が分かるでしょう。だから、人の名前を「氏名=使命」と呼ぶのです。後にお話しますが、同音異義語は、振動数が同じなので実は同じ本質を持っています。(p.25-26)
 著者が作成した「思念表」によって、自分の“使命”が分かるだけでも、この本は“買い”だろう。
 また、このブログを書きながら漢字変換をしていると、同音異義語がいくつも表れて誤変換のままアップロードしてしまっていることがしばしばあるけれど、後にそれらを読み返している時、ふと誤変換のままの意味に立ち止まって考えてしまうことがあった。例えば「きょうせい(共生・強制・矯正)」であるけれど、これを思念表に当てはめて解釈すると、「な・る・ほ・ど~~~」と思うのである。
 同じ言霊(振動数)の同音異義語は、同じ本質を持っているという、当たり前のことがハッキリ明記されていて、それを自分で確認できる「思念表」が手に入るだけでも、ウルトラ価値のある著作である。
    《参照》   日本文化講座⑩ 【 日本語の特性 】 <後編>

              ■ 音が媒介する意味の広がりをもつ日本語 ■

 

 

【カタカムナを源としている言霊の力こそ、日本の源流だ!】
 万葉集に、「言霊の幸ふ国」という言葉が出てきます。辞書を引くと、これは、「言葉の霊力が幸福をもたらす国。日本のこと」または、「言語の呪力によって、幸福がもたらされている国。日本の美称」とありました。
 この言霊の力こそ、日本の源流だ! そしてその源流は、カタカムナを源としていると私は感じたのでした。(p.29)
 日本文化と言霊の関わりを、今まであまり自覚しこなかった方は、下記リンクを辿ってみてください。
    《参照》   日本文化講座 ⑤ 【 言霊・天皇 】
 日本語の48音は、地球と宇宙の源の言霊だと私は確信しています。(p.175)
 同感。
 チャンちゃんは、日本語=宇宙共生原音だと思っているけれど、下記リンクのコメントでは、それを西洋音楽と日本文化の対比の中で表現しておいた。
   《参照》   『自分の中に歴史を読む』 阿部謹也  筑摩書房

               【ポリフォニーと交響曲】

 

 

【カタカムナで言霊を読むルール】
 元気(ゲンキ)という言葉を元に、「思念」読みと、そのルールを書き出しておこう。
 先に「ン」について、
 その役割は、前の音の思念エネルギーを高めることです。(p.79)
 「ン」は、前の音の思念エネルギー(意味)を強める、がポイント。
 次に濁音について、
 濁音がつく場合でも、基本的に音の意味は同じです。ただし、エネルギーの方向が変わります。・・・中略・・・、濁らない「ケ」の場合は外側に放出するエネルギーを意味し、濁って「ゲ」になると内側に放出するエネルギーを意味します。(p.79-80)
 「ケ」を思念表で見ると「放出する」。「キ」は「エネルギー」だから、
 「ゲンキ」は、「強く内側に放出するエネルギー」ということになる。
 なるほど~~~、という感じ。
 同様に、「ノンキ(呑気)」を解釈すると、
 「ノ」は「時間をかける」だから、「時間がかかり過ぎるエネルギー」になる。
 良くできている。

 

 

【小さい音「ッ、ャ、ョ」など】
 大きい音・・・中略・・・と同じ思念になりますが、小さくなると、意図的ではない自然現象を表す意味に変わります。(p.81)
 「キヨウ(器用)」と「キョウ(今日)」の違いは、「ヨ」が、大きいか小さいか、だけれど、
 「キヨウ」は、「エネルギーが新しく生まれ出ること」になり、
 「キョウ」は、「エネルギーが新しく(自然に)生れ出る」になる。

 

 

【二通りの音がある言葉の読み方】
 その場合、正式な読み方を気にする必要はありません。今、一般的に多く使われている音を採用します。なぜなら、言霊のエネルギーと現実は影響し合っているので、読み方が変わると言うことは、現実のほうの本質も変化した結果なのです。(p.97-98)
 東京を「トウキョウ」と読んだり「トオキョウ」と読んだりするけれど、そういうこと。
 重複も「チョウフク」でも「ジュウフク」でも、かまわない。

 

 

【消えてしまった「ヰ」と「ヱ」が意味すること】
 48音の中には特殊な文字があります。
 「ヰ」と「ヱ」、そして「ヲ」です。
 ひらがなで書くとそれぞれ「ゐ」「ゑ」「を」ですよね。昔の書物、人の名前などではよく使われた3文字ですが、現在ではあまり見かけません。
 この3文字は、「イ」「エ」「オ」と音が似ているため、吸収されてしまいました。ヲはかろうじて残っていますが、「ヰ」と「ヱ」はほとんど使われなくなっています。
 しかし、この2つも文字は極めて重要な意味があります。思念では、「ヰ」は「存在」、「ヱ」は「届く」です。
 これは何かと言うと、生命の核に本当の自分がいて、この「本当の自分(存在)に届く」という意味なんです。ある意味、「ヰ」と「ヱ」の言霊が振動していたから日本人は素晴らしい道義性を発揮していたとも言えるのですが、戦後、使われなくなって消えてしまったということは、日本人は「本当の自分を見失ってしまった」ということを意味しています。

 ともあれ、・・・中略・・・、日本人の精神性の原点を再発掘するためにも、この2文字はぜひ復活してほしいと思います。(p.104-105)
 これは、非常に重大な指摘だろう。
 「ヰ」が使われている単語で記憶にあるものがあるとすれば、森鴎外の『ヰタ・セクスアリス』くらい。
 「ヱ」が使われている単語ではっきり思いつくものなんてないけれど、『カタカムナ』と同様に、超古代文献といわれている『秀真伝』を『(ホツマツタヱ)』と表している場合を何度か見ている。
 大人ですらこんな状態なのだから、小学校で「ヰ」と「ヱ」の文字と共に、正しい発音を教えるようにしない限り、復活は難しいだろう。

 

 

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