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 この本は、シャーリー・マクレーンの『アウト・オン・ア・リム』などの著作以降で、最も読まれた精神世界の本という触れ込みだったけれど、最初に読んだ当時それほど印象的な著作には思えなかった。2012年をエポックとしたアセンション系列の著作の中で何度か言及されていたから再読してみたけれど、やはりそれほどインパクトのある記述は見当たらない。94年10月初版。

 

 

【人類の争いの根底にあるモノ】
 人間はいつか、この宇宙が一つの動的なエネルギー、つまり、私たちを生かし、私たちの期待に反応するエネルギーから成り立っていることを、理解するようになる。しかも、自分たちがこのエネルギーの大いなる源から切り離されたこと、そのためにか弱くて不安で何か欠けていると、感じ続けていたことも、理解するようになる。
 この不安感に直面して私たち人間は常に、自分が知っている唯一の方法で、自分の個人的なエネルギーを増やそうとする。すなわち、心理的に他人からエネルギーを盗もうとするのだ。この無意識の競争こそ、世界中の人類の争いの根底にあるものなのである。(p.101)
 このエネルギーの奪い合いは、家庭内において親による子供の支配という形で始まってゆく。家庭内のエネルギー争奪形態が、そのまま社会的なエネルギー争奪形態になって行き、無意識の競争が展開されてしまう。
 「人間は競争ばかりして、お互いを急速に老けさせているのです」(p.325)
 親によって無意識の競争を刷り込まれた子供が、長ずるに及んで社会人(企業戦士)となり、無惨なほどに老けてゆく。

 

 

【樹木との対話】
 「あなたが物の美しさと個性を感じると、あなたはエネルギーを受けとります」と彼は言った。
「そしてあなたの気持ちが愛にまで高まると、あなたはそうしたいと思っただけで、エネルギーを送り返すことができるのです」しばらくずっと、私は木とともに座っていた。木に意識を集中し、その形や色を賞賛すればするほど、たくさんの愛を受け取るように感じた。(p.170-171)
 これは樹木との接し方として書かれているけれど、人間との接し方においてもまったく同じ。長所伸展法はエネルギーをより円滑に循環させる故に、場のエネルギーが高まり、全体最適を招来する方法ということになるのだろう。

 

 

【エネルギーとつながると・・・】
 「愛の役割はずっと誤解されていました。愛とは善人になるために何かするとか、道徳的義務感から世界をもっとよい場所にするとか、あるいは快楽を諦めるべきだというようなことではありません。エネルギーとつながると興奮し、至福感を感じ、それから愛を感じます。その愛の状態を維持するために、十分なエネルギーを見つけることは確かに世界を助けますが、それよりもまず第一に、自分のためになります。それは私たちにできる最も気持ちの良いことなのです」(p.175)
 宇宙との間で循環するエネルギーから切り離されてしまったから、人々は至福感を持てなくなってしまったばかりではなく、孤立するようにすらなった。つまり不幸な人々が増えてしまった。そこで不幸を緩和するために道徳のようなものが顕れたのだろう。循環するエネルギーという愛の中に常駐していたら、人は道徳などという概念を惹起することなどなかった。
 「あなたは宇宙とのつながりを失ってしまったのよ。そのかわり、あなたはマージョリーのエネルギーに中毒してしまったのね。これはあらゆる中毒と同じで、人か物を通して宇宙とつながろうとするの。これに対処するためには、あなたのエネルギーを高めてからあなたがここですべきことに、自分を集中させるといいわ」(p.296-297)
 何かに没頭している状態は、人や物に執着せずにいられる最上の状態。しかも没我ですらあるから、宇宙エネルギー(愛=神)に繋がりやすい。
 本来のタオは、下記リンクにあるように異性を通じてダイレクトに宇宙エネルギーと交流する手法だった。
   《参照》   『タオ・コード』 千賀一生 (徳間書店) 《前編》
 ところが、現代人は、宇宙とのエネルギー交流法を見失ってしまって以来、心理的に相手(異性)をコントロールするという溝に嵌ってしまっている。

 

 

【進化するためにこの地球に生まれてきた】
「最も大切なのは、この生活様式こそ本来の姿だとわかることです。私たちは自分の支配帝国を作るためではなく、進化するためにこの地球に生まれていきたのです。その人の知恵に代価を払うことによって変革が始まり、次に経済の自動化が進むにつれて、通貨は完全に消えてゆきます。私たちには必要なくなるのです。自分の直感に正しく従いさえすれば、自分が必要とするものだけを取るようになります」(p.344-345)
 この社会形態は、かつてムー大陸にあったものであり、進化した社会は、必ずマネー・フリー社会になる。
   《参照》   『プレアデス星訪問記』 上平剛史 (たま出版) 《前編》
             【階級制度と貨幣制度は不要】
   《参照》   『大和物語 第1巻 アマテラスのメッセージ』 山内光雲 (たま出版) 《前編》
             【「お金」という呪縛】

 この貨幣経済社会が末長く続くものと思い込んでいる人々って、この時代にこの地球に生まれてきたことの意味をすっかり忘れているだろう。意識が先導する人の進化と社会の進化は連動する。人の考え方が進化すれば社会は変わる。社会の制度的進化を阻み現状に固着する考え方は進化拒否に通じるのである。
 人は年齢を経るに応じて考え方の柔軟性を失ってゆく。老害を及ぼす人々はその自覚がないままに、進化のブレーキ役を堂々と胸を張って演じていたりする。痴愚である。

 

 

【進化の行方を示す第9の知恵】
 この書籍には、人間に気づきをもたらす第1から第9の知恵が記述されている。
 第1第2の知恵は、個人や文化全体が新しい世界観を構築しつつあることに気づかせ、第3第4の智慧は、宇宙がエナルギー体であることを見失っていた人類のありように気づかせ、第5の知恵は、そこからの回復法を示し、第6の智慧は、従来のドラマ(カルマ)を清算することを語り、第7の知恵によって本当の進化がスタートした。そして、その流れを維持する自他のかかわり方が第8の知恵であり、第9の知恵は、進化の行方を明らかにしている。
 第9の知恵は、僕たちが霊的に進化するに従って、地球が支えられるところまで、自発的に人口を減少させると言っています。僕たちは、地球の自然のエネルギーシステムの範囲内で、生活するようになるのです。農業は、個人的にエネルギーを注いだ植物を食べたいという場合を除いて、自動化されます。建築用材は特別に決められた地域で育成されます。この方策によって、他の木は自然のままに育ち、年輪を重ねて、最後は強力なパワーを持つ森林へと成熟することができるようになります。(p.345-346)
 現在の欲望社会は、本来人間が必要としないものまで過剰に生産し消費させようとする。直感力の失われた人々はこのような異常状態を異常であるとすら認識できないでいる。それゆえにこそ不必要に駆動されているエネルギーが地球を苛んでいるのである。
 人類が霊的に進化(神化)すれば、戦争や争いが生ずることはなく病気も克服されてゆくけれど、欲望・競争・老化を率先して選択した人々の肉体が、振動数を上げてゆく地球のエネルギー準位に同調できずこの地上から消えてゆくのに応じて、自ずから地球の人口は相応しいレベルに納まるだろう。
 現在の経済制度は、人口調節のための加速器みたいなものである。

 

 

<了>