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 この手の本に興味はないけれど、速読をキーに大切なことが学べるものである。2010年5月初版。

 

 

【速読で大切なこと】
 ここで気をつけていただきたいのは、「早く読めればそれでいいのか」ということです。
 速読で大切なことは、
「① スピード」 + 「②理解」 + 「③記憶」 です。 (p.20)
 「スピード」と「理解」は、“脳の回転力を上げる”ことで、ある程度までは共に実現できる。
 “脳の回転力を上げる”には、3倍速や4倍速の高速リーディングが聞き取れるように、何度も聞いてゆくことで実現できると書かれている。そのために3倍速、4倍速、10倍速リーディングのCDが付いている。つまり、「速聴」によって“脳の回転力を上げる”ことが有効、と言っている。
 ただし、「理解」に関しては、以下のようにも書かれている。
 本を3倍速で速読し、重要な部分にさしかかったら、2倍速、1倍速ぐらいまでペースダウンし、内容をしっかり理解しましょう。(p.102)
 「記憶」は、読後にすぐに復習するとか、読書記録を残すとかで実現する。これに関しては、特殊な訓練法がある訳ではない。
   《参照》   『自分を変えてくれる本にめぐり合う技術』 ハイブロー武蔵 (総合法令)
             【 「読書」 と 「書くこと」 】

 

 

【著者の「右脳式速読術」体験】
 何とか時間を捻出して夜間の「速読」の学校に通い、当時としては目新しかった、眼の動かし方でまとまった文字数を読みとる「右脳式速読術」をマスターしました。
 自慢するわけではありませんが、学校では一番の成績を上げ、速読の講師の免状まで取得しました。
 しかし、やがて、この方法では「分析力」や「理解力」に難点があることに気がつきました。専門分野の本や文献を読む場合、その内容がほとんど頭に残らないのです。
 私の目的は「行かに知識を吸収するか」だったはず。速く読めればいいというものではありません。(p.24-25)
 つまり、“視覚主導”では、本当の「脳力アップ」にはならないと言っている。
 そこで、“視覚主導”ではなく“聴覚主導”の「脳力アップ」に切り替えたということだろう。

 

 

【鍵は「速聴力」】
 アメリカでは、ずっと以前から、大学や教育機関などで、「聴く速さ」と「理解力」、「脳力」との関係について、科学的な研究が盛んに行われてきました。
「高速音声による聴覚刺激が、脳にどんな影響を及ぼすのか」
 が、研究の興味の対象となっているのです。 ・・・(中略)・・・ 。
 その結果、知能の高い子ほど、高速音声の理解度が高いことがわかったのです。(p.29)
 側頭連合野の中の“ウェルニッケ野”と名づけられた部分は、聴覚野を囲むように存在し、「言葉を理解する」働きがあります。(p.33)
 脳の回転力は、年齢に関係ない。低速に慣れてしまうと高速に反応できなくなってしまう。「あの人、冴えてるよねぇ」って言われる人は、本当に鋭敏な状態なのであり、脳は高速回転モードになっているはずである。日々の生活の中でも、余りにものんびりした生活を続けていると、脳の回転数はグングンと落ちてしまうものである。
 チャンちゃんは、かつて、公的機関に4年間ほど出向していたことがあるけれど、ただ椅子に座っていればいいというような仕事だったから、その頃の読書スピードはかなり遅くなっていたはずである。出向から民間企業に戻って数か月ぐらい、会議のスピードについていけなかった(!)のである。また、当時、久しぶりに映画を見て、本編前に流れる他の映画予告編の高速な画面展開に頭がついていけなかった(!)のに大層うろたえたことを思い出す。今のチャンちゃんはその頃のチャンちゃんほどトロくはない。
 速読に興味がなくても、「脳力 = 脳の回転力 = 人生の輝き = 自己啓発」 だから、この本の骨子は誰にとっても重要なことである。
 だから、マーフィー理論による自己啓発書を手掛けていた騎虎書房は、かなり前から、この本と同じ「速聴」を盛り込んだテープやCDをタイアップ販売していたのである。

 

 

【速聴によるシフトチェンジ】
● 4倍速の超高速音声をペースにすると、テキストを読むとき、左脳ではだんだん処理しきれなくなる。
● その結果、右脳の高速情報処理機能が働き、左脳と右脳の両方が活性化されはじめる。(p.49)
 逐次処理の左脳には限界がある。右脳には限界がない。
 超高速に対応するには、左脳の機能を停止させなければならない。
   《参照》   『頭の回転が50倍速くなる脳の作り方』 苫米地英人 (フォレスト出版) 《前編》
             【逐次処理脳ではなく、超並列処理脳】

 

 

【やる気がほしいとき】
 自信をなくしたときは、再度「速聴耳トレーニング」をすることで、パワフルになり、スピード化した自分を再発見し、確認できる。そんな精神安定剤的な役割を果たしてくれるようです。
 あなたも、やる気がほしいとき、あるいは気持ちを奮い立たせないときはいつでも、「速聴耳トレーニング」に戻ってきてください。(p.68)
 落ち込んでいるときとか、運が悪いと感じているときとか、バイオリズムが下降線上にあるときとかは、確実に「脳の回転力が落ちている」。だから、やる気がほしいとき、あるいは気持ちを奮い立たせたいときは、意図的に「脳の回転力をあげる」ための工夫をすればいいのである。
 ただし、時に、鼻づまりで頭が冴えず、脳の回転力が落ちてしまっていることがある。悟りを求める禅宗のお坊さんたちは常に冴えた頭脳を維持するために、毎朝、顔を洗うのと同時に鼻の中を洗っているけれど、これは慣れていないと逆効果になってしまうことがある。だから、鼻づまり・鼻水用のスプレー薬は、常に身近に用意しておいたほうがいい。製薬会社各社から700円程度で販売されている。

 

 

【スキミングは目的意識と不可分】
 【スキミング】は、大学で正規の科目としても教えられているほど、「欧米型速読法」の代表選手。よくカモメが餌を捕る方法にたとえられます。(p.96)
 漫然と「魚」を探していては、ただの“飛ばし読み”で終わってしまいます。
 どんな「魚(=情報)」を得たいのか。きちんと「本を読む目的」を意識しましょう。(p.97)
 学術ないしビジネスの場でする読書なら、特にこの方法がいいのだろう。
 「目的意識」が明確でないと、どんな読書であれどんな人生であれ、成果は得られないだろう。そして「目的意識」は、その人の過去の積み重ねとも不可分のはず。
 本を読んで、受け取れる「知識」「情報」というのは、結局、現在のあなたのレベル(意識やこれまでに培った知識の蓄積)に左右されます。
 同じ本を読んでも、小学生、大学生、ビジネスマン、研究者・・・それぞれ人によって理解できる深さが違うのは当然です。(p.101)

 

 

【 GIGO か DIDO か】
 コンピュータ関係の用語に「GIGOの法則」というものがあります。
 “Garbage In, Garbage Out” ―― 「ガラクタを入れれば、ガラクタが出る」という意味です。
 ・・・(中略)・・・ 
 「ガラクタのようなつまらない知識や情報ばかりを入れていたのでは、ガラクタのような発想しか生まれない」のです、
 さて、「逆もまた真なり」です。

 “Diamond In, Diamond Out” ―― 「ダイアモンドを入れると、ダイアモンドが出る」
   《参照》   『日本語トーク術』 齋藤孝・古館伊知郎 (小学館) 《後編》
             【若い女性が買っていく本】

 

 
<了>