《中編》 より

 

 

【コリモナス】
 第5章は、「21世紀はバクテリアの時代」と題されて、重要な情報がいくつも書かれている。
「ダイオキシン以外の好まざる、ベトナムで使われた枯れ葉剤とか汚染重油のようなものに遭遇したときの無毒化能力はコモリナスがバクテリア中でもっとも優れている」
 汚染土壌に対する適応能力は過去発見されたどのバクテリアよりも強いことが判明すると、オランダは国を挙げて研究開発することを決めた。 (p.208)
 大震災の津波による土壌汚染に関して、塩害は大雨や台風などで流れてしまうから問題ないという。しかし、重油や海底のヘドロのような有機性毒物の除染を必要とする場合は、このコモリナスが有効だという。
 ところで、バクテリアや藻類関係の日本の研究予算は、民主党の事業仕分けで最初に削られてしまったのだという。ドヒャ!

 

 

【超微細金(ナノゴールド)をつくる菌】
 2011年6月に秋田県立大学の宮田直幸准教授にご尽力いただいて、漸く発見できた菌(バクテリア)はコモリナス細菌属のひとつであり、発見された金はいままで見たこともないナノ単位(10億分の1ミリ)の金「=ナノゴールド」だったのだ。 ・・・(中略)・・・ ナノゴールドの色は粒径5ナノでは赤色、粒径15ナノ青紫色というように、粒子の大きさによって色が変わるのだ。ナノゴールドが発見され、これから金は金色という定義が変わるだろう。
 これは金鉱山経営者の間ではもちろんのこと、バクテリアの専門家の中でも奇跡的な発見だと評判になっている。(p.212)
 超精密な加工を必要とするハイテク工業技術において、このナノゴールドは非常に高い価値を持つことだろう。著者はすでに特許を取得したという。日本を強力に押し上げるまさに錬金術である。
 
 
<了>
 
 

  松藤民輔・著の読書記録

     『マネーの未来、あるいは恐慌という錬金術』

     『日本経済の夜明けを告げる』