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 オバマ政権によるトヨタ潰しが行われていた頃に書かれたもの。2010年3月初版。日本では、オバマ政権のいいニュースばかり取り上げられており、日本人のオバマ大統領のイメージは今でも良好なのであろうけれど、この本には、かなりダークな側面がちゃんと記述されている。
 ところで、副島隆彦さんの著作を読むようになってから、著者の日高義樹さんは単なるアメリカ政府の日本向け傀儡スポークスマンだろうと長いこと思っていた。しかし、この本に関しては、かなり風向きが変わっている。少しは良心の呵責が芽生えたのかもしれない。

 

 

【オバマを支えた献金】
 オバマ大統領はインターネットによる資金集めで選挙に勝ったと宣伝し、アメリカのマスコミは庶民の味方だと持ち上げた。
 しかしながら、2009年12月31日、アメリカの年に一度の税金の報告が明らかになるとともに、アメリカの大企業が前例のないほど膨大な政治資金をオバマ大統領に与えたことがはっきりした。(p.52)
 最初からオバマを大統領にするのは、ロックフェラーの計画通りであり、マスコミはインターネットによる資金集めという美しい追い風を周到に用意して仕組んでいたのである。
   《参照》   『暴走する国家 恐慌化する世界』 副島隆彦・佐藤優 日本文芸社 《上》
               【副島さんの情報源】
 オバマ陣営はこのデトロイトからの献金のほか、ゴールドマン・サックスなどウォール街からも多額の献金を受け取り、さたに巨大製薬企業からの資金も大量に手にしていた。(p.13)
   オバマ政権は、献金したこれら自動車・金融・製薬関連企業に、きっちり見返りを提供している。
  禿鷹ファンドのゴールドマン・サックスが、公的資金注入で見事に焼け太りしたのは周知のこと。
  医療保険改革も、献金した企業が特命を有する排他的医療保険改革になっているのだという。

 

 

【自動車業界】
 デトロイトやシカゴというのは自動車産業を意味しているのは言うまでもない。
 オバマ大統領以下の腐敗した政治家たちは、無慈悲で不法なシカゴ政治の風土の中から出てきた。 ・・・(中略)・・・ 。
 オバマ大統領がかつてこう言ったことがある。
「私は政治の経験は少ないが、イリノイの政治の中でもまれてきた政治家だ」
 イリノイ、つまりシカゴの政界であり、オバマ大統領はアメリカの自動車産業を再生させるという大きな目的と国家戦略を、汚職まみれの政治家を集めることによって遠慮会釈なく推し進めてきたのであった。(p.16)
 オバマを支持した献金団体であるUAW(全米自動車労働組合)は、黒人労働者の支配力が大きいらしい。しかし、自動車関連産業の下請け関連企業の経営者や技術者には、物作りにおいて日本人に似た気質の東欧のチェコやハンガリーから来た人々が多かったのだという。
   《参照》   『東欧チャンス』 大前研一 小学館
              【チェコ】
              【ハンガリー】
 しかし第二次大戦後、人種問題が勃発し、黒人たちが暴動を起こした結果、デトロイトに住んでいた東ヨーロッパ系の人々は争いや騒動を避けて郊外へ移ってしまった。(p.19)
 トヨタ潰しの報道がアメリカで継続されていたにせよ、アメリカの大衆はアメリカの国産自動車のひどさをよく知っている。エンジンが割れてしまう(!)というような信じ難い事例も書かれているけれど、アメリカの自動車産業を支えていた優秀な東欧の技術者が遠ざかってしまった時点で、アメリカの国内自動車産業界の再生など不可能になっていたのである。トヨタを叩けば回復するというような問題ではない。オバマは産業政策に関して余りにも幼稚な素人か? と思えるではないか。
 オバマは、GMの再建策として、クリーンエネルギー政策に合わせて一挙に電気自動車へシフトさせようとしていたけれど、これも成功とは到底言えない。GMは電気自動車を製品化し市場に出しているけれど、その多くを中国製部品に依存している。しかし、電気自動車に関する高品質な先進技術は、殆ど日本企業が持っているのである。
 オバマ大統領のデトロイト回復策が失敗に終わってしまったのは当然である。もっと悪いことにクライスラーは労働組合の所有になってしまい、GMはロビイストが実質的に奪ってしまった。(p.22)
 つまり、技術はなおざりにされたまま、誰が利益をぶんどるか決着したのである。
 オバマ大統領の経済回復の費用はアメリカ大企業に与えられ、アメリカ大企業は帳簿の上で潤沢になった費用を儲けのあがる海外での事業に投資し、利潤はあげてはいるものの、国内の雇用や産業に貢献してはいないのである。(p.49)
 こんな使われ方なのだから、アメリカの失業率は増え続けている。失業者に対する雇用保険給付期間を延長したのも単なるびほう策であり、雇用問題が根本的に改善する兆しはないに等しい。だから、中間選挙で大敗北を喫したのである。

 

 

【NHKのアメリカ中間選挙結果報道での経済予測】
 ところが先月、この中間選挙の結果を伝えていたNHKの解説者は、「クリントン政権の時も中間選挙では大敗北したけれど、景気は上向き基調になっていた。だからオバマも大丈夫だろう」 というようなことを言っていた。信じ難いことを平気でいうもんだと呆れて聞いていたけれど、クリントンの時(1990年代前半)にはデジタル革命のような革新的な技術が奇跡的なブースターとなって、ニュー・エコノミーなどという幻想が真実めいてまことしやかに語られるほどになっていたのである。現在のオバマ政権にそれに匹敵するものがあるとでもいうのか? クリーンエネルギー政策はブースター役どころかすべて頓挫しているのである。株価が高めに出ているのも、市場をコントロールできるアメリカの力技であって実質などではない。
 まあ、NHKはアメリカ政府(というよりロックフェラーの)のポチ君みたいなものだから、堂々と出鱈目を言うのだろうと思って笑って聞いていたけれど、相当に悪質である。もしも仮に、本気で言っていたとするならば強烈にオタンコナスである。

 

 

【クリーンエネルギー政策】
 クリーンエネルギー政策にも膨大な資金が投じられたが、政府の官僚が考えているような実効性がまったくなく、結局一年間ですべてのプロジェクトが破産してしまった。いまやワシントンではクリーンエネルギーのアントレプレナー(起業家)やニュービジネスはすべて破産した。(p.65)

 

 

【ホルダー司法長官】
 オバマ政権の腐敗ぶりは、弁護士エリック・ハンプトン・ホルダーがアメリカの司法長官に任命されたことにも示されている。 ・・・(中略)・・・ 。マフィアのばくち場の弁護士である。・・・(中略)・・・ 。
 ホルダー司法長官は弁護士時代にアラブのテロリストの弁護を引き受けたこともあり、キューバにあるアメリカ海軍のグアンタナモ基地に閉じ込められているテロリストの弁護をしたりした。そして司法長官に任命されるや、実際にグアンタナモに収容されていたテロリストを生まれ故郷のイエメンに送り返し、再びテロ活動をするのを助けたりしている。(p.95-96)
 これもハイパー・インフレを演出するための発火点前段工作であり、ロックフェラーの筋書きどおりだろう。
 誰が大統領であろうと、結局アメリカはアメリカなのである。