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 台湾のことも書かれているけれど、本書の実質は中華意識に関する多方面からの分析というものに近い。私は、東アジア諸国の文化比較として読んでしまった。2004年8月初版。
< 台湾・元智大学図書館 にあった本 >

 

 

【迷惑】
 ちなみに、「迷惑」 というのは、おそらく日本人と日本語独特ともいえる概念で、台湾やフィリピンや中国ではまったく通じない。台湾語や中国語で近い言い方は、日本語でいえば 「面倒」 にあたる言葉しかない。韓国には日本語の迷惑に近い言い方はあるが、それでもまったく同じともいえない。(p.32)
 「他人に迷惑をかけてはいけません」 という日本人のお母さんたちが子供たちに教える最も基本的な生活概念が伝わらないのである。私の経験でも、韓国人はこの単語をたいてい理解していた。日本語文化のキーワードとして学んでいるらしい。
 「迷惑」 という概念を持たない台湾人は、悪意など全然なくお人好しで自己中人間なのである。つまりタイブとしてはイヌ派ではなくネコ派。でも街中にワンコはけっこういっぱいいて、ネコ派が飼い主だから鎖につながれてもいない。
    《参照》  『強い日本への発想』 竹村健一・日下公人・渡部昇一 (致知出版)
            【 「優しい」 に該当する中国語はない】

 

 

【中国だから嫌】
 台湾人が今日中華人民共和国に反発するのも、反共主義で、共産党が嫌いだからとはいえない。中国だからいやだという側面があるのだ。本当に反共ならベトナムを嫌ってもよさそうだが、ベトナムと台湾は、国交がないまでも官民ともにかなり良い関係にある。(p.37-38)
 台湾の観光地にある蒋介石の像の前で、台湾人に 「一緒に写真を撮りましょう」 と誘っても大抵は嫌がる。蒋介石が率いた国民党の理不尽さは、中国共産党にも通じる中国社会そのものの病理であり、本質であることを知っているからである。孔子廟も中国に関連するものなので、台湾人は殆ど行かない。行っているのは中国や日本からの観光客くらいである。
 ベトナムと台湾の関係が良いのは、嫌中という共通項ゆえなのだろう。
 ベトナムは戦後になって、以前宣教師が発明したローマ字表記をベトナム語の正式の表記法に採用した。それは、漢字を使っていたら、中国語と区別できにくいためだ。ベトナムは中国と近すぎるため、漢字を捨てることで、中国と一線を画そうとした。そして、それは成功している。(p.108)
 台湾も、中国のような簡体字を採用してはいない。現在でも繁体字を用いている。

 

 

【フィリピン】
 第二次大戦が始まる前に、フィリピンは米国からの独立を約束され、民主的な選挙が行われていた。しかも、貧富の差が激しかったとはいえ、消費文化は米国並みで、アジアでは先進国だった。そこを、日本軍が軍靴で踏みにじった。数多くの暴行や虐殺事件が起こった。米国と比べて日本は非道な存在に見えた。
 フィリピンは、米国植民地時代に日本よりもはるかに先進的だったから、中国や韓国以上に日本の侵略を受けて恨む理由がある。・・・(中略)・・・
 ところが、それでも、靖国問題を中国や韓国が騒ぎ立てているような時期に、フィリピン政府は 「靖国は日本の内政問題」 という大人の対応をとっていた。さらに日米安保のガイドライン法案が日本で成立したときにも、歓迎の意を表明するようになった。
それにはいくつか理由がある。(p.165-167)
 その理由として、フィリピンはもともと日本には関心が低かったこと。そして1980年代以降進出した日系企業の企業文化や、急増した日本人が、非常に紳士的な人が多く、フィリピン人の反感を買わなかったから、と書いている。
    《参照》  『失敗の教訓』 日下公人 (WAC)
            【マッカーサーとフィリピン経済】

 戦前からアメリカの影響下にあったフィリピンは、今でもアジアではなくアメリカの政治力と文化の影響下にある。アメリカ人より高貴な振る舞いで秀でた実力を示さなければ、反日ではないにせよ侮日的態度を示す人々は今でもいるはずである。
 戦争の歴史はすでに65年も前のことになっている。近年の現実のほうが影響力は大きいだろう。日本の歴史上の残虐性をいつまでも煽る反日国家ほど、その国民性の実態は日本よりはるかに残虐である。

 

 

【評判の悪い韓国人】
 評判が悪いのが韓国人で、工場でもフィリピン人をよく殴るというので 「かつてフィリピンに侵略して暴行を加えた日本軍は、実は朝鮮人だったのではないか」 という印象も広まっているという。それは事実ではないが、韓国人に反省すべきところがあるのは事実だから、筆者はあえて訂正しないことにしている。(p.167)
 韓国人は、世界中どこに行ってもあまり良い印象を与えていないらしい。
    《参照》  『イスラムマネーの奔流』 北村陽慈郎 (講談社) 《後編》
           【アラブ諸国の中・韓と日本に対する見方の違い】

 台湾人が “日本のヤクザ” と言って嫌がっていた連中は、日本語が話せなかったという話を聞いたことがある。日本国内のヤクザのおよそ半分は在日朝鮮人が占めているほどだし、韓国にはヤクザ映画と言う確立したジャンルが今でもあるような国だから、台湾で活躍している自称 “ヤクザ” も朝鮮系の連中なのだろう。