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 わずか3行の詩が当選して、海外旅行に行くことになったのが、海外との馴れ初めだったとか。世界各地のことや言葉に関することが、いろいろ書かれている。

 

 

【フランスとイタリア】
 フランスはもういいな。 ・・・(中略)・・・ 。良くいえばクールで合理性のある個人主義。悪く表現すると、冷たく傲慢な利己主義の国、そして国民性。「人に迷惑はかけない。だから人にも迷惑をかけられたくない」 というのが彼らの発想、そして信条。何人かの仏生活体験者がもらしていたように、この国には 「お互いさま」 とか、「助けあい精神」 というのが極端に欠けている。
 人間なんて弱くて愚かな生き者。時には人に迷惑をかけたり、かけられたりして過ごすのが当然ではないだろうか。お節介と思えるくらいに人情味あふれたイタリア人たちが恋しくてならない毎日だった。(p.102)
 こう書いている日本人の著者であるけれど、日本と韓国をフランスとイタリアの対比で位置づければ、おそらくは日本がフランスに、韓国がイタリアになることだろう。
   《参照》   『姜尚中対談集 それぞれの韓国そして朝鮮』 (角川学芸出版)
             【親切の洪水】

 

 

【旅と生活の違い】
 イタリア生活を始めたのは、フィレンツェ。わたしのもっとも忌み嫌う都市である。何回か拙著に記したためだろう。読者の方々から質問を受けることも少なくない。「嫌いな理由は何なのか?」 と。「あんなに美しい街なのに・・・」 の語と共に。
 旅と生活とでは、同じ地でも大差が生じるというのが私の実感。フィレンツェなど、まさに好例だ。世界に誇る歴史と文化をもった華の都ではあるものの、観光の上にあぐらをかいているのが現状。お役所仕事の怠慢さといったら! 公共機関の作動のひどさなどイタリア一とも思えるほど。生活のための必要書類一枚入手するにも、延々たる無意味な月日を強要される。住宅街の通りには、ゴミ袋の山、山、山。 「華のフィレンツェ」 はあくまでも観光客のみに与える印象でしかないのだ。(p.104)
 都市も人と同じなのだろう。通り過ぎるだけならいいけれど、一緒に住んでみたらドン引きって、いかにもありそうなことである。

 

 

【チャーオ】
 あのフランスでさえ 「チャオ」 を耳にしない日なんてないほどだ。(p.113)
 精神安定剤などより、よほど効く 「元気づけ薬」 が 「チャーオ」 なのだ。(p.114)
 ところで、この便利語、実はそもそもがヴェネツィア方言だったことを最近知った。 ・・・(中略)・・・ 。
 「vostro schiavo(ヴォストロ スキァーヴォ)」 がチャオのルーツとのこと。意味は 「あなたの下部(しもべ)」。「あなたのためにできることはなんでもしましょう」 ということだそうだ。 ・・・(中略)・・・ 。
 まず、時代の流れ、変遷と共に 「ヴォストロ(あなたの)」 が消える。イタリア訛りの中でも特殊といわれるヴェネツィア人の発音は、「カ行」 が 「チャ行」 になるため、スキァーヴォからチャーヴォと変化。やがては 「チャオ」 へとなっていく。 (p.116)
 なら、「チャオ」 の原意は 「下部(しもべ)」 ということになる。ふつうには言葉のルーツとして発想しづらいけれど、ヴェネツィアがかつて世界一の商業都市であったことを考えれば、 “おカネがらみの発想“ ということで理解しやすい。

 

 

【強力な攻撃語】
 イタリアにあっては、「感じ悪い!」 ほど強力な攻撃の語はないと信じます。旅先でムカつき、それが頂点に達した時はいってみてください。「Che antipatico ! Anzi molto antipatico !!」 と。アンツィとは、「それどころか」。つまり、「なんて感じが悪い! いやそれどころか、すっごく感じが悪い!」 となります。(p.152)
 日本人だって 「や~な感じ・・・」 って言われたら、かなりヘコムよねぇ~。
 日本でいうところの 「ムカつく」。これは「schifoso(スキフォーゾ)」となる。 ・・・(中略)・・・ 
 日本同様、イタリアの子供たちも、「スキフォーゾ」 をよく口にする。最も多いのが、大好きなサッカーチームが試合に負けた時。「スキフォーゾ~オ」 などど叫び、泣きだす男の子だっているほどだ。(p.169-170)
 こういう系統の言葉を覚えておくと、子ども同士なら馴染みやすい。大人同士でもいけそ~。
   《参照》   『アモーレの国 イタリア』 タカコ・H・メロジー (学研)
             【ピピとカッカ】

 

 

【イタリア語】
 本書からもおわかりいただけたと思うが、イタリア語くらい日本人にあった言葉はない。発音しかり、響きもしかり。どこか懐かしい情感さえ漂う言語なのは、我々日本人と共通する心情が潜んでいるからと感じてならない。(p.212)
 

 

<了>
 

  タカコ・H・メロジー著の読書記録

     『アモーレの国 イタリア』

     『「チャーオ!」がいえたらイタリア人』

     『イタリアですっごく暮らしたい』