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 “銀閣寺の秘密” と題された最初から36ページまでは、日本文化のど真ん中と、それに関与した神仏の働きをパーペキ(パーフェクト+完璧)かつコンパクトに教えてくれている。若い時にこの書籍に出会っていれば、駆け足で日本文化の理解が進むことだろう。96年に実施された講演録。

 

 

【日本的美意識と銀閣寺
 いぶし銀のように表面的な美しさを消し去り、一歩も二歩も引っ込んだところに奥深さと抑制された美を見いだすがゆえに、その奥を見たいという心。その心が 「奥ゆかしい」 であって、「奥ゆかしい」 というのは 「奥を見たい」 というところから生まれてきた言葉なんです。そして、隠すがゆえに奥をみたいと思うから、内的な美がより一層、磨かれていくという美意識、それこそがこの銀閣寺を中心にして義政がつくり出した日本的美意識の原型なんです。(p.20)
 義政がいなかったら、そういう日本的な美意識、美的感覚、芸術的なセンスというのは存在しなかった、といっても過言ではありません。(p.23)

 

 

【義政と能阿弥】
 その能阿弥という人が、義政と一緒に書院造りの原型、茶道の原型をつくり、そこから武野紹鴎、村田珠光、千利休へと受け継がれていって茶道が確立するわけです。
   《参照》  日本文化講座 ⑥ 【 茶道 】
 そういう意味で、室町文化というのは、この銀閣寺から生まれているわけです。四畳半の畳もあそこから出てます。書院造りとか日本間、床の間というようなものも、銀閣寺から生まれているわけです。それをやったのが義政と能阿弥。・・・中略・・・。ここ東山の銀閣寺はですから、現在の日本文化の発祥地であるわけです。(p.26)

 

 

【義政の天命と観音様】
 日本文化の基をつくるという天命を受けた義政は、観音様の大慈大悲によって、家庭的にも政治的にも不遇にされ、また男としての充実感もすべて剥奪されて、「これに賭けろ」 と。観音様って、そういう御守護をされるんです。
 だから皆さんも、何か恵まれない部分があれば 「これは観音様の慈悲だ。そうに違いない」 と強引にでも考えたらいいんですよ。(p.34)
 観音様って、一般的には優しい感じに思われているんだろうけど、実際はけっこう厳しい状況に置いて人を育ててくれる。ちょっとブルブル。
 私なんか、別に好んで観音様に守ってもらおうと思ったわけではないんですけれど、3月18日という素晴らしくまた呪わしき日に生まれまして、こういう人生を送っているわけです。(p.34)
 18は観音様を表す数霊。3と18を繋ぐ数字といったら6。 3×6=18はミロク観音ということか。終わりの世を救済する弥勒観音。救世観音とも言うのだろう。だとしたら、スゴーーーイ天命です。

 

 

【このギャグ使える】
 アレックスさんと私は一つ違いで、彼の方が一つ年下なんですけれども、・・・中略・・・、3年か4年前に再会したわけですね。
 彼も独身、私も独身で、お互いに体に毒が回ってますけれども、ハブのように頑張って生きていこう、と。蛇に 「あなたは毒がありますか」 と尋ねたら、「イエス アイ ハブ」 と答えたという話がありますけども(笑)。(p.39-40)
 著者の講演は、深か~い内容の話と、それを吹っ飛ばしちゃうよおなアホなギャグがぐちゃぐちゃに交錯する。いつものことである。
 アレックスさんとは、『美しき日本の残像』 などの著者であるアレックス・カーさんのことで、前世はアレキサンダー大王の車(まあ当時なりに言えば馬に牽引される戦車)だったから、今世はそんな名前になった。と、ギャグに乗じて私も出鱈目な事を書く。
 ところで、著者は日本人であるしスーパー・シャーマンなのだから本質を突いた日本論を語っていてもそれほど驚きはしないけれど、アレックス・カーさんの著作を読んで、ディープな日本文化理解者であることを知ると、海外で生まれた方というだけで、ひたすら尊敬したくなってしまう。著者はこう書いている。
 白洲正子さんと対等に、興味深く話ができるところが、アレックスさんの知識と鑑賞力、美的センスの優れたところですね。ぼくも能をやりますけれども、アレックスさんの鑑賞力、なかなかのものです。(p.40)
 書物を通じて日本文化の深部を知りたい人々は、遠からずして能に触れるのだから、必ずや白洲正子さん、アレックス・カーさん、そして著者の著作に到達することだろう。これらの人々の著作に至らなければ、学者頭が得意とする乾燥した日本文化理解程度で終わってしまうことになる。

 

 

【 「何ごとも先達はあらまほしきことなり」 】
 それをいかに早く知って体得するか。それが成否を分けるひとつのキーポイントになるわけですけれど、業界のやり方を知るにはやはり、「何ごとも先達はあらまほしきことなり」 で、その道に詳しい人に尋ねるのが一番です。知識がなかったために失敗することにでもなったら、これほどつまらないことはありませんからね。(p.68)
 本でもある程度のことは分かるけれど、知っている人がいたら聞いた方がずっと早い。
 

【 「正で面して奇で勝つ」 】
 戦いは正で面して奇で勝つ、と。正攻法でまず攻めていって、どこか変わったところ、オリジナルなところで勝つ。(p.71)
 創作、研究のヒント

 

 

【イケズ京都の由来】
 京都は長い間、政治闘争の舞台になっていたわけですから、主義主張、利害得失が複雑に絡み合う中で、自分たちが生き残る道はそれしかなかった。自分を守る武力もなければ、財力もない。商いといっても細々とやっているだけです。京都は。だからそうやって言葉で防衛するしかないわけで、京都の人を責められないと思います。(p.90)
   《参照》   『勝ちパターンを持て 深見所長講演録1』 (菱研)
             【本音と建前 : 関東vs大阪vs京都】

 なるほど・・です。

 

 

【商売は京都システムで】
 だから、商売する場合は京都システムでやればいいわけです。つまり、儲かったらいい、お客さん喜んだらいい、と。主義主張関係ない。右も左も関係ない。(p.91)
 これらは国内で見たら京都において際立った特徴であるにせよ、国際的にみたら日本の特徴でもある。
 はっきりと 「自分はこうなんだ!」 と主張する大阪人的な要素をもうちょっと取り入れていくべきではないかと思います。(p.98)
 そうしないと、産業的にも発展しないし、わけのわかんない日本人にされてしまう。

 

 

【京都の男性】
 京都出身の男性と結婚して、「うちの主人、気が小さいんです」 とか、「細かいことにうるさいんですよね」 と悩むようなことがあっても、それを責めてはいけません。京都の人は全部そうなんですから。・・・中略・・・。
 そういう意味で、経理部長とか経理係長という職には京都の人が向いています。(p.113)
 ということは、京都の男性って、一般的にあまり経営者には相応しくないことになる。

 

 

【風水都市・京都があたえるヒント】
 私も京都に来たときにはなるべくこの鴨川べりでしばらく時間を過ごすようにしているわけで、この鴨川の空気を吸っていると地理風水学によってつくられた都にふさわしく、古いものの中から新しいヒント、革新的なヒントが生まれてくるんです。
 伝統と革新、この相反する働きを生み出しているのは京都の風水なのだろう。国内で女性が一番強いというのも風水都市・京都の必然か。世の男性にとっては、ちょっと、ごちそうさまである。

 

 

【京都の神霊空間】
 京都御所の上にも、○○○○のパイプが降りているんですよ。多くの人が御所を拝してきたでしょ。だから、御所には目に見えない神霊空間があるんですよ。(p.140)
 こういう神霊界の情報って、ブログに書いてしまうのはもったいないから○○表示。
 わざわざ購入してでも知りたい人だけが知っていればいいことでもあるから・・・。
 
 
<了>