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 読書記録とはいっても、これはマンガである。昨年のブログでどこかに書いたので、帰省時に自宅の本棚を探して帰りの電車の中で読んでいた。
 この作品が初めて市場に出たのは30年ちかく前だけれど、時代を超越した内容のSF作品なので、現在の若者が読んでも、科学や宗教に興味を向かわせるきっかけになるのではないだろうか。


【理系青年にとってのきっかけ】
 ディラックの海、虚数世界、亜空間、エントロピーなどの単語がこのマンガには語られている。これらの言葉は大学時代に同じアパートに住んでいた理学部の先輩が語る話の中で始めて耳にしたものである。それから間もなくして、実家の本棚に姉が買ったこのマンガ本を見つけて読んでから、ジェレミー・リフキンの『エントロピーの法則』やカール・セーガンの『コスモス』などを生協で買ったのだった。


【輪転王と阿修羅王】
 五十六億七千万年後に現れるとする弥勒にせまる阿修羅王。そして無言の弥勒に代わって阿修羅王に応ずる輪転王。悲しみに満ちた阿修羅王のエンディング。このような場面だけが、20年近い時の経過を免れてチャンちゃんの記憶に鮮明に残っていた作品である。


【文系青年にとってのきっかけ】
 これらの登場人物以外に、プラトン、キリスト、ブッダなどが登場していた内容までは殆ど覚えていなかった。しかし、このマンガの中で語られていた、仏教やキリスト教のキーワードは、後々、宗教的世界への興味を繋ぐキーワードになっていたことは間違いない。単語の意味など詳細に分からなくっても、その単語を記憶してしまうと、その世界への通行手形のように機能するものなのである。少なくとも、このマンガは、チャンちゃんにとって、そのような有意義な役割を持っていた。

 

 

<追記>
【阿修羅王の出自】
 このアニメで阿修羅王を好きになった当時のチャンちゃんは、阿修羅王のことを知りたくなったのである。
 阿修羅王は、仏教世界の中では破壊の役割を持つ悪神の汚名をきせられている。 しかし、本来は悪神などではない。

 高野山大学職員であったと記憶している佐藤任著、『悲しき阿修羅』(平河出版)という本を読んで分かったことがある。

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 日中の酷暑をもたらす太陽は、インドという土地に住む人々にとっては過酷な天体であり、夜間に地上を照らす月は、人々に安堵をもたらす安らぎの天体である。故に、インドは月神界の波動を享受して仏教を創出することとなった。そして、遠ざけられた太陽神界、そここそが阿修羅王の本地であったのである。
 阿修羅王は、破壊の神などではなく、出自は太陽神界の神であると。

 チャンちゃんはこれを読んで大層安心したものである。そして、なおのこと阿修羅王が好きになった。

 

<了>

 

   《阿修羅・関連》 

   『誰も語りたがらないタブーの真実2』 中丸薫・三神たける (青志社)

       【イランとインドの境目】

   『異星人が教えてくれた日本の近未来』 中丸薫×秋山眞人 (学研) 《前編》

       【アシュター・コマンド】

       【読後の全体感】