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 日本の発展を支えたビジネスマンの手による著作。
 デビスカップの裏話、セビル・ローでの信用、ポーランドで遭遇した慮外の技術的問題での対応に関する記述、などの箇所が印象的だった。共通しているのは“良識”。


【セビル・ローでの信用】

 セビル・ロードは、ロンドンにある通りの名前で、この付近には仕立て屋が多く並んでいた。日本語の背広はこのセビル・ローが元なのだという。

 ところで、日本人が注文し、ローンの返済が終わらない段階で、世界大戦になってしまい返済ができない状態が続いていたのだけれど、敗戦国の日本人は、戦後、戦勝国のイギリスの仕立て屋に、きちんとローンの返済をしに行ったという。この行為によって、日本人は国際的に信用されるようになったとか。

 


ポーランドで遭遇した慮外の技術的問題
深夜、ボート競技歴のある友人とチャットしていて、「ポーランドが強い」という話を聞き、瞬間にその理由が分った。上記の技術的問題とは、冬季に凍った氷の上に霧が発生した場合という特殊な気象条件下で電波障害が発生しており、ポーランドには湖沼地域が非常に多いという特殊な地形的条件があった、という内容。ボートを練習するのに相応しい自然環境がふんだんにあったということです。

 現在では第一線を退いているであろう大先輩ビジネスマン達の本を読むたびに、かつて一般的にいわれていた「日本人はエコノミック・アニマル」という表現が全くもって相応しく無いことだと思う。彼ら先輩ビジネスマン達は、海外での劣悪な環境に不満を語ることなく、厳しい状況を寡黙のうちに克服しつつ、それぞれの国の繁栄を思う心があって、その結果として日本の繁栄を築いてくれたのだと思う。

 日本の青年達は、収益や効率のみで人生を捉えることなく、私達の父親世代の企業家精神を啓発していたらしい書籍、S・スマイルズの「西国立志伝(自助論)」の内容を探って見る事が必要なのではないかと思う。

 

<了>