【2度目の召集!】 「首の皮一枚」で繋がった可能性。U-20ホンジュラス代表合宿に再び参加! | 元U-20ホンジュラス代表GKコーチ・山野陽嗣の「世界一危険な国での挑戦」

【2度目の召集!】 「首の皮一枚」で繋がった可能性。U-20ホンジュラス代表合宿に再び参加!



完全なるリベンジ。第16節。VS契約無視され不当解雇された因縁の古巣パリーヤス・オネ。ホームの続きです。



※今回の合宿に召集された、4人のGKたち。僕の隣に居るのは、昨年の
U-17W杯UAE大会2013 」で正GKとして活躍し、ホンジュラス史上初の「ベスト8」進出に大きく貢献した、クリスティアン。将来を嘱望される10代の若きGKたちを預かる、非常に責任ある仕事です。

2度目U-20ホンジュラス代表合宿



 「因縁の古巣」パリーヤス・オネへの「リベンジ」を果たした、その日の夜…。全く休む間もなく夜行バスに乗り、【2度目の召集】を受けたU-20ホンジュラス代表の合宿に向かいました。

 約7時間の過酷なバス移動を経て、翌日の早朝7時半に、無事、合宿所に到着。しかし、一夜を過ごしたバスの中では人ごみに囲まれ、座席も壊れて傾いていたためよく眠れず…。疲労困憊の中、それでもそのまますぐにチームに合流し、その日(合宿初日)の練習に参加…。本当に、凄まじいハードスケジュールでした。


※あまりの疲労で合宿所に着いた瞬間、ベッドにグッタリ倒れ込む、レアル・ソシエダのチームメイト(選手)。彼は前日のパリーヤス・オネ戦もスタメン出場しており(さらにその3日前の試合もスタメン出場)、疲労度はコーチである僕よりも遥かに高い。彼の体調が心配です…。(と心配していた矢先、先日、彼は倒れて入院してしまいました…)

2度目U-20ホンジュラス代表合宿②


 
 【2度目の召集】となりましたが、簡単に召集された訳ではありません。ここまでの道のりは長く険しいものがありました。

 1度目の召集の後…。「3日以内」に次の召集や今後の事に関して監督から連絡がくる事になっていたのですが、3日を過ぎても全く何も連絡がありません。よって、こちらから電話をかけたのですが、曖昧な返事をされてはぐらかされ、その後は電話をかけても出ず、何もないままどんどん月日は流れ、とうとう「1ヶ月」が経過…。レアル・ソシエダのチームメイトであるMFジョナタン・パスに召集の電話がかかってきてからも、僕にはまだ、何も連絡はありません…。

 このパターンになると、ホンジュラスは難しい (というか、ほぼ可能性はない)。

 「今回は、召集ないな。てか、俺の力、もう必要とされてないのかもな…」

 …そう感じ、「覚悟」を決めました。


 そんな絶望的な状況の中…。代表合宿の前日に、突然、僕の携帯が鳴り響きます。U-20ホンジュラス代表の監督からです。


 Yojiの力が必要だ。代表合宿に来て欲しい」


 …こう告げられ、土壇場で【2度目の召集】を受け、再び代表合宿に参加する事が決まったのです。一時は、もう、閉ざされたと思われた、「U-20ホンジュラス代表GKコーチ就任」への道…。正に「首の皮一枚」で、可能性が繋がりました



※こちらが合宿所。ホンジュラス代表が合宿するためだけに造られた施設です。なかなか良い施設なのですが、1つだけ欠点があります。実は…グランドがないのです(それって、一番重要じゃろ!?)。なので練習の時は車で10分くらいの所にあるグランドを借りなければならないのですが、それがもう単なる空き地みたいなボコボコのズタボロでコンクリートのように固いグランド…。とても「代表」が練習するような場所ではなく、GK練習するのも危険で四苦八苦しました。これがホンジュラスのサッカー環境であり、現状です。

2度目U-20ホンジュラス代表合宿③


2度目U-20ホンジュラス代表合宿④



※代表のバスの前で。小さなマイクロバスです。トヨタです。これで移動します。

2度目U-20ホンジュラス代表合宿⑤



※「代表が合宿するためだけに造られた施設」と上記しましたが、ホンジュラスサッカー協会のお金で造った訳ではありません。実はFIFAのプロジェクトの一環で造られました。ホンジュラスサッカー協会には、自力でこのような施設を造れるお金はありません…。

2度目U-20ホンジュラス代表合宿⑥



※施設内の張り紙。「ゴキブリが出るので、いかなる食べ物も持ち込み禁止」といった内容が書かれているのですが、残念ながら誰も守っていません(汗)。そもそも監督がお菓子を持ち込んでバリバリ食べています(汗)。「決まりを守る」という概念はあまりなく、「決まりをいかにかいくぐって違反するか」という事ばかり考えているのが、ホンジュラス人。一筋縄では、いきません…(やはり、そういう点に関しては日本人は凄いです)。

2度目U-20ホンジュラス代表合宿⑦



※今回の僕の名前は…「Yoi」…。あと1文字なんじゃけど…(僕の名前は「Yoji」です。前回は「Johy」でした。少し近付いた…?何事も一歩一歩です!)ちなみに上の「P.P」ですが、これは「Preparador de Porteros(GKコーチ)」の略です。

2度目U-20ホンジュラス代表合宿⑨



※合宿所の中には、こんなモノも…。これは2005年にジーコジャパンがキリン杯でホンジュラス代表と対戦 した時のモノですね!!

2度目U-20ホンジュラス代表合宿⑧


 前回の初召集時も書きましたが、たった3日間の合宿の中で、GKの課題を改善・克服していくのは容易ではありません。これが、「代表」チームならではの難しさです。とにかく「時間」がない…。

 そんな中でも今回、2度目の合宿でGK練習をして気付いたのは、「意識が高い」選手は、1ヶ月前にたった3日間だけ練習した事もちゃんと覚えているのです。逆に意識が低い選手はもう忘れていて、また1から教えなければなりません。こうやって意識の高い選手は合宿ごとにちゃんと能力を上積みさせて成長していき、対照的に意識の低い選手は何も上積みができずそのまま…。これが後に大きなになっていくのです。

 例えば上記した、昨年のU-17W杯ベスト8のホンジュラス代表の正GKクリスティアン。彼は所属先のクラブで膝を怪我してほぼ何も練習できなかったのですが、GKコーチである僕の仕事を前向きに積極的に手伝ってくれ、手伝いながら目で見て学び、今ある状態の中でできる事をやり、ちゃんと「上積み」させていました。これまで何人ものGKを見てきましたが、こういう選手は必ず伸びます

 前回の合宿には召集されたのにそのチャンスを生かせず、今回は呼ばれなかったGKもいます。逆に前回は呼ばれなかったのに今回は呼ばれて新たにチャンスを得たGKもいます。そして、コンスタントに常に召集され続けているGKもいます。正に「サバイバル」…。

 しかし「サバイバル」と言うなら、コーチである僕も一緒。僕は毎回の招集で常に「今回、自分がGKコーチとしての能力を証明できなければ、次はない」という気持ちで臨んでいます。だから練習試合1つとっても、「結果」には強くこだわっています。

 今回は合宿の最終日(3日目)に、4日前に「リベンジ」を果たしたばかりの因縁の古巣パリーヤス・オネと練習試合で対戦しました。もはや「リベンジ」という気持ちはあまりなかったですが、「絶対に負けない」という強い意気込みで臨みました。合宿の疲労、アウェーでの試合なので長距離バス移動の疲労などはありましたが、言い訳無用。やるからには、負けられません。「どんな試合であろうと負けてはならない。結果にはこだわらないといけない」…僕の中では、それが「代表」というものです。

 結果は…「3-3」の引き分け。3失点したので納得はできませんでしたが、その内2失点がPKによるもので、練習でやった事が出てる面もありましたし、「上積みできた」と手応えを掴みました。全員まだ「10代」である若きU-20代表の選手たちにとって、1部リーグの中位クラスであるパリーヤス・オネのレギュラーたちは、間違いなく「格上」。そんな格上に対して監督がやろうとするサッカーもある程度できて「引き分け」という「結果」を出せた事は、次に繋がる大きな収穫でした。


※パリーヤス・オネとの試合の前に。才能溢れる若きU-20ホンジュラス代表の戦士たち。可能性に満ちた素晴らしいチーム。来年のU-20W杯ニュージーランド大会2015に絶対に出場します!!

2度目U-20ホンジュラス代表合宿⑩



 こうして、【2度目の召集】となったU-20ホンジュラス代表合宿も、あっと言う間に終了しました。

 今回は前回以上にイメージ通りのGK練習ができて「上積み」できたし、チームとしても前回はまだ噛み合ってなくて2部リーグのチームに練習試合で苦戦して「0-0」で引き分けたのに対し、今回は1部リーグのパリーヤス・オネに対して内容も改善され「3-3」で引き分けられるレベルに上がるなど、着実に成長・進歩しています。

 監督や他のコーチングスタッフとも前回よりコミュニケーションが取れるようになり関係向上できたし、良いプロセスを歩めている実感があります。


 そしてこの合宿の後…。

 
 3度目の召集を受けて、次回のエルサルバドル遠征参加する事が決まりました


 エルサルバドルにて、U-20エルサルバドル代表などと対戦します。このU-20エルサルバドル代表との親善試合は、自身にとって人生初の代表戦」。代表戦に親善試合はありません。全てが「真剣勝負」。アウェーとは言え、当然、勝ちにいきます。「人生初の代表戦」を勝利で飾ります!!

 
 サン・ペドロ・スーラ(世界一危険な都市)で行われた代表合宿最終日のパリーヤス・オネとの練習試合が夜に終わった後…。この時間帯にはもうトコアに帰るバスはなく、夜はいつもお世話になっている「万里男」 の家に泊めさせてもらい、翌日、早朝4時に起きてバスに乗ってトコアに帰還…。6時間の長距離バス移動を経て無事にトコアに着いた後、急いで昼食をとって、午後からのレアル・ソシエダの練習に参加してGK練習を行いました。あまりのハードスケジュールと凄まじいバス移動で頭が痛くなり意識がボ~っとしてフラフラする中、それでも「レアル・ソシエダでも自分の力を必要としてくれている人たちがいる。休んでいられない」と魂で仕事を全うしました。

 あまりにキツくて倒れそうになりながらも、これだけ魂込めて働いているのに、レアル・ソシエダでは「給料未払い問題」と「家賃滞納問題」が発生し、代表でも交通費が支給されないので自費で長距離バス移動せねばならないため「働けば働くほどお金がなくなって貧しくなる」という極めて矛盾したありえない状況なのですが、「これを乗り越えた先にがある」と信じて戦っています。


 

 必ず来年、ニュージーランドのピッチに立つぞ!!
 


※全てのホンジュラス人の憧れであり、僕の夢であった、ホンジュラス代表のシンボルマーク「H」(Hondurasの「H」)が入った代表ジャージ。ここに辿り着くまでの事を思うと…今これを着れる事の「ありがたみ」「幸せ」「感謝」をしみじみと感じ、感動して涙が出そうになります。

2度目U-20ホンジュラス代表合宿⑪



※U-20ホンジュラス代表のアシスタントコーチ、イスラセルと。

2度目U-20ホンジュラス代表合宿⑫




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