満を持して。第14節。VS最強の古巣レアル・ソシエダ。ホーム。 | 元U-20ホンジュラス代表GKコーチ・山野陽嗣の「世界一危険な国での挑戦」

満を持して。第14節。VS最強の古巣レアル・ソシエダ。ホーム。



どちらのGKを使うべきか?第13節。VSオリンピア。アウェー
の続きです。



※昨年のパリーヤス・オネでの試合です。


「日本→中国→アメリカ→イングランド→ホンジュラス→ジャマイカ→パナマ→オーストリア→南アフリカ→日本→シンガポール→日本…」 -VSレアル・ソシエダ。2013年10月27日①


「日本→中国→アメリカ→イングランド→ホンジュラス→ジャマイカ→パナマ→オーストリア→南アフリカ→日本→シンガポール→日本…」 -VSレアル・ソシエダ。2013年10月27日②



 前節のオリンピアとのアウェー戦の敗北の後…。僕の心は、ハッキリと決まりました。


 「次のレアル・ソシエダ戦は、GKマリオをスタメン起用する」


 僕はこれまで、その才能を高く評価しサンティ二をスタメンGKに指名し続けてきましたが、プラテンセ戦で活躍して「ベスト・イレブン」に選ばれてからは、練習態度も悪くなり、パフォーマンスも低下…。持っていた「強運」も発揮されなくなり、もはや僕の中のサンティ二に対する信頼は完全に崩壊…。「サンティ二では、もう勝ち点を計算できない。チーム全体の流れを変えるためにも、次の試合は好調のマリオを起用しなければならない」…と、オリンピア戦の直後にそういう考えが、自然と頭に浮かびました。

 これまでのブログにも書いてきたように、以前まで僕はマリオに対して全く信頼がありませんでした。それどころか「正直、1部リーグでは通用しない」とその能力に対してはかなり懐疑的でした。※詳しくは→【ホンジュラスで最も難しいアウェー戦。第3節。デポルテス・サビオ。アウェー

 実際、ここまでマリオがスタメン出場した3試合は「3戦全敗」。全く、勝てていません。当時はまだ僕に「GKの決定権」がなく、監督がマリオをスタメンに選んだ際は、「大丈夫か…?」と本当に不安で不安でたまりませんでした。それくらいマリオの能力は、低かった…。

 しかし今回のレアル・ソシエダ戦で「マリオをスタメン起用」するに当たり、僕の心境は当時とは全くの「正反対」でした。


 「今のマリオなら、絶対に活躍できる。必ず、やってくれる」


 これまで起用するのが「不安」で仕方なかったマリオを、初めて自信をもって…いや、確信をもって送り出せる心境でした。

 なぜそこまで、マリオに対する評価が変わったのか…?その心境に至ったのには、理由があります。それが、マリオのこの2ヶ月間の練習に取り組む姿勢であり、それによってもたらされた確かなる成長です。

 キャッチング技術、セービングフォーム、パンチングの飛距離と角度、前へ飛び出す判断…2ヶ月前のマリオは、実に多くの課題を抱えていました。正直「これら全てを今季中に改善するのは不可能だろう。マリオがレギュラーに定着する事はおそらくない」と僕は思っていました。が…マリオには他のGKにはない、ある特別な「才能」がありました。それは…「素直にコーチの言う事に耳を傾け、課題克服に向けて謙虚かつ真面目にコツコツと取り組める才能」です。

 この「才能」により課題をコツコツ1つ1つ確実に克服していったマリオは、気が付けば2ヶ月前とは比べものにならないほどの成長を遂げ、プリメラ(1部リーグ。J1に相当)でも充分に戦えるだけの能力を身に付けていました。心・技・体…全てにおいて、この2ヶ月間で今が「最高の状態」…。


 正に、「満を持して」。自信と確信をもってマリオを送り出す時が、ついにやってきました。


 相手は現在、ホンジュラスリーグ「最強」チームとの呼び声が高い、古巣「レアル・ソシエダ」

 この超強敵相手に、2ヶ月間、謙虚かつ真面目にコツコツと取り組んで己を成長させてきたマリオの取り組みは、果たして報われるのか…?

 前節の敗北で「ブービー」に転落してしまった、パリーヤス・オネ。最大の目標である「残留」を果たすためにも、絶対にこの試合は負けられません。


 チーム、マリオ、GKコーチとしての自分の未来を左右する、重要な一戦。


 結果は…?





※黄色がパリーヤス・オネです。






 パリーヤス・オネ、最強の古巣レアル・ソシエダに「2-1」で勝利!!

パリーヤスVSレアル2013



 ハイボール処理などこれまで「苦手」だった技術や能力を、己の成長で逆に「武器」に変えて、ことごとくピンチを阻止するGKマリオ…。そのマリオが試合後、目に涙を浮かべながら僕の所に来て「Yoji…。練習のおかげだ。練習でやってきた事が全て出た。本当にありがとう」と言ってくれた時には、思わず僕も涙が出そうになりました…。こちらこそありがとう、マリオ。


 マリオにとって、これが26年間の人生でとなるプリメラ(1部リーグ)先発勝利となりました。


 チームにとっても、この勝利は本当に大きかった…。実はこの後レアル・ソシエダは快進撃を続けて結局リーグは「首位」で終了し、プレーオフでも決勝に進出し「2季連続の準優勝」という快挙を成し遂げています。…そんなレアル・ソシエダが今季、ホームとアウェー共に敗れた相手は、全10チーム中、我々パリーヤス・オネのみ。しかもレアル・ソシエダに「アウェーで勝利」したのも、全10チーム中、我々パリーヤス・オネのみ。心から愛する古巣に対してこれ以上ない最高の結果(2戦2勝)を出し、意地を見せる事ができました。「Yojiが居たチーム(パリーヤス・オネ)にだけ2連敗した」…このインパクトが後の、レアル・ソシエダ会長からの僕への「復帰オファー」に繋がっていったのかもしれません…。


【第14節を終えてのホンジュラスリーグ順位表】 ブービーを抜け出し「8位」に浮上。首位と最下位が僅か勝ち点7差しかなく、全チームに優勝と降格の可能性があるという前代未聞の大混戦です。

2013前期・第14節順位表



 この試合でついに「2ヶ月間の成長」を証明したGKマリオ。しかしその活躍がたった1試合だけで終わってしまっては話にならないし、誰も認めてはくれません。

 「本当の真価が問われるのは、次節…」 そう、思っていました。


 次節…第15節は、「4大ビッグクラブ」である難敵「モタグア」との、アウェー戦。


 このモタグアとは第6節にホームで対戦し、GKマリオは先発出場するも「1-2」で敗れています。※詳しくは→【痛恨の交代。第6節。VS「4大ビッグクラブ」モタグア。ホーム



 こうして「本当の真価が問われる」試合…アウェーのモタグア戦を迎えました。


 そして、この試合で監督は、思いもよらない奇策をとるのでした…。



※この日のピッチ(ゴール前)。とてもプロ(しかもW杯出場国の最高峰リーグ)の試合をするピッチとは思えないほど酷い状態…。GKにとってはプレーが困難なピッチ状態なのですが、この日、7試合ぶりに先発出場したGKマリオは本当に良く対応してくれました。

Telaのピッチ2013。




つづく




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