逆風の中で目指す「リーグ最少失点」。 VSレアル・エスパーニャ。最終節。
【「最強オリンピア」との「歴史的快挙達成」が懸かった「復帰戦」 】の続きです。
「33年間の人生の中で、最も衝撃的な展開」となった突然の「解雇」 から、チームのスポンサーであるドン・レネの助けにより、1週間後に電撃「復帰」 。迎えた前節の「復帰戦」では、「最強王者」オリンピア相手に何とかロスタイムで引き分けに持ち込み、「2位」の座を死守。「準決勝(セミフィナル)進出」をほぼ達成するという、クラブの歴史、ホンジュラスサッカーの歴史に残る快挙 を成し遂げました。
…が、僕の立場は改善されるどころか、日増しに酷くなっていきました。
チームに復帰を果たしてからは、試合前の食事で僕の分だけ準備されないなど、会長からは一貫して酷い扱いが続いています。そもそも「解雇通告」をされた時に話したのを最後に、復帰してからここまで、ただの1回も会長とは話していません。それどころか挨拶もしていないし、目も合わせていません。僕がどんなにチームのために尽くして働こうと、会長はあくまでも「Yojiは裏切り者。すでにチームとは無関係の人物」という扱いを全く変えません。僕自身もそんな会長の「扱い」を、もはや変えようとは思っておらず「ただただ愛するチームメイトたちのために…。トコアの町の人たちのために…。ドン・レネなど僕を助けてくれる人たちのために…」という気持ちだけで、戦っています。ドン・レネの僕に対する「個人的援助」は今季終了まで…。会長の態度は変わらず、僕自身も自分をここまで侮辱した会長の扱いは許せないので、来季もこのチームに留まる気はありません。つまり、「今季限りでレアル・ソシエダを去る」のはほぼ確実な状況…。チームからの酷い扱いに対して「何とか今季終了までは耐えよう。応援し、支えてくれる人たちのためにも…」と自分に言い聞かせて、ギリギリのところで踏みとどまっている…それが今の僕の、現状です。
そうやって、どうにか耐え難きを耐え忍ぶ日々でしたが…。ここにきて、いくら何でも耐えられない問題が発生しました。「GK練習への介入」です。誰が一体どのように介入してくるのか具体的な話は今回はしませんが、この「介入」により、僕の思い通りのGK練習が全くできなくなってしまいました。「GKコーチ」になって 今年で「5年目」ですが、こんな経験はもちろん初めてですし、GKコーチとしてこれ以上の屈辱はありません。介入されている時間は、僕にとってはどうやっても耐え難い苦痛…正に、「拷問」同然です。「笑顔」をモットーで生きている自分も、さすがに、これだけは笑顔になれません。
試合までに「GK練習」ができる時間は限られています。その限られた「時間」の中で「前節に出た課題」「次の試合に向けた対策とコンディショニング」「継続する課題の克服と長所のさらなる向上」…など、多くの事を、練習でGKに落とし込んでいきます。ところが、この「介入」により、それができない…。これでGKのプレーの質が落ちても、僕は責任がもてません…。が、質が落ちれば、その時だけは、間違いなく全て僕の責任にされてしまう…。なので、GK練習の時間ではない時に介入の目をかいくぐって練習の時間をこっそり作り、上記した試合に向けた「落とし込み」をGKたちに行っていく…。そうやって、何とかGKたちを試合で戦える状態に仕上げ、迎えたのが、今回の最終節…レアル・エスパーニャとの一戦でした。本当に一筋縄ではいかない、大変な状況です…。
「前回ブログ 」に書いた通り、この試合にはGKコーチとしてどうしても成し遂げたい記録…ここまで強いこだわりをもって取り組んできた、「リーグ最少失点」が懸かっています。
17試合を終えて「13失点」は、最強オリンピアと並んで、現在「リーグ最少失点」。僕はこれを、何とかして「単独」で達成したい…。そのためには、このレアル・エスパーニャとの最終節を「無失点」に抑える事が最低条件であり、必要不可欠でした。
しかしこの試合は、そんな簡単に事が進むほど、甘いものではありませんでした。レアル・エスパーニャは、言わずと知れたホンジュラス「4大ビッグクラブ」の1つ。そのレアル・エスパーニャが、もし、この最終節で我々に敗れてしまうと「プレーオフ進出」の道が絶たれてしまうという、崖っぷちの状況に追い込まれていました。ビッグクラブとして、これは絶対に許されません。よってレアル・エスパーニャは、我々とのこの最終節に、500%本気も本気…勝利のために「全てを懸けて」向かってくる事となりました。
前回アウェーで対戦した時 は、確かに「疑惑の判定」もありましたが、それ以上にレアル・エスパーニャとの力の差を痛感させられました。それだけ「力」のある相手が、勝利のために「全てを懸けて」我々に向かってくる…。厳しい試合になる事は、間違いありません。
けれど、これを乗り越えないと、「リーグ最少失点」はない。
果たしてチームは、この大きな壁を乗り越える事ができるのか…?
「結果」は…?
レアル・ソシエダ、「2-0」でレアル・エスパーニャに「完封」勝利!!!!!
負けが許されない「全てを懸けて勝ちにきた」強豪レアル・エスパーニャに対して、レアル・ソシエダは一歩も怯む事なく真っ向から立ち向かい、前回対戦時には劣っていた「実力」で完全に相手を上回っての完勝!!「必ずホームで借りを返す」と全員で誓ったリベンジ も、最高の形で果たし、チームの成長を証明しました!!
※試合翌日のスポーツ紙「Diez 」。レアル・エスパーニャは、我々に敗れた事により、プレーオフ進出の道が閉ざされてしまいました。「4大ビッグクラブ」の内2つ(写真下は「モタグア 」)がプレーオフにさえ進めず(10チーム中、7位以下で)シーズンを終えた事は、大きな衝撃をもって報じられました。ホンジュラスリーグの長い歴史の中でも、こんな事は過去にほとんどありませんでした。今季のホンジュラスリーグがいかに厳しく、難易度が高かったかを、象徴する出来事です。
レアル・ソシエダの正GKサンドロ・カルカモは、これまで「強化ポイント」と位置付けて継続して取り組んできた「ハイボール処理」やその他もろもろがことごとく発揮され、正に、これまでやってきた事の「集大成」とも言うべき素晴らしいプレーで、「無失点」に貢献!!!翌日のスポーツ番組(TV)では、最終節の「ベスト・イレブン」にも選ばれました!!!
※スポーツ番組の、最終節の「ベスト・イレブン」です。一番上の「Sandro Carcamo」が、我々レアル・ソシエダの正GKサンドロ・カルカモです!!(ちなみにレアル・ソシエダから選ばれたのは、3人だけです)
さて、気になる「リーグ最少失点」の行方は…?
我々は試合前の「目標」であった「無失点」という結果を、しっかりと出す事ができました。これにより、「リーグ最少失点」が確定しました!!!!!
あとは、これを「単独」で達成できるかどうかです…。全ては、前節の時点で失点数が同数で並んでいた、「オリンピアの最終節の結果」次第…。オリンピアが最終節で「1失点」でもすれば、我々レアル・ソシエダのGKサンドロ・カルカモの「単独」での「リーグ最少失点」が決まります。神様、頼む…!!!
果たして、「オリンピアの最終節の結果」は…?
「1-1」の引き分け!!
オリンピア、「1失点」を喫する!!
この結果、レアル・ソシエダのGKサンドロ・カルカモの、「単独」での「リーグ最少失点」が決定しました!!!!!
※最終節を終えての後期リーグの順位表(全18試合)です。「GC(失点数)」を見て下さい!オリンピアの「14失点」よりも1失点少ない「13失点」で、見事に、我々レアル・ソシエダが「単独」で「リーグ最少失点」を成し遂げました!!!!!
※「リーグ最少失点」を達成したGKとして、サンドロ・カルカモは翌日のスポーツ紙でも大きく取り上げられました。ただ、残念なのは、内容はその事には全く触れられてない事…。実はホンジュラスリーグはシーズン中の「GKの交代」が多く、オリンピアも2人居るホンジュラス代表のGKが交互にローテーションしながら試合に出場しており、リーグで2番目に少ない失点数も、1人のGKで達成したものではありませんでした。それに比べてレアル・ソシエダのGKサンドロ・カルカモは「リーグ戦全試合フルタイム出場」。1人で全ての試合でゴールを守り抜き、「リーグ最少失点」を達成しました。さらに言うと、ホンジュラスリーグ全10チーム中、「リーグ戦全試合フルタイム出場」を果たしたGKは、サンドロを含めて僅かに「3人」しか居ません。本当に、よくやってくれました。サンドロは昨シーズンまで2年半も1部リーグではプレーしておらず「すでに1部リーグでは終わったGK」と見られていました。過去に1部リーグに所属していた時も、キャリアの大半はサブで、「正GK」として出場したシーズンはほとんどありませんでした。しかも今季のシーズン中に、2歳の息子を事故で亡くす辛い経験をしています。そんなサンドロが、深い悲しみを乗り越えて、29歳にして初めての「リーグ最少失点」を「リーグ戦全試合フルタイム出場」で達成。彼のこれまでの苦しや悲しみを思うと、本当に、まるで自分の事のように嬉しく、感動し、涙が出そうになりました。おめでとう、サンドロ・カルカモ…。僕の目から見て、サンドロは「ホンジュラス代表」になれるだけの能力をもっています。僕はレアル・ソシエダのGKコーチになってからずっと一貫して「サンドロをキャリア初のホンジュラス代表GKにする」という目標をもって取り組んできましたが、それは決して夢ではない…近い将来に、必ず、実現すると信じています。
ここまで本当に…本当にいろんな事がありましたが、こうしてチームメイトたちの素晴らしい働きに恵まれ、また、ドン・レネや日本の家族、友人・知人などの助けや支えにより、何とか1つ1つ大きな「壁」を乗り越え…最大の目標であった「リーグ最少失点」も達成する事ができました。さらに、前節の時点では、まだ「ほぼ確定」という状態に留まっていた「準決勝(Semifinal、セミフィナル)進出」も、最終節の勝利により、完全に決定しました。
そして今週…。「準決勝進出を懸けて、3位~6位によって行われるプレーオフ 」も終了し、準決勝で我々と対戦する相手も決まりました。
その相手とは……「ヴィクトリア」(「Victoria 」)。
リーグ戦を「2位」の我々に次ぐ「3位」で終え、前期リーグは何と「準優勝」の強豪ですが、今季のレアル・ソシエダはヴィクトリアに対し、ホームとアウェーで「2戦2勝」。しかも2勝とも内容でも圧倒しており、さらにヴィクトリアのホームタウンはホンジュラスリーグ全チーム中、最も近く(バスで片道約2時間)、リーグ戦で対戦した時は、レアル・ソシエダのサポーターが大挙して訪れ、アウェーにも関わらずホームの雰囲気を作り出し、我々に大きな力を与えてくれました。近くてアウェーの宿泊や過酷な長距離移動がない点も非常に都合が良く、また、他のプレーオフ進出チームは苦手とするチームが多かった中で(今季、全く勝つ事ができなかったプラテンセやマラトンなど)、「2戦2勝」と相性が抜群だったヴィクトリアとの対戦は、密かにチームのみんなが望んでいた展開でした。流れは、我々に傾いています。
しかし…。そういう時こそ、最も注意が必要です。「リーグ戦で2戦2勝してるから、勝てる」と思ったら、大間違いです。そんなに、甘いものではありません。「リーグ戦」とこの「準決勝」は、全くの別物…。ヴィクトリアはこの「準決勝」を勝ち上がって、前期「準優勝」を成し遂げています。重要なのは、とにかく、我々はこれまで通り謙虚に全力を尽くして「我々の力を100%発揮」する事。そうすれば必ずヴィクトリアに勝てる…。僕はそう信じて疑いません。
最終節のレアル・エスパーニャ戦の後は、これだけの結果が出てるにも関わらず言われのない批判をボロカスに受け、そのあまりの理不尽さに、本当にやり切れない思いをしたのですが、何とか、耐えました。
苦しみを乗り越えた先に、「光」がある…。
迎えた今週。なぜか上記した「介入」がなくなり、ヴィクトリアとの「準決勝」に向けて、自分のイメージ通りのGK練習を、ほぼ完璧に行えました。GKたちも非常に高い意識とモチベーションで取り組んでくれ、心身ともに「最高の状態」に仕上がりました。
「ホーム&アウェー」で戦う「準決勝」の第一戦は、明日。アウェーで行われます。
GKはもちろん、他の選手も、チームとしても、最高の調整を行って、「最高の状態」に仕上がっています。
自信をもって、明日の試合に臨みます。
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【 自身がチームに合流してから行われた、13試合の結果 】※全てリーグ戦。
○ 2-0 VS ヴィクトリア (ホーム)
● 0-1 VS プラテンセ (ホーム)
△ 0-0 VS オリンピア (アウェー)
● 0-1 VS レアル・エスパーニャ (アウェー)
○ 2-0 VS モタグア (ホーム)
○ 2-0 VS ビダ (アウェー)
△ 1-1 VS アトレティコ・チョロマ (ホーム)
△ 0-0 VS マラトン (アウェー)
○ 3-0 VS デポルテス・サビオ (ホーム) ※他会場で試合。
○ 3-2 VS ヴィクトリア (アウェー)
● 0-2 VS プラテンセ (アウェー) ※解雇で練習できず。
△ 1-1 VS オリンピア (ホーム)
○ 2-0 VS レアル・エスパーニャ (ホーム)
『6勝4分3敗 「8失点」 無失点試合「7」』
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※最終節のレアル・エスパーニャ戦の後に。恒例となった「無失点だった時のみにGKと撮る写真」です。この試合の結果により、「単独のリーグ最少失点」が決まりました。本当に、GKたちには感謝の気持ちで一杯です。準決勝、そして決勝でも「写真」が試合後に撮れるよう、GKたちと力を合わせて、全力を尽くしていきます!!
◎連絡先メールアドレス【 cafehondurasyoji@hotmail.co.jp 】