皆さま

 

気分転換に昔ながらの

 

喫茶店に行くことがあります。

 

こうしてみると昔ながらのものが

 

自分は好きなんだなあと

 

思います。

 

では「道端で起きている幸せを綴る物語」の

第85作目を書いていきたいと思います。

 

「電車に乗れない絵美子さんが飛行機に乗れるまでに道案内をしてもらった物語③」

 

前回の物語はこちらからご覧ください。

電車に乗れない絵美子さんが飛行機に乗れるまでに道案内をしてもらった物語①

電車に乗れない絵美子さんが飛行機に乗れるまでに道案内をしてもらった物語②

 

絵美子さんは電車に乗るのが怖くなり

 

会社を辞めて自宅でゆっくりと

 

生活を始めた30歳代の女性です。

 

少しずつ気持ちが落ち着いてきて

 

外に出かけた絵美子さんは

 

ひょんなことから女性の

 

荷物を持って電車に

 

乗ることになりました。

 

恐怖感を感じた絵美子さんでしたが、

 

電車に乗ることに成功したのです。

 

そうして、荷物を持って

 

その女性の後をついていきます。

 

しばらく歩くと喫茶店らしき

 

お店に着きました。

 

「野菊の花」という

 

看板が下がった

 

喫茶店です。

 

「荷物を運んでくれてありがとう」

 

続けて女性が言います。

 

「大丈夫だったでしょう?」

 

女性が絵美子さんが電車に

 

乗れないことを知っていたのか

 

わかりません。

 

「いえいえ、こちらこそ良い体験になりました」

 

「もし、時間があったらこの喫茶店でお茶でもどう?」

 

そうして、絵美子さんは「野菊の花」という

 

喫茶店でコーヒーを飲んで

 

一休みすることにしました。

 

お店の関係者なのか

 

女性はお店の奥へと

 

消えて行きました。

 

絵美子さんが独りで

 

コーヒーを飲みながら

 

今日、久しぶりに電車に

 

乗れたという達成感を

 

感じていました。

 

でも、恐怖感を味わったのも

 

事実です。

 

その両方の感情で

 

絵美子さんは揺れていました。

 

すると、先ほどの女性が

 

奥から出てきました。

 

「このお店スタッフはね、障害のある人たちがほとんどなの」

 

「え、気が付きませんでした」

 

「スタッフ同士でできること、できないことをすり合わせて、補い合うようにしているのよ」

 

それを聞いた絵美子さんは

 

スタッフをさりげなく

 

見てみました。

 

確かに、注文を取る人

 

食事を運ぶ人、

 

テーブルを拭く人など

 

うまく役割分担が

 

なされていました。

 

「しばらく見ていると良いわ」

 

そう言って女性は再び

 

店の奥へと消えていきました。

 

「野菊の花」のスタッフの働き方を

 

見ながら、絵美子さんは

 

自分の会社員時代の働き方を

 

重ね合わせようとしました。

 

しかし、重ね合いませんでした。

 

絵美子さんは仕事は自分だけで

 

やるものだと思っていました。

 

誰かを頼ることもしてきませんでした。

 

「できない人間」と思われるのが

 

怖かったのです。

 

無理してでも自分で

 

仕事をやりきってきました。

 

絵美子さんは

 

「できません」

 

「やりたくありません」

 

「助けてください」

 

「手伝ってください」

 

そんなことを一度も

 

言ったことがなかったのです。

 

「野菊の花」でできないことを

 

補い合いながら働いている

 

障害のあるスタッフの人たちを

 

見ていて、自分はそんな風に

 

働いたことがないことに

 

気が付きました。

 

でも、忙しい会社で

 

働いていたので

 

本音では「できません」

 

「手伝ってください」

 

「これは苦手です」など

 

言いたかったのです。

 

そうして、言えば良かったのだと

 

気が付きました。

 

絵美子さんは独りで生きてきた

 

わけではなかったのです。

 

そのことが、絵美子さんの

 

奥底から湧いてきているようでした。

 

ゆっくりとではありますが、

 

絵美子さんは空いている電車、

 

各駅停車の電車などから

 

電車に乗る練習を重ねました。

 

途中で降りてしまうことも

 

ありましたが、

 

随分と自分でコントロールできるように

 

なって、電車に乗ることが

 

できるようになってきました。

 

もちろん、満員電車に乗ることは

 

絵美子さん自身が望まないので

 

特に乗ろうとは思っていないようです。

 

昔の絵美子さんなら

 

満員電車に乗れるようになるまで

 

自分に合格点を出さなかった

 

かもしれません。

 

今ではもう、これだけ

 

電車に乗れたのだから

 

自分は大丈夫と

 

絵美子さんは思っています。

 

絵美子さんは電車に乗るたびに

 

自分を褒めました。

 

そして過去の頑張り続けた自分にも

 

感謝できるようになりました。

 

もし、電車で途中で止まっても

 

今なら言える気がしました。

 

「助けてください」

 

絵美子さんは徐々に

 

自分らしさを取り戻しつつ

 

あるようです。

 

絵美子さんは「野菊の花」に

 

道案内してくれた

 

女性との出会いという

 

偶然に感謝しました。

 

【続く】

 

皆さまいかがでしたでしょうか。

 

絵美子さんは大事なことに

 

気が付いたようでした。

 

「できないことは助けあって生きる」

 

そうして、少しずつ電車にも

 

乗れるようになったようです。

 

意外と道端には良い人もいますし、幸せを

見つけることができるものなんですね。

 

現在、不自由や不安を感じる人生を送っている人が

このブログを読んで少しでも新たな一歩を踏み出してくれる

きっかけになったら嬉しく思っています。

世の中には親切な人は意外といます。

そんな願いを込めて書いています。

 

何か生きる上でのヒントになりましたら幸いです。

 

皆さまよろしくお願いいたします。