皆さま

 

最近の楽しみは近所の昔ながらの

 

焼鳥屋さんで焼鳥をたくさん買って

 

日本酒を飲みながら食べることです。

 

楽しみって大切ですね。

 

では「道端で起きている幸せを綴る物語」の

第84作目を書いていきたいと思います。

 

「電車に乗れない絵美子さんが飛行機に乗れるまでに道案内をしてもらった物語②」

 

前回の物語はこちらからご覧ください。

電車に乗れない絵美子さんが飛行機に乗れるまでに道案内してもらった物語①

 

絵美子さんは電車に乗るのが怖くなり

 

会社を辞めて自宅でゆっくりと

 

生活を始めた30歳代の女性です。

 

少しずつ気持ちが落ち着いてきて

 

外に出かけてみることに

 

したのです。

 

絵美子さんは近所を

 

散歩してみることに

 

しました。

 

駅前まで行くのも

 

久しぶりのことでした。

 

電車に乗りたくない

 

絵美子さんは会社を

 

辞めて以来

 

電車に乗っていません。

 

駅前も少し行かないだけで

 

なんだか風景が

 

変わっているような

 

気もしました。

 

それはゆっくりと

 

駅前を歩くことが

 

なかったからかも

 

しれません。

 

絵美子さんは会社員時代

 

とても忙しかったからです。

 

そうして、駅前を歩いていると

 

絵美子さんは声をかけられます。

 

「すみません、荷物を持つのを手伝ってもらえませんか?」

 

声のする方を見てみると

 

60歳代くらいの女性が

 

たくさんの荷物を

 

持っていました。

 

「あ、はい。いいですよ」

 

女性は安心したようで

 

笑顔で

 

「ありがとう」と言いました。

 

そして、「では、ついてきてください」と

 

女性は絵美子さんを道案内

 

し始めます。

 

絵美子さんは女性の荷物を

 

持ってゆっくりとした

 

足取りについていきます。

 

すると女性は駅の中へ

 

入っていきます。

 

絵美子さんは少し焦ります。

 

「え、駅の中・・・」

 

そう思いましたが、女性は

 

どんどんと駅の中へ

 

進んでいきます。

 

改札の中へ入っていきます。

 

絵美子さんは少し

 

怖くなってきました。

 

「さすがに、駅のホームでお別れするだろう」と

 

絵美子さんは思って、

 

後に続いて久しぶりに

 

改札の中へ進んでいきます。

 

駅のホームへ着くと

 

女性は当たり前のように

 

電車を待っています。

 

絵美子さんはさすがに

 

女性に尋ねました。

 

「荷物はここまででいいですか?」

 

「できれば、一緒に電車に乗ってくれませんか?」

 

絵美子さんはこの女性が

 

なんと図々しい人だと

 

思う余裕もありませんでした。

 

電車に乗るのが怖いのです。

 

会社を辞めてから一度も

 

乗っていません。

 

それは一度満員電車で

 

途中で電車が止まり

 

言葉では表せないくらいの

 

恐怖感を味わったからです。

 

電車に乗ろうとすると

 

その恐怖感が必然的に

 

思い出されるのです。

 

「もう消えてなくなってしまいたい」

 

そんな風に感じたのも

 

良く覚えています。

 

絵美子さんの膝が震え始めます。

 

女性はニコッと笑顔になります。

 

そして、絵美子さんの瞳を

 

じっと見ます。

 

「大丈夫。この時間帯はとても空いているから」

 

なぜ、女性がそう言ったのかは

 

絵美子さんにもわかりませんでした。

 

絵美子さんは勇気を出すことに

 

しました。

 

独りではありませんし、

 

空いているなら

 

もしかしたら電車に乗れるかも

 

しれないと微かに思ったのです。

 

間もなく電車がやってきました。

 

スムーズにドアが開き、

 

女性は電車内に乗り込みます。

 

絵美子さんが車内を見ると

 

たしかに人もまばらです。

 

絵美子さんは荷物を持って

 

大きく深呼吸をして

 

恐怖感も携えながら

 

久しぶりに電車に

 

乗り込みました。

 

少し、絵美子さんの

 

心拍数が上がっているようです。

 

女性は座席に座っています。

 

絵美子さんも続いて

 

隣に座ります。

 

ドキドキが強まった気がします。

 

電車のドアがアナウンスが

 

終わると閉まります。

 

そこで、さらにドキドキが

 

強まります。

 

「閉じ込められる」

 

絵美子さんは心の中で叫びます。

 

しかし、いよいよ電車が

 

動き始めます。

 

電車はゆっくりと

 

スピードを上げて

 

走り出します。

 

絵美子さんは恐怖感が

 

強まるのを感じながら

 

気を紛らわそうと

 

女性に話しかけています。

 

「あ、途中で止まったらどうしよう」

 

またも、絵美子さんは

 

恐怖感を自分であおってしまいます。

 

絵美子さんはドキドキしてきました。

 

当の電車は次の駅に

 

絵美子さんの恐怖感とは

 

裏腹にスムーズに

 

到着します。

 

次の駅で乗客が増えると

 

「圧迫感を感じる」と

 

絵美子さんはさらなる

 

恐怖感を感じている

 

ようでした。

 

その間、女性は

 

暖かな笑顔を浮かべて

 

絵美子さんと話しています。

 

電車に乗って10分くらいで

 

女性の目的地に到着しました。

 

絵美子さんと女性は

 

電車から降ります。

 

絵美子さんは電車から

 

降りられる開放感と

 

「電車に乗れた」という

 

達成感の両方を

 

味わっています。

 

もちろん、電車内で

 

感じた恐怖感もゼロでは

 

ありません。

 

電車を降りた今では

 

「電車に乗れた」達成感の方が

 

上回っている気がしました。

 

絵美子さんは荷物を持って

 

電車に乗せられることを

 

拒んでいましたが、

 

結果、乗ることができたこと

 

駅までの女性との出会いという

 

偶然に感謝しました。

 

【続く】

 

皆さまいかがでしたでしょうか。

 

絵美子さんは電車に乗れなく

 

なっていましたが、

 

家の中でやれることはやって

 

外に出かけてみると

 

大荷物を持った人を手伝うことになり

 

そのまま乗れなかった電車に

 

乗ることになりました。

 

その偶然を諦めることなく

 

受け入れて勇気を振り絞った

 

絵美子さんの気持ちを想うと

 

拍手を送りたくなります。

 

平日の昼間の空いている時間、

 

一緒に乗ってくれる人がいる

 

そんな条件も絵美子さんの

 

気持ちを後押ししたかもしれません。

 

意外と道端には良い人もいますし、幸せを

見つけることができるものなんですね。

 

現在、不自由や不安を感じる人生を送っている人が

このブログを読んで少しでも新たな一歩を踏み出してくれる

きっかけになったら嬉しく思っています。

世の中には親切な人は意外といます。

そんな願いを込めて書いています。

 

何か生きる上でのヒントになりましたら幸いです。

 

皆さまよろしくお願いいたします。