皆さま

 

街中を散歩していて良く思うのですが、

 

住宅街でもいきなり雰囲気が変わる場所って

 

ありますよね。

 

急に古い家が並んでいて・・・

 

なんだかそこを通るのが楽しみになっています。

 

では「道端で起きている幸せを綴る物語」の

第56作目を書いていきたいと思います。

 

「夢にたどり着きたい祐一郎さんが道案内をしてもらった物語」

 

前回までの記事はこちらからご覧ください。

夢にたどり着きたい祐一郎さんが道案内をしてもらった物語①

夢にたどり着きたい祐一郎さんが道案内をしてもらった物語②

夢にたどり着きたい祐一郎さんが道案内をしてもらった物語③

夢にたどり着きたい祐一郎さんが道案内をしてもらった物語④

夢にたどり着きたい祐一郎さんが道案内をしてもらった物語⑤

 

祐一郎さんは日本のお城を目指して

 

女性と舗装された道を歩いていきます。

 

女性の助言をきっかけに重装備のうち

 

怒りの剣を祐一郎さんは捨てることを決めました。

 

防具は付けていますが、武器なしで

 

外を歩くことは初めてです。

 

祐一郎さんはまだまだ警戒心たっぷりに

 

歩いていきます。

 

時折、剣を持っていないことを

 

忘れて振りかざすポーズをしてしまい、

 

女性に笑われていました。

 

そんな風に笑われると祐一郎さんは

 

すぐにカッとなっていましたが、

 

剣を捨てたからか穏やかに

 

笑っています。

 

次第に剣という武器のない生活に

 

慣れてきました。

 

しかし、祐一郎さんは相変わらず

 

防具は付けていますので、

 

歩きにくそうです。

 

女性は祐一郎さんに尋ねます。

 

「剣を捨ててからどうですか?」

 

「最初は心配でしたけど、結局敵もいないので捨てて良かったです」

 

「それは良かったですね。あなたはあまり怒らなくなりましたね」

 

「怒らなくなったのですが、実は色々な感情が渦巻いていることに気が付きました」

 

「それはどんな感情ですか?」

 

「湧きあがる哀しさ、でも嘘くさい喜びもあります。で、一番は不安が大きいです」

 

「なるほど。いっそのことその防具、脱いじゃいますか?」

 

祐一郎さんは驚きます。

 

「いやいや、それは無理ですよ!盾も兜も鎧も、何があるかわかりません」

 

「まあまあ、落ち着いてください。剣を捨てても大丈夫だったでしょう?」

 

「まあ、それはそうですが・・・防具は別物でしょう」

 

「強いて言えば、どれなら捨てることができますか?」

 

「え、えー、いや、えー、全部必要ですよ」

 

「猛獣が突進してきたら盾でかわして、岩や木の実が落ちてきたら兜で頭を守って、鎧は万能に身体を守ってくれるし」

 

「猛獣なんて今まで出てきました?岩も、ましてや木の実ならラッキーでしょう?」

 

祐一郎さんは兜をかぶった自分に木の実が落ちてくるところを想像します。

 

「たしかにそうですが・・・わかりました。盾と兜は諦めます」

 

「ほう、本当に良いですね?」

 

祐一郎さんは剣を捨てても大丈夫だった自分を思い出し、

 

自分を信じました。

 

盾と兜をその場に置きました。

 

祐一郎さんは膝をつき、両手を合わせて呟きます。

 

「今まで僕を守ってくれてありがとう。もう必要なくなったのでここに置いていきます」

 

そして、祐一郎さんが盾と兜を見るとそこには、

 

「哀しみの盾」「喜びの兜」と書いてあるようでした。

 

女性が話しだします。

 

「今まであなたを守っていた過剰な哀しみや無理な喜びはもう必要なくなりました。良かったですね。おめでとうございます」

 

祐一郎さんは哀しい出来事があっても、それを表現せずに

 

自分の中に押し込めてきました。

 

それが過剰な哀しみとして溜まっていたようです。

 

喜びも自然と喜びを感じていれば良かったですが、

 

祐一郎さんは空気を読んで無理に喜ぶことが多く

 

いったい自分が何に喜んでいるのかわからなくなっていました。

 

哀しみの盾と喜びの兜を捨てた祐一郎さんは

 

兜で隠れていた表情が明るみになり、

 

それは随分と穏やかなものに見えます。

 

鎧をまとった祐一郎さんと女性は再び歩き始めます。

 

日本の城がまた大きく見えるようになってきました。

 

【~続く~】

 

皆さまいかがでしたでしょうか。

 

祐一郎さんはついに盾と兜を捨てました。

 

とうとう顔もあらわになったのです。

 

どうやら哀しみと喜びだったようです。

 

今までの祐一郎さんは過剰に哀しみがあったり、

 

無理に喜ぼうとして自分を守っていたようです。

 

続きは次回書きたいと思います。

 

現在、不自由や不安を感じる人生を送っている人が

このブログを読んで少しでも新たな一歩を踏み出してくれる

きっかけになったら嬉しく思っています。

世の中には親切な人は意外といます。

そんな願いを込めて書いています。

 

何か生きる上でのヒントになりましたら幸いです。

 

皆さまよろしくお願いいたします。