皆さん、「俯瞰(ふかん)」という言葉をご存じですか?
意味は 「高い位置から見下ろすように、物事全体を広く見渡すこと」 です。

仕事で全体を見渡す視点、つまり俯瞰することを意識できていますか?
これは経営者、中間管理職、ベテラン、新人…すべての立場に欠かせないスキルです。

目的を忘れていませんか?

日々の経営課題や業務トラブルに追われていると、本来の目的を忘れてしまいがちです。
その場の問題は解決できても、全体を俯瞰せずに対処すると、別の問題が次々と発生し、気づけば日々に疲弊してしまう…。

先日お伝えした「プロジェクトマネジメント」ともつながりますが、俯瞰スキルを持って全体を見ながら仕事を進めることが、結局は成果につながるのです。

ケース:商社の物流トラブル

例として、商社で車部品を顧客に納入する場面を考えてみましょう。

物流トラブルが発生し、新たにトラックをチャーターして追加費用を支払い、顧客納期を守らなければならなくなったケースです。
コロナ禍以降、ドライバー不足で実際によく起きている問題です。

中堅社員のよくある対応

  1. 追加費用を払う判断ができない

  2. 上司に相談したいが連絡がつかない

  3. 夕方ようやく指示を仰いだが、手配が遅れてチャーター便は明後日になる

  4. 結果、納期遅延で顧客に迷惑 → 始末書を書くことに

費用もかかり、信用も失い、ダブルパンチ…。これは実際に多くの企業で起きている現実です。

俯瞰的に考えれば?

そもそもの目的は「部品販売で利益を上げ、顧客と長期的な信頼関係を築くこと」ですよね。
であれば、この場合は 追加費用を払ってでも納期を守る のが王道です。

そのために普段から俯瞰し、上司と「利益が出る範囲なら追加費用は自分で判断して良い」といった 権限移譲を取り決めておく ことが重要です。

正社員はアルバイトではありません。給与をいただいている以上、自分で判断し、リスクを取る覚悟が必要です。

まとめ

今回のケースは中堅社員や新人にありがちな例でした。
次回以降は、経営者や管理職がどう俯瞰するべきかも掘り下げていきますね。

本日もお読みいただきありがとうございました!

 

皆さん、普段のお仕事で「プロジェクトマネジメント」って意識されていますか?

「自分はプロジェクトなんてやってないよ」と思う方もいるかもしれません。
でも実は、普段の仕事にも必ず“期日”がありますよね。
その時点で、それはもう立派なプロジェクトなんです。

そして、その期日をどう管理するかで、仕事の生産性も、人生の充実度も大きく変わります。

 

製造業を例に考えてみましょう

お客様の希望納期に合わせて製品を完成させ、納品する。
これは誰もが意識することですが、「ただ早ければ良い」というわけではありません。

  • 他の顧客案件との優先順位

  • 大口顧客の案件対応

  • 在庫を抱えすぎない工夫

これらを総合的に判断して進めるのがプロジェクトマネジメントです。

資材部のケース

あなたが資材部で、原材料手配や外注部品の納期管理を担当するとします。
目的は「必要なタイミングで製造現場に部材を届けること」。

しかし、遅れればラインが止まり、早すぎれば在庫リスクになる。
だからこそ“余裕を持ったスケジュール管理”が欠かせません。

 

Before/Afterで見るスケジュール改善

📅 元の想定スケジュール(ギリギリ計画)

  • 発注:9/2まで

  • 完成見込:10/15

  • 搬入:10/20

  • 受入検査:10/27

  • 製造部搬入:10/30

➡ これだと最終納期にピッタリで、少しでも遅れるとアウト。リスクが高いですよね。

 

📅 改善後のスケジュール(8/1時点で再設定)

  • 発注:8/20

  • 完成見込:9/30

  • 搬入:10/5

  • 受入検査:10/13

  • 製造部搬入:10/15

➡ 最終納期10/30に対して、15日間の余裕が確保できました。
想定外のトラブルが起きても、このバッファで吸収できます。

まとめ

これこそがプロジェクトマネジメントの基本です。
特別な手法ではなく、普段の仕事を“プロジェクト”として捉え、
**「期限を守るために余裕を持たせる」**ことが大切なんですね。

細かい調整のテクニックは、また別の機会にご紹介します。
本日もお読みいただきありがとうございました!

事業承継はなぜ難しいのか?後継者が知るべき心理戦の真実

事業承継は、コンサルティング現場で最も依頼が多いテーマのひとつです。
中小企業庁の調査によれば、60歳以上の経営者の半数以上が「後継者未定」と回答しています。つまり、日本の中小企業にとって事業承継は社会全体の課題とも言えるのです。

しかし——。
「事業承継したい」と口では言う社長ほど、実際にはまだ自分が一番できると思っており、なかなか手放せないのが現実です。

 

典型的な失敗事例

ある製造業のA社では、社長が「来年には息子に社長を譲る」と宣言していました。ところが、いざ後継者が意思決定をすると、必ず横から口を出してしまう。社員たちも「誰の指示を優先すべきか」迷ってしまい、社内が二分されてしまいました。

表向きはバトンを渡したように見えても、実質的には権限が二重化してしまう——これは決して珍しいケースではありません。

 

本当の問題は「心理」にある

事業承継が難しい最大の理由は、経営の技術論ではなく心理的な葛藤です。
現社長の心理は常に揺れ動きます。

  • 「後を任せたい」という思い

  • 「まだ仕事に関わっていたい」という気持ち

この相反する感情のせいで、発言や行動がブレ続けるのです。

一方で、後継者であるあなたは「任されているのに自由に動けない」という板挟み状態になります。ここにこそ最大のストレスが生じます。

コンサルタントを“2名体制”で入れる意味

では、どうすれば事業承継をスムーズに進められるのでしょうか?
私が提案するのは 「コンサルタントを2名体制で入れる」 ことです。

  • 年長のコンサルタント → 現社長につき、権限移譲プランを提示して合意を取り付ける。

  • 若手のコンサルタント → 後継者につき、スキルを冷静に分析し、不足があれば補強する。

こうすることで、双方に「自分の味方がいる」という安心感が生まれ、不信感が減ります。

また、両者だけで話す場を極力減らすことも重要です。現社長が感情的になり、後継者が委縮してしまうリスクを避けるためです。

 

成功に導くプロセス

事業承継を成功させるためには、次の流れが有効です。

  1. 権限移譲プランの提示
     現社長に「計画通りに進める」ことを約束してもらう。

  2. 後継者のスキル分析と補強
     現社長が「自分しかできない」と思い込みがちな部分を客観的に検証し、後継者ができることを明確化する。

  3. 退任セレモニーの実施
     社内外に「後継者へ承継した」ことを宣言し、現社長が堂々とバトンを渡す。

  4. 以降は現場に関与しない仕組み
     退任後は原則としてオフィスに来ない流れをつくり、後継者のリーダーシップを確立する。

この「けじめ」をつけることで、後継者が初めて本当の意味で社長になれるのです。

 

後継者へのメッセージ

事業承継は、社長の問題であると同時に 後継者の挑戦 でもあります。
あなたが正しい準備をすれば、社長の影響力を乗り越え、新しい経営を始められます。

「後継者は孤独になりやすい」とよく言われますが、必要なのは正しいサポート体制と味方を得ることです。

本日も読んでいただきありがとうございました。
二代目・後継者の方は、ぜひフォローしてこの学びを一緒に深めていきましょう。

「なんでも社長のせい」にする会社の末路

事業再生の現場でよく出会うのが――
「すべて社長のせい」にする会社です。

こういう会社の社長は、たいてい「いい人」。
だから苛烈な決断ができない。
あるいは決断しても、従業員にきちんと伝えられない。
その結果、経営が悪化しても現場には共有されず、会社はズルズルと悪化していきます。

社長の性格を無理に変えることはできません。
ではどうするか?
私は必ず「まだマシな従業員」を探し出し、その人をプロジェクトリーダーに据えます。

しかし、その従業員も追い込まれると、こう言いがちです。
「社長に聞いてみます」
「社長が決めることです」
――結局“逃げ”に走る。

もちろん私は逃がしません(笑)。
電話をかけると沈黙する人もいますが、最終的には必ず向き合わせます。

すぐ「社長が悪い」と言う人たち

他の従業員も同じです。
「社長が経営方針を示さないから」
「社長が営業しないから売上が上がらない」
「社長が良いと言ったから赤字案件を取った」

…とにかく全部“社長のせい”。

でも、本来の現場責任者は課長・係長クラスです。
赤字になる見積もりを通したのは、現場の判断。
その責任を経営者に押し付けるのは筋違いです。

だから私は事業再生で必ず「人件費の検証」と「従業員面談」を行い、切るべき人を見極めます。
そして最初に候補になるのは――
**「人のせいにして、自分は何も成果を出していない人」**です。

もちろん家庭事情なども加味して判断します。
けれど、他人に責任を押し付けて生きる人は、結局どこにいても周囲にマイナスの影響しか与えません。

だからこそ私は、社長に解雇を勧めるのです。

 

あなたは大丈夫ですか?

ここで少し、あなた自身を振り返ってみてください。

「誰かのせい」にしていませんか?
もし心当たりがあるなら、こう考えてみてください。

👉 すべての出来事は、自分が選んできた結果。
👉 そして状況は、自分の選択と行動で変えられる。

これは会社だけでなく、人生全般に言える真理です。

責任を自分で引き受ける人だけが、未来を変えられるのです。

本日もありがとうございました。

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本日もありがとうございました。

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