最後は長くなるのがお決まりなので、いらんこと書かずに本題に入ります。
おじいちゃんおばあちゃん主体の町内会エイド(思い込んでる)を過ぎると短い坂。
この坂本当に短くて、おそらく20mか30mくらいしかなくすぐそこが頂上なんですが、歩く人多数。
30kmを超えてくるとメンタル勝負になってくるけど、坂ってその強さをふるいにかけるんだなと思わざるを得ません。
その坂のあたりからうさぎの被り物をした背の高い女子が前にいて、知り合いが多く出ているらしい彼女は常に誰かと話しながら走っている。
住宅街を走っている時は、新たに合流したらしい別の女子と他愛ない雑談の後しりとり。
相手がいないと成立しないけど、つらいところに気を紛らわす手段としては有効かもしれないw
彼女とはここからしばらく近くで走ることになるんですが、沿道から「ちいかわ」って声をかけられていたところをみると、被っていたのはちいかわのうさぎだったみたいです。(あのキャラの名前ってなんだろう…「うさぎ」?)
しばらく行くと、また坂。
また坂か~と、どれくらい距離があるのか軽く確認しようと視線を先にやると…うわ、コレこの先何段階かで坂が続いてるな!
後から聞いたところによると、ここは「三段坂」と呼ばれているそうです。
勝田のコースは比較的長い直線部分が多くて、先を行くランナーたちの群れが見えるところも多いんですが、距離も距離だし精神的にイヤなとこナンバーワンはここだと思う。
仕方ない、上るか。
しっかりメンタルをやられて歩いているランナーも多いですが、「完走」を目標に掲げている私は渋々坂にとりかかります。
ここで両腕がなかなかの具合で疲れていることに気付く。すでにちょっとした筋肉痛になってる。
私は坂を腕で上るので、アップダウンの多い勝田では腕がかなり疲労していました。
でもいざ上ってみると、見た目のインパクトに比べたいした勾配ではない。
走る前はどうしてアップダウンの多い勝田を本命にするランナーが多いんだろうと思っていましたが、確かにアップダウンは多いけどタイムに影響するようなエグい勾配の坂がないから、逆に気分転換になって走りやすいのかもしれないです。
その三段坂、両側何もなくて沿道など誰もいないような場所なんですが、どこからかロッキーのテーマが…。
ロッキーおじさんだ!
関東のレースでは有名なロッキーおじさん。
私もかっきぃさんのレポで知ったんですが、勝田に来られてたんだ!
ロッキーおじさんについてはかっきぃさんのブログに数多く出演してますが、これが一番詳細だと思います。(おじさんが文春にインタビューされた記事もリンクされてます)
そんなロッキーおじさん、ランナーが一番しんどいところに現れるのはさすがの一言。
ランナーが手を上げたり声をかけたりするのに、おじさんもいちいち手を上げて応えていました。
私も手を振っておじさんに挨拶をし、おじさんパワーで三段坂は無事登頂。
しかし車いすでどうやってあんな辺鄙なところに来たんだろう。
体が思うように動く状態には見えなかったけど、スピーカーとかどうやって運んできたんだろう。
こんな強風で寒い中、それでもランナーを励ますために来てくれるなんて、なんて人なのか。
ロッキーおじさんのことを考えていたら涙が出てきて気道が狭まる。
息を吸っても吸っても喉がヒューヒュー鳴るばかりで苦しくて、これ今日イチ呼吸困難なんだけど。
…いや違うな、今日イチはポンチョに口と鼻塞がれた時だな、アレはマジで1ミクロンも空気入ってこなかったからな。
てかランナーの端くれなら走りで呼吸追い込めよ私。
あえてくだらないことを考えて涙を引っ込め、どうにか呼吸の安定を手に入れる。
近いうちにまた関東のレースを走ろう。次もおじさんに会えるといいな。
そう思いながら間もなく到達した35km地点でマットを踏む。
と、同時にガーミンが震える。
ん?200から300メートルくらいズレがあったはずだけど…。
実はキロ6に落としてからというもの、ここまでガーミンを見ずに体感で走ってきたんですが、35kmと同時に何かを知らせてきたガーミンにそこはかとなく嫌な予感。
見ると
電池残量低下
ぅおぉい!!
待て!待ってくれ!!まだ7kmあるんだが!!!
多分私の目、飛び出してたと思う。
今までこの表示が出た後も1時間くらいはもってた。
でも満充電で来たはずのガーミンがスタート地点ですでに80%切ってたのは、寒さから。
4時間半はもつはずのガーミンが、今寒さのせいで35kmで危篤になっている。
ガー美ン!(←久しぶりにこの呼び方した)
頑張れ!私も頑張るから!
右手でガーミンを撫でながら、心の中で叱咤。
ここまで頑張ってきた軌跡に霧と消えられてたまるか。
もはやガーミンと私は一蓮托生。
もう絶対歩くわけにはいかないと決意を新たに。
今シーズンずっとガーミンに尻を叩かれて走ってはいますが、今日のこれは本気で瀬戸際。
とにかく足を動かせ、走れ走れ走れ。
実際には文字から受けるイメージほどスピード感はありませんが、終盤の私にしてはメンタルに憂いなしでなかなか力のある走り。
この状態である角を曲がったら、目の前にストレッチするオッサンランナーが。
なんでこんなコースのど真ん中でストレッチしてんだよ!普通端っこ寄るだろ!!
避ける?無理だわこんなん!そもそも周りを気にしない自己中ランナーなんか知ったことか。
よし、ぶつかろう!(何が「よし」かは不明ながら、ここまで0.3秒)
あろうことか、この上肘を張って上半身まで幅をとり出していたオッサンに左半身を固めてアタック。
「あっ、ごめんなさぁいテヘペロ(古)」
勢いで半回転してこっち向いたオッサンにめっちゃ睨まれましたw
いよいよ残り5km。
往路でも走った道を、往路とは逆に走ります。(後でコース見るまで気付いてなかったけど)
沿道に、カバンにぶら下げたスピーカーから「負けないで」を流してくれている男性がいて、またグッとくる。
岡山でもこのくらいのところに高校生のブラスバンドが演奏してくれてたこの曲に涙が出たな。
音楽って力あるんだな。
歩かず最後まで走り続けることにもう迷いはないけど、練習量が足りてない脚には残り5kmが長い。
いつの間に抜かれたのか、少し前の沿道にちいかわうさぎの女性が誰かと写真を撮っているのが見える。
しりとりの女性とは別れたのか、それにしてもあの人知り合い多いんだな、地元の人かな。
横目で見ながらちいかわうさぎをパス…したけど、すぐ抜き返される。
この通りは片側二車線の広い通りで、おそらくこの辺りのメイン道路だと思います。
沿道にはたくさんの人が立っていてくれたので、こういう時こそ応援の力。
最後のありがとう運動を繰り広げつつ、前を走る女性をパスしたら「打ち上げまでがマラソンのお姉さんだ」とその女性に声をかけられる。
実はこの女性とは20km近く同じくらいのペースで走ってきました。
その道中で私の後ろになることも何度かあり、その時はいつも「ハアッ、ハアッ」と荒い息遣いだったので、頑張ってるなあと思っていました。
ここでも知らないうちに私の前にいて、すごいなあと思ってたんですが、その女性が声をかけてくれた。
思わず振り返り「ずっと抜きつ抜かれつでしたよね」と返すと「うん」。
「最後行きましょう!」
いや、もう残り少ないんだ、ここは「一緒に!!」
速いランナーたちの間では「順番で風よけ」とか「お互い交代で引っ張る」とかよく聞きますが、私たちの時間帯ってそういうのないんです。
誰もが自分ひとりで闘っています。
知り合い同士で出走すればあるでしょうが、少なくとも私は見ず知らずの初対面の相手とそれをやったことは皆無。
だから私もこんなことを提案したのは生まれて初めてです。
これって憧れの共闘じゃないの!?
なんだかテンションが上がり、心なしか少しペースも上がる。
沿道に返すありがとうの声も大きくなり、さらに力がわく。
この人と一緒なら最後まで元気に走れそうだ!
とても楽しかったんですが、終わりはそこから1km程度だったか、思ったよりも早くきました。
「先行って」
「えっ、大丈夫ですか」
「うん、行って」
「わかりました、じゃあこのペースで行ってます」
私もそれ以上ペースは上がりそうになかったので、追いついてきてねという思いを込めて女性と別れる。
寂しさを振り切るように沿道に愛想をふりまきふりまき、ゴールへ向かいます。
ゴールへ向かう最後の曲がり角で「あっ、なるぽん会!」と声をかけてくれた、明らかになるTを知ってる男女のお二人は誰だったんでしょうか。
朝かっきぃさんとくぐった公園の門を抜け、芝生の100メートルくらいでラストスパート。
全力で走りつつスタート前に「待つなよ、待つなよ、絶対待つなよ」としつこく念を押したかっきぃさんがゴールゲート周辺にいないことを確認しながらゴール。(ずいぶん余裕あるな)
グロス4時間18分、ネットだと4時間13分でした。
このタイムだとだいたい全体の半分くらいで、改めて勝田のレベルの高さを知った次第です。
道理で更衣室が尋常じゃなく混んでたわけだ…。
最後少しだけ一緒に走った女性も、少し待ったらすぐゴールしてきて、健闘を称え合いました。
別れ際になるT撮らせてほしいと言われ了承したけど、ゴールの高揚感に負けてあれほど頑なに守ったポンチョを軽々しく脱いでしまった。
タイツと化したランパンと、この天候でそんなに汗かく?と思われかねないずぶ濡れのうしろ姿がSNSに出回っていないことを祈るばかりです。
ちなみに死に体だったガーミンですが、ゴール後停止ボタンと同時の勢いで保存ボタンを押下。
ゴール後の諸々をいただいた後、時間を確認しようと見たらブラックアウトしてました。
あんたも頑張ったね、ありがとうガー美ン…。
マジで足の踏み場もない更衣テントでなんとかびっちゃびちゃの全身一式を着替え、西日をガンガン浴びながら水戸へ帰還。
お楽しみだった打ち上げに続きます。
しかし私、今シーズン網走4時間18分(同)、金沢4時間20分(4時間13分)、おかやま4時間18分(4時間17分)で、4時間18分職人みたいな…。
さらに今回は色々あった結果、自分でも驚くほどにラップが落ち着いてました、特に後半。
まあ安定してるっちゃ安定してるんですけど、できるだけ楽して「完走」しようと思うとこの辺になるんでしょうね。
今の実力とはいえ、ちょっと飽きたw