つべこべ言わずに後編です。
私設?大エイドをエセ元気で出発しましたが、脚はとっくに終わっている。
コースがまた、ずっと細かいアップダウンの連続で、元気なうちは気にならないけど後になればなるほどツライ。
国道10号というメイン道路なのもあってか、高速道路みたいな傾斜がついてる箇所もたびたびあります。
普段車がバンバン走っているからでしょう、路面もけっこうガタガタだったりボコボコだったりと荒いところが多く、終売した脚を引きずっている転倒女王の私にはそれがおろし金にしか見えず、転倒して膝を擦り下ろす恐ろしい白昼夢が襲ってくるw
このままだとコケる気がする…少し歩いて回復したらまた走ろう…
応援不毛地帯に戻っていることもあり、すっかり闘争心を削がれて30kmを待たずに早々とウォーク開始。
どこから歩き出したんだろうとガーミンの記録を見ると、どうやら大エイドを出てすぐ28kmあたりから歩いたり走ったりしてたみたいです。
で、30kmからは完全に歩いてる。
30kmまでは走れるだけ走るという意地は、こんなんでも一応継続してたようです。
姶良市に入ったあたりから風が強くなり、折り返してからはなかなかの向かい風。
体温がどんどん奪われていき、晴れてるけど寒い!歩いてるから余計寒い!
どこまで背中がもつかわからないから一応持っておくけど、14℃まで上がるなら使わないだろうとファスナー付のポケットにしまい込んでいた、松本マラソンでも大活躍した100均の携帯カッパ、ここ鹿児島でも満を持して登場。
マジでコレ、もしものために持っていくことを全力でお勧め!特に歩く予定がある人!かさばらないから!
信頼のポリエチレンにより体温が保たれ、心安らかになり歩きます。←
しかしめっちゃくちゃ脚痛いな。これ止まらないと回復しないレベル。
だけど歩いてるだけで情けないのに(その程度の心意気はあるらしい)、止まって休むのは自分がイヤだ。歩いて治したい。
点々と立ってくれているボランティアの学生さんに返す声も小さくなる。
ごめんね、せっかく応援してくれるのに歩いてて…。
歩いてたって前向いてるし、ゴールする気持ちは切れてないけどね!(突然の自己肯定)
しかし歩くとちっとも進まないな…
今どれくらいの位置にいるんだろ私…
桜島と錦江湾を眺めながらそんなことを考えていた私の後ろから、ちょっとした集団の気配。
ああ4:30集団かな
そりゃこんなところで歩いてたら4:30だって到底ムリだわな
どうぞどうぞ、端に寄ってますんで抜いてってください
ザッザッザッ5:00ザッザッザッ…
「Σえっ!!」
完全に4:30集団だと思っていたので、素で声が出ました。
えっ、5時間集団!?
まさかそんな遅れてたとは
しかしアレだな、この期に及んでまだ4:30とか思ってた私、厚かましいわ。
…
……
………
いや待て待て
5時間はいかんだろ
なんか…なんか5時間はダメな気がする
何がって言われたらわかんないけど、とりあえず追っかけなきゃ
念のため言っておきますが、5時間(以上)でゴールするランナーについてではありません。
飽くまでも私のことです。
心の中で一人問答しながら呆然と見つめていましたが、小さいプライドに後押しされ慌てて集団を追いかけます。
いざ走ってみると脚は少し回復していて、20mくらい先にいた集団には間もなく追いつきました。
少し間を空けて後方で付く予定だったんだけど、あれよあれよとペーサーの真後ろに。
ペースは6’50くらいでしょうか。
尋ねてみると「キロ7前後です」とのこと。
このペースなら苦しくはない。
しばらくこのまま集団で走らせてもらって、最後に残ってたら前に出よう
などと、すでに歩いていた分際で偉そうに皮算用していましたが、練習不足の脚が少し回復したからといってこの先10kmも走れるほどではない。
4km先の給水で集団がバラけたのを機に、またも走れなくなり離脱。
離れていく集団を見送りながら反省。
実は私、遅いペースの練習をしたことがないんです。
ペースが遅い=時間がかかるので、早く終わらせたいばかりのせっかち性分のせいです。
そのせいか集団に入っていても安定せず、油断するとすぐペーサーの前に出てしまう。
普段の練習で、疲れてペースが落ちてキロ7とかになるとすぐ歩いちゃうのもよくない。
ちゃんとゆっくり長く走る練習をして、しっかり脚を作らなきゃダメだな。
ところで私が5時間集団に抜かれた際に驚いて声が出たという話は先ほどしましたが、集団に抜かれて驚くランナーは私だけではなかったことが、集団走をしている間に判明。
私のように「えっ!」という驚嘆の他、「5時間に抜かれちゃったよ~」とか「マジかあ…」とか、あらゆるタイプの見送りを受けました。
みんなそれぞれ自分がどれくらいでゴールするか、ある程度の目星をつけて走ってるんだなあと実感。
そして5時間集団に置いていかれた私ですが、その後10分くらいに渡り5:00集団に3つほど抜かれました。
途中、私が最初に付いた集団のペーサーに「この集団、5時間よりだいぶ速いでしょ」と訊いていたランナーがいて、ペーサーが「はい、4時間45分くらいですね」と答えるやりとりがあったんですが、ペーサーの皆さんでゴールの設定時間内で段階を作ってるんですね。
今思えば、最初の集団に置いていかれても後のどれかに付いて行きゃ良かったのにと思いますが、後に2つも3つもチャンスが走ってくるなんて想像もしておらず、すでに気力を失っていた私。マラソンはつくづくメンタルです…。
天気がいいから無風だとあったかい。
海沿いコースのせいか風は一定ではなく、ポンチョは脱いだり着たりしていました。
それにしても脚が痛ってえわ~
何度もいうけど止まって休まないと回復しないやつだわ~
でも当初の予想(背中の痛み)と違って、練習不足で脚が痛いだけならせめて動き続けるってとこだけは守りたいわ~
痛てえ痛てえと小さな声で呟きながら、ステージは最低限のプライドを守る闘いへ。
歩いてるの情けないけど走れないから仕方ない。
走るのキライとこれだけ公言している私ですが、実はマラソン大会中に「なんでこんなツライことやってるんだ」とか「やめたい」とか思ったことは今まで一度もありません。
この時もずっと己の練習不足を恥じ、悔やみ、省みていました。
どっちにしてもキライなことをやるなら楽しまなきゃ損。そのためには練習しなきゃダメ。でもその狭間でいつも負けてるから、今この現実がまぎれもなくその結果。
努力は裏切るし、必ずしも望んだ成果が出るとは限らないけど、きちんと練習していれば仮に危惧していたように背中が痛かったとしても、自分への期待と信頼で最低でも30kmまでは押せたはず。少なくとも今日の私よりは進んでいたと思う。
反省しきりです。
問題は反省がいつもレース中のため、喉元過ぎる(ゴールする)と熱さを忘れることです。
そんな心中を話しかけてくれたランナーに吐き出したりしつつ(迷惑)、なんだかんだと40kmを超えました。
残りもわずかだし、いい加減走った方がいい。でも脚痛くて走れない。
いや、最後くらい走れよ
ムリムリ痛いし
せめて走ってゴールしたいでしょうが
走れる気がしない
この期に及んでまだせめぎ合い、それでも「走りたい」という気持ちがギリギリ勝って、最後の給水の後ようよう走り始めます。(ほんとマラソンはメンタル…)
いざ走り出したら意外と動く。
スタートゴールは同じなのでもう繁華街に近いところのはずですが、沿道はだいぶスカスカ。
そうか、5時間超えると沿道もこうなるんだな…沿道が楽しみで走ってる私のようなタイプは、やっぱり何がなんでも4時間台で走らなきゃ。
それでも残っている人たちが、私に最後まで声をかけてくれます。
ありがとうと言ったり手を振ったりしながら、最後の1kmちょっとはあっという間でした。
急ぐこともないのでラストスパートをかけることもなく、淡々ペースで5時間7分。※ネット
ワースト記録でした。
ゴール後オールスポーツの写真を断り←、タオルをもらい、水やら乳酸飲料やらが入った小袋をもらい、給食ゾーン(延々バナナ。バナナ好きじゃないので、またも断りながら歩く)を過ぎ、荷物預けの公園に到着。
更衣室も荷物預けも地下駐車場のため、けっこうな勾配の坂を下りる必要があります。
私の前の男性ランナーがその坂を足を引きずりながらヨタヨタと下りていく姿を見て、突然堰を切ったように涙が出てきました。
私、今日ほんとうにがんばった?
彼や周りのランナー比べて、明らかにダメージが少ない。
事前にパンフレットを見ながら、スタートゴールから荷物預けまで長いな…ゴール後なんか歩けるかなと心配していた道のりはスタスタスタスタと歩き、実際たいして痛くもない。
金沢ではゴール後ずっと、もげるんじゃないかと思うほど痛かったのに。
もうちょっとがんばれたんじゃないか。
もう走れないと思ってからもきっと走れた。
今日合計で8kmくらい歩いてるけど、そのうち5kmくらいは甘えだったんじゃないの。
そんな思いが溢れてきて止まらない。
途中5時間集団に抜かれて慌てたりしたけど、正直タイムなんかどうでも良くて、それより自分が満足できていないことが悲しい。
ていうかどうしよう、こんなところでこんなことになって。
もうすぐ女子高生が待つ荷物預けに着いちゃうよ。
ヨタヨタ歩く男性ランナーの後をのろのろと付いて行きながら急いで涙を拭き、帽子のつばを下ろして伏し目がちに預けていた荷物を受け取ります。
動線はそのまま更衣室に繋がっていて、私の荷物があったのは一番手前。
荷物を受け取ってから更衣室までの間、ずっとボランティアの女子高生たちがみんな拍手と笑顔でまた泣けてきて、「ありがとう」の声が震える。
彼女たちの拍手は、更衣室にいる間も帰る時もずっと聞こえていました。ああやって戻ってくるランナーを何時間労っていたんでしょう。
あの日、日本一優しい音だったと思う。(きっと東京も、その他のレース会場も)
と、ここで話が終われば、ちょっとしんみりした結果だったねとなるところですが、私がいるところ、なぜかしっかりオチがつく。
更衣室で靴を脱ぎ、かっきぃジップロックから濡れた手ぬぐいを出し、顔の塩と一緒にわきでる涙をぬぐっていたら、突然どこかから「きゃーーーっ!」と、THE・女子な悲鳴。
何!?と手ぬぐいから顔を離したその時、背後からバッターーーン!!とすごい音。
振り返ると、ここで見えるはずのないたくさんの男性の姿と、慌てたように立って「すいません、すいません」とこちらに頭を下げているパンツ一丁のおじさんwww
この更衣室、広い空間をパーテーションで男女仕切っているだけだったようで、おそらくおじさんが着替えてる時にふらついてパーテーションに体重がかかったんでしょう、そしてまんまとそのままパーテーションが倒れた模様。
状況を把握したと同時に、倒れたパーテーションの隣がまたグラグラと揺れ、バッターーーーン!!きゃーーーっ!←二度目もあったTHE・女子の悲鳴
幸い倒れたパーテーションの近くに人はおらず、逆にそのせいでパーテーションを立て直そうとする女性もおらず、女性側に倒れているだけに男性もこちらに踏み込むわけにもいかず、事態は2、3秒硬直。
いけねえここは私がと、すっくと立ちあがりパーテーションを起こした時にスタッフが飛んできて交代となったわけですが、そうか、私の足がノーダメージだったのはこのためだったのか…。(違う)
パーテーションを立ててから確認しましたが、私を含め着替えている最中だった女性はおらず、裸を晒したのは張本人のおじさんのみだったと思われます。
ちなみにこの事件で私が一番印象に残ったのは、THE・女子の悲鳴…。出そうったってなかなか出ないよ?あんな声…。
2度とも同じ人の声でしたが、絵に描いたような「きゃーーーっ!」で、なんならパーテーションが倒れた音より違う意味でびっくりしたし、ちょっと間が空いた二度目にもちゃんと「きゃーーーっ!」だったからね、すごくない?(ていうか、すでに1枚倒れてるんだし予想の範疇じゃね?とか思う私は女子力欠けてますかそうですか)
珍事のおかげですっかり涙も止まり、ホテルに戻って風呂に浸かった後、前日のうちに買っておいたごほうビール。
これけっこういい値段なんですよ。確か500円近かった。
DNFする予感満々だったし、完走できなかったらこんな高級ビールは贅沢だと躊躇したけど、これを楽しみに走れるかもしれないと購入。
ほろ苦い結果だったけど(特に気持ちが)、ゴールできたからまあいいや!
カンパーイ!!
夜には酒場を求めて天文館を放浪し、少し繁華街から離れたところにあったお店にIN。
“華酒かじいさん”
お通しの煮物。たっぷりあった。
鹿児島はなんでも甘いと聞いたけど、ポン酢を使ってるとかで酸味がきいてた。
鹿児島名物(スーパーにも刺身として数種類置いてる)鳥刺しと、焼酎「南ノ方(みなんかた)」お湯割りで。
他、きびなごの唐揚げと焼きおにぎり(これは甘かった)を食べて会計。
会計が3333円で、店の人と一緒に喜ぶ。
店の人がとても親切で、ごはんも美味しく良い店でした。(鹿児島にしては置いてある焼酎が8種類と少ないけど)
また鹿児島来たら寄ろう。
鹿児島マラソン。
桜島と錦江湾という名勝を存分に眺められ、西郷隆盛像や仙巌園なども見ることができる。
コースはほとんど国道で、制限時間7時間(後で調べた)という長丁場なのに鹿児島のメイン道路を止めるという心意気。そのため地元の皆さんにはご迷惑でしょうに、応援も温かい良い大会でした。
コースの路面や動線などにはまだ改善の余地がありますが、規模もほどよくホテルも取りやすい。
背中事情などで前日に観光ができなかったので、見損ねている場所ばかりなこともあって、また訪れたい土地です。
が、同じ鹿児島を走るならいぶすき菜の花マラソンも走ってみたいな。
最後に参加賞。
このメダルね、完走メダルじゃなくて選べる参加賞なんですよ。
参加賞受け取り会場で使える500円クーポン券との事前選択だったんです。
完走メダルにすると参加予定人数分作らなきゃいけないからどうしても余るし、予算を堅実に使うための苦肉の策なんだろうと想像はできますが、やっぱりメダルは完走した時に欲しい!
特に私は今回DNFの可能性もあったので、完走できなかったらこのメダル逆に虚しくなるなーなんて思ってました。
関係者がこんなブログ読んでることはないと思いますが、一考していただけると嬉しいです。
ということでレポおしまい。
今回もご静読ありがとうございました。