映画「顔のないスパイ」(DVD)…リチャード・ギアに殺し屋は不似合い? | チャコティの副長日誌

チャコティの副長日誌

主役になれない人生を送るおじさんの心の日記.
猫と映画、絵画、写真、音楽、そしてF1をこよなく愛する暇人.
しばし副長の心の彷徨にお付き合いを….



原題:The Double 製作年:2011年
製作国:アメリカ 上映時間:98分



名作?を探るシリーズ.

リチャード・ギア主演と言うだけで飛びついちゃった.
本年度累積26本目の観賞は、米製2011年の作品.
————————————————————

リチャード・ギア、トファー・グレイスの主演で描くサスペンスアクション.
米ワシントンで上院議員が殺害される事件が発生し、その手口から死んだ
とされている旧ソ連の伝説のスパイ、カシウスの存在が浮上する.

米ソ冷戦時代にCIAで活躍した元諜報部員ポールは、事件の謎を解明
するために呼び戻され、若きFBI捜査官ギアリーと組んで捜査にあたることに.
捜査が進むにつれカシウスの存在が明らかになっていくが、あらゆる状況
がカシウスの正体はポール本人であることを示しており…….

監督は「ウォンテッド」の脚本を手がけたマイケル・ブラント.

以上は《映画.COM》からの転載.
———————————————————


今から11年前の、リチャード・ギアもまだ脂がのっている頃の作品.
ギアには珍しく、FBIやCIAが絡んだサスペンス・ミステリー. しかし、
彼の甘いマスクからすると、やはりこうしたサスペンスは似合わない
様な気もするし、凄腕の殺し屋としての緊迫感が伝わってこない.

物語は、上院議員が首を斬られて殺される事件が発生するところから
始まる.その犯行の手口こそ、嘗てポールが追っていたカシウスの手口.
その殺人事件の捜査に乗り出したCIAのポールに、FBIの若造のベン
が相方として指名される.
 

 

CIAとFBIのコラボというのもビックリなのだが、なにもいがみ合う仲では
無いのであろう.同じ大統領の下で働く安全機構なのだから.
当初は、ベンの頼りなさに辟易していたポールも次第に情が湧き始め、
友情が芽生えていく.

原題のThe Double から誰かが二重スパイだということは推察できてしまう.
とどのつまりは、リチャード・ギア扮する凄腕の二重スパイのポールが、凶悪犯
として復活したカシウスを追跡し、妻と子の復讐を成し遂げようとする物語.

だが、そのカシウスこそが、ポール本人と言うのだから、これだけでも複雑….
そこに、ポールと共に捜査に乗り出す若造の相方・ベンもまた、別の顔を持つ
スパイだったという顛末の、二重構造のストーリーとなっているのが凝っている?
 

 

ラストでポールとボズロスキーが相討ちとなり、ベンだけが生き残るのだが、
カシウスの凶器でもある時計から伸びるワイヤー.その時計をポールから
ボズロスキーの腕にはめかえておいて、捜査陣にはボズロスキーこそが
カシウスだったと告げるベン.

このラストがなかなかの感情もの、常に尊敬していたカシウスという存在と、
家族を愛していた男を簡単に始末するわけにはいかなかった….
そして、またベンもカシウスと同じ運命を辿るんじゃないかと思わせる
哀しいエンディングへ繫がっていく.

ミステリー、サスペンスとしては一見複雑ながらもあまり良いストーリとは
思えないのだが、二人のダブルスの交流がなかなかの見せ場になっている.
やはりリチャード・ギアを真の悪役にはできないのかも…(汗).