チャコティの副長日誌

チャコティの副長日誌

主役になれない人生を送るおじさんの心の日記.
猫と映画、絵画、写真、音楽、そしてF1をこよなく愛する暇人.
しばし副長の心の彷徨にお付き合いを….



原題:House of Gucci
製作年:2021年 製作国:アメリカ 上映時間:159分

 

リドリー・スコットが監督ということと、豪華出演メンバーに釣られて
近所のシネコンで観賞.本年度累積14本目の鑑賞.

巨匠リドリー・スコット監督が、ファッションブランド「GUCCI(グッチ)」の創業者一族
の崩壊を描いたサスペンスドラマ.サラ・ゲイ・フォーデンのノンフィクション小説
「ハウス・オブ・グッチ」を原作に、グッチ一族の確執と3代目社長マウリツィオ・
グッチ暗殺事件を描き出す.

1995年3月27日、GUCCI創業者グッチオ・グッチの孫にあたる3代目社長
マウリツィオが、ミラノの街で銃弾に倒れた.犯人の特定が難航する中、犯行を
指示した驚きの黒幕が明かされる.

マウリツィオの妻で、グッチ家の崩壊を招くパトリツィア・レッジャーニを「アリー 
スター誕生」のレディー・ガガ、夫マウリツィオ・グッチを「マリッジ・ストーリー」の
アダム・ドライバーが演じ、アル・パチーノ、ジェレミー・アイアンズ、
ジャレッド・レトが共演.

以上は《映画.COM》から転載.
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ブランドものとは全く縁の無い副長.“GUCCI”というと、けばいブランドとしか
イメージが無い. ヨーロッパ内に居住していたが、GUCCIは日本人向け、
アメリカ人向けの位置付けだったような気がする. その後本事件以降も
GUCCI は名門ブランドして変革しているようだ.今の様は知らない.

それはそれとして、前夜にDVDでウォン・カーウァイ監督の耽美的な作品
において、フェイ・ウォンやチャン・ツィイーのアジアン・ビューティーの
美しい後ろ姿や女性らし滑らかな曲線を堪能したせいだろう.
レディ・ガガの矯正した無様で醜悪なボディスーツ姿にへきへきしてしまった.
思わず目をそむけたくなるほど醜いと感じてしまった(苦笑).

でも、それ自体がイタリアン・ビューティなのだろう、アダム・ドライブ演ずる
マウリツィオ・グッチはいちころにまいってしまう.パーティで出遭い名前を
聞いた時から、パトリツィア:レデイ・ガガの狙いは明らかで、金目当て、名誉
目当てのターゲットとされてしまう.

幸せな結婚生活をスタートするグッチ創業者の孫にあたるマウリツィオと
パトリツィアの生活がまるでドキュメンタリーの様に描かれる.
当時はイタリアの老舗ブランドながら新ブランドの後塵を拝していた頃の話.

パトリツィアは経営とか会社にまるで興味が無い夫マウリツィオを焚きつけて、
GUCCIの仕事に向かわせる.2代目の伯父であるアルド・グッチ:アル・パチーノ
に取り入る…と戦略的にGUCCIの経営に介入しようとする.

彼女がグッチ家に入るまでは、家族の結束も固く幸せなファミリーであった.
彼女の戦略により絆にヒビが入る.愛憎、裏切りの連鎖が起こり始める.
彼女が厄災の元凶に思われるかも知れないが、彼女抜きでもGUCCI家は
滅亡する原因をたくさん抱えているように思える.

2代目当主を務める兄弟の保守性、自転車、車、ボート、バイクに始まり、城のような
屋敷や別荘の数々、湯水のように会社の利益を食いつぶす一族の生活具合.
没落するに間違いのない経営具合なのだ.

そんな中、グッチの経営に口を挟もうとしては「君はグッチじゃない」と疎外され
続けたパトリツィアの愛が憎しみへと変わっていくさまを演技するレディー・ガガ
の役作りにはほとほと感心する.

 

 

 

 

そして、操られる夫を演じるアダム・ドライバー、後に目覚めパトリツィアから距離を
置くようになるのは自然の理かもしれない.そんな役柄をアダム・ドライバーは器用に
演じる.が、それはパトリツィアの魔性を読み違えた感がある.読みが甘いのである….

アル・パチーノ、ジェレミー・アイアンズらが朽ちゆく2代目の爺さまたちを好演.
何よりもジェレミーの子供役のジャレッド・レトの怪演は素晴らしい.最近観た
「リトル・シングズ」でもサイコなチンピラ役で楽しい演技をしていたが、本作でも
腑抜けの、間抜けな役柄を嬉々として演じている.ほんとに快演なのだ.
 

 

 

 

音楽は、意外な事にレデイ・ガガの楽曲は無かったように思える.
なにしろ歌手としての彼女に知識がないので…(汗).60、70年代のヒット曲、
ドナ・サマーの曲なんかが印象的な使い方だった.

やはり、レディ・ガガの凄みを上手く利用して、他の役者たちの持ち味をも上手く
引き出したリドリー・スコット監督の手腕による作品の感がある.
159分を長尺に感じさせない佳作と思った.