チャコティの副長日誌

チャコティの副長日誌

主役になれない人生を送るおじさんの心の日記.
猫と映画、絵画、写真、音楽、そしてF1をこよなく愛する暇人.
しばし副長の心の彷徨にお付き合いを….



Pierre-Auguste-Renoir《Stilleben,Rosen von Vargemont》1885、個人蔵
 


10月のルノワールのカレンダーは
《ワーグモントのバラ》個人蔵

原画はこんな調子.

 

カレンダーの方が色調が強調されているね.


ワーグモントというはフランスの海側にある街名.
ルーアンの北方、イギリス海峡に面した地.
正しくはヴァルジュモン.なぜか本作の標記は
ドイツ語.所蔵者がドイツ人??

当時ルノワールの主要なパトロンで銀行家である
ポール・ベラール氏の家がワーグモントにあり、
ルノワールはそこに滞在して絵をよく描いていたそう.
 
そのワーグモントにあるポール・ベラール氏の庭に
ある薔薇の花を描いた作品.
この庭が本当に美しくて、ルノワールは庭自体も
描いている.


Pierre-Auguste-Renoir《ワーグモントのばらの庭》1885

1885年はアリーヌとの間に長男ピエールが誕生した年、
この時44歳.古典主義への傾倒が著しい時期.

この庭の作品は古典主義そのものの作品.
転じて、この薔薇の作品のタッチは古典主義
のものではない.

ルノワールの描く花の絵は多々あるのだけど、
この作品ほど筆のタッチが荒々しいのは珍しい.
それでも白や赤の顔料がうまく合わさって、
しっかりと薔薇になっていてそれが本当に美しい.
 
模索するルノワールを表す一品.