2024年6月7日、栃木県足尾町(現・日光市)の庚申山(こうしんざん)へ行ってきました。
貴重な「コウシンソウ」の自生地があり、その花を見たかったからです。
庚申山の登山口は、銀山平(ぎんざんだいら)です。
ここは日本百名山の皇海山(すかいさん)、足尾銅山の山、備前楯山(びぜんたてやま)の登山口でもあります。
庚申山は江戸時代、庚申講の本山として隆盛したこと、全山は奇岩怪石に覆われ、百余の名所からなっていること、その他様々な伝説や歴史のある山との案内板がありました。
6時7分、銀山平の登山専用駐車場を出発しました。
ゴロゴロの岩が大量にある「天狗の投石」です。
長い林道を歩いて、「一の鳥居」から本格的な山道になります。
新緑が眩しい道です。
麓の足尾にある磐裂神社(いわさくじんじゃ)から庚申山まで114丁の距離があるうち、ここが百丁目との標石があります。
鏡岩を通過。
仁王門を通過。
昭和21年に焼失した、旧・猿田彦神社の跡地に着きました。
奈良時代の神護景雲元年(767年)、庚申山は勝道上人(しょうどうしょうにん)によって開山され、この地に猿田彦大神が奉祀されたそうです。
勝道上人は、山岳修行者の僧侶で、中禅寺湖を発見し男体山を初登頂した日光開山の祖、とされる人物です。
クリンソウ(九輪草)が咲いていました。
お山巡りコースに向かいました。
シロヤシオの花がわずかに残っていました。
通称、コウシンコザクラが咲いていました。
岩壁に、コウシンコザクラが群生しています。
足元が崩壊している崖地です。
この巨岩の表面、コウシンコザクラしかなさそうですが・・・
岩壁に目を凝らすと、ありました。
国の特別天然記念物、コウシンソウ(庚申草)です。
垂直の岸壁にへばりつくように、葉、茎を出し、花を咲かせています。
コウシンソウは、環境省レッドリスト絶滅危惧Ⅱ類(絶滅の危険が増大している種)に指定されています。
コウシンソウはムシトリスミレの仲間だそうです。
この茎や葉からねばねばの粘液を出して、小さな虫をつかまえじわじわ消化吸収する食虫植物です。
お山巡りコースは崩落しているため、現在、庚申山頂へ通り抜けできません。
旧・猿田彦神社跡に戻り、山頂へ登り直しました。
クワガタソウ(鍬形草)も花盛り。
様々な奇岩怪石の登山道を登りました。
お山巡りコースとの合流地点です。
通行止めになっています。
さらに登ると、巨大な岩壁が剥き出しの所があります。
ここにもコウシンソウが咲いていました。
たくさん咲いていますが、毎年来ているというすれ違った方の話では、多かった年の5分の1、とのことです。
こんな厳しい環境の中で、よく生きているものです。
そんなに可愛らしくもない地味な花ですが、こんな厳しい場所で生きる健気な植物です。
下手に化粧したような花弁の黄色は、虫へのアピールでしょうか。
10時51分、庚申山山頂に着きました。
標高1892m、山頂からの展望は今一つです。
山頂から少し進むと、展望が開ける場所があり、そこで昼食休憩としました。
庚申山からアップダウンを繰り返す鋸尾根の先には鋸山、そして皇海山が見えます。
鋸山~皇海山の稜線は、栃木・群馬の県境です。
20数年前、銀山平から庚申山経由で皇海山を登り、帰りは六林班峠経由で下山しましたが、あまりの下山路の長さに閉口してしまいました。
今回、ここ庚申山頂まで登ってかなり疲れましたので、もう皇海山への日帰り登山はとても無理だなと思いました。
足尾・中倉山方面。
中央の最奥、雲がかかっていて山頂が見えないのは男体山。
下山に移りました。
コウシンコザクラも見納めです。
庚申山荘です。
素泊まりのみの宿泊施設ですが、現在、施設の不具合が見つかり、使用停止となっています。
鹿がゆうゆうと歩いていて、こちらを見ていました。
庚申渓谷は、紅葉の時期は素晴らしいようです。
13時51分、駐車場に下山しました。
合計時間 7 時間 41分 休憩時間 1 時間 13 分
距離 16.0 km のぼり / くだり 1552 / 1545 m