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タイ修行②

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遠い田舎まで連れてこられた僕はまたリングに上がった。
相手は一回り大きく1Rからガンガン攻めてくるのだが強さを感じることはなく、2Rに僕が右肘を思い切り連打すると相手はマットに沈んだ。KO勝ちだった。セコンドのタイ人に思わず抱きついて喜んだ。賞金500バーツ。
だが、僕の右肘は衝撃で曲がらなくなってしまった。

次の日、寺に帰るのかと思いきや着いたのはまた別の試合会場…… ?

連チャンだった。しかも今回は真っ昼間。炎天下の中、僕はリングにあがった。リングは夏の砂浜のようにジリジリと焼けており、火傷しそうなぐらい熱かった。
仕方ないのでつま先立ちで闘った。
しかし、相手は前日とは違いテクニシャン。僕の蹴りやパンチはことごとくかわされ、逆に攻撃をもらいまくった。
特に痛めた右肘にもらう左ミドルは涙が出そうなぐらいに痛く、5R判定負けだった。賞金700バーツ。
人生初の5Rは死ぬほどキツかったが、何故か僕は童貞を捨てたかのような満足げな気分に浸っていた。

タイ修行①

2006年春
僕は再びタイへ渡った。全てを捨てて来たつもりだったが、実際に犠牲にしたものは何もなかったと思う。
自分が一番望んでいたことを実現できる喜びが大きすぎて、将来のことなどどうでもよかった。
本当に来るかわからない10年後の未来を考えて生きるより今の自分が大事だと思った。
すべて両親の支えがあって出来たことなのだが…。

僕はまたあのお寺でお世話になるつもりでいた。
いきなり行って長期滞在など出来るだろうかという不安があったが、それは杞憂に終わった。

前回同様超フレンドリーに受け入れてくれ、僕のタイ修行はスタートした。
もう何年も一緒にいるかのような不思議な感覚に陥った。
これもタイ人の魅力の一つだと思う。

その次の日早速試合会場に連れて行かれた。車で6時間。ブリラムという田舎街だった。

昔話⑥

タイから帰国した僕はこれから先の自分について考えた。
今の仕事を続けながらプロキックボクサーになるか。
仕事を辞め、本格的にムエタイ修行を始めるか。

三日悩んだ。(短い)

僕は仕事を辞め、日本でプロキックボクサーになり渡タイすることに決めた。

だって人生は一度きりだから。

そしてその年の冬にプロテスト受験。
翌年春にプロデビュー戦にて判定勝ち。
試合一週間後、僕はタイへ飛んだ。

ムエタイを自分のものにするために。