「善を行った人々は正しい者の復活の時に、また悪を行った人々は正しくない者の復活の時に出て来るであろう。」
「神の御心への改心」2022年4月、クエンティン・L・クック、十二使徒定員会
ジョセフ・スミスの預言者としての数多くの役割の一つが,教義と聖約第76章に見られます。それは,栄えの王国を含む天の示現についての明確な記録です。預言者ジョセフとシドニー・リグドンが,祝福されて1832年2月16日に受けたものです。当時,大多数の教会は,救い主の贖罪はほとんどの人に救いを与えないと教えていました。救われるのは少数であり,大多数の人は,「最もすさまじい言語に絶する厳しさの」(フレデリック・W・ファーラー,Eternal Hope: Five Sermons Preached in Westminster Abbey, November, and December 1877 (1892年刊), xxii.)無窮の苦痛を含む,地獄(「hell」)と罰の定め(「damnation」)を受ける運命にあると,信じられていました。
第76章にある啓示は,栄光の階級についての輝かしい示現を伝えています。前世において勇敢であった天の御父の子供たちの大多数は,究極の裁きの後,そこで大いなる祝福を受けるのです。※1 その最も低い階級でさえ「人知ではとうてい計り知れない」(教義と聖約76:89)ものである,この3つの栄光の階級についての示現は,大多数の人は地獄と罰の定めを受ける運命にあるという,当時有力ではあったものの間違った教義に対する直接の反証です。
ジョセフ・スミスは当時まだ26歳で,大した教育も受けておらず,聖書の原文を成す古代の言語に接したことがほぼ皆無であったことを考えると,確かにジョセフは主の御手に使われる者でした。ジョセフは第76章17節で,ヨハネによる福音書で用いられた「damnation」(「さばきを受ける」)という言葉の代わりに 「unjust」(「正しくない」)という言葉を使うよう霊感を受けています。(ヨハネ5:29参照)
その45年後,聖公会の指導者であり,高い教育を受けた古典学者であり,※2 The Life of Christ(『キリストの生涯』)の著者でもある(See Frederic W. Farrar, The Life of Christ (1874))フレデリック・W・ファーラーが,欽定訳聖書の中のdamnation〔訳注:口語訳聖書では「さばきを受ける」と訳出〕という言葉は,ヘブライ語とギリシャ語から英語に翻訳する際の誤訳の結果であると強く主張しているのは,興味深いことです。※3
現在,多くの人が,罪の結果などあり得ないという考えを受け入れ,悔い改めなくても罪は無条件に容赦されることを支持しています。わたしたちの啓示された教義は,大多数の人が永遠の地獄と罰の定めを宣告されるという考えを否定しているだけでなく,救い主の贖罪にあずかって日の栄えの王国を受け継ぐには,個人の悔い改めが前提条件であることも立証しています。(悔い改めと贖罪の関係については,教義と聖約19:15-18,20に述べられています。さらに,無窮の罰については,教義と聖約19:10-12で明確にされています。)ジョセフ・スミスは,まことに主の御手に使われる者であって,主の福音の回復をもたらしたことを,わたしは証します。
※1 その示現には,現世でキリストについて学んでいない人々や,責任を負う年齢以前に亡くなる子供たち,理解力のない人々が含まれます。
※2 ファーラーは,ロンドンのキングス・カレッジとケンブリッジのトリニティ・カレッジで教育を受けました。そして,イングランド国教会(聖公会)聖職者,ウェストミンスター寺院の大執事,カンタベリー大聖堂の主任司祭,王室の牧師を務めました。
※3 Farrar, Eternal Hope, xxxvi–xxxvii参照。フレデリック・ファーラーは,“damnation”(罰の定め)と“hell”(地獄)についての教えを正さざるを得ないと感じました。そして,「簡潔で,明白で,議論の余地のない事実……」と呼んだものを力強く宣言しました。「‘to damn’(「罰に定める」)という動詞とその同族語は,旧約聖書に一度も出てきません。このような意味を伝える言葉は,ギリシャ語新約聖書の中にありません。」さらに,“damnation”という言葉は「ひどい誤訳であり,……主の言葉のほんとうの意味を曲解,また曖昧にしている」と説明しています(Eternal Hope, xxxvii)。ファーラーはまた,天の御父が愛に満ちた御方であられることが,聖典を通して圧倒的に示されており,そのことが英語の翻訳で用いられているhellとdamnationの定義が不正確であることのさらなる証拠であるとも指摘しています(Eternal Hope, xiv–xv, xxxiv, 93参照。クエンティン・L・クック「御父の計画─すべての子供たちを救う壮大なもの」『リアホナ』2009年5月,36も参照)。


