夕立ちと家族と傘 | Centotrenta 代表 加藤いさおのBLOG                        

もう、夕立という言葉は

死語なのだろうな。

あんな優しい言葉では

済まされない程の

突然の雨が襲いかかる


雷も轟音と化し

何処か近くで

花火大会があるのか?という程

遠くから近くに接近してくる


その雷鳴は

豪雨を運んでくる。


こういう時の路面店は

最悪だ

ふと外を見ると

4人家族がウチの舗のあるビルで

雨宿りをしている

「すぐに止むだろう」と私も

そのご家族も思っていたに違いないが

雨は一向に止む雰囲気ではない事に

気づいた


ストックに行って

ビニール傘の本数を数えたが

3本あった

私は、それを掴み

ご家族に喋りかけた

「もしもお困りでしたら

こちら返さなくて良いので

人数分無くてすみませんが

お使い下さい」


驚いたお父さんは

「え?我々にですか?

お客でも無いのに?」


「いえいえ、お急ぎでしたら

と思いまして」と

傘を差し出した


「助かります

ありがとうございます」

とご家族は

何度も振り向き去って行った


そんなやり取りも忘れた

数時間後

そのご家族が傘を持って

尋ねて来てくれた


「すみません

助かりました、傘を返しに

来ました」


「そんな、わざわざ

もう差し上げたものでしたが

ご丁寧にありがとうございます」


「とんでもないです

こんなに親切にしていただき

家族全員戸惑っていました

本当に嬉しかったので」


「いえいえ

大袈裟です」と

私は少し恥ずかしくなった


「こちら

つまらないものですが」



差し入れをくださった。


「今度は

お客として必ず来ますので」


「お待ちしてます」

私は、ご家族を見送った


リアルな店舗には

こういう物語が沢山ある。

空も

私の気持ちも

晴れ晴れとしていた。