みちのく一人旅 衣食住編 | Centotrenta 代表 加藤いさおのBLOG                        

初めての盛岡の夜

菅原社長行きつけの

日本料理屋さんに連れて行って

頂きました。

店名は

「ななしの庵」



BGMの無い

カウンターだけの席

まるで

遠い時代へと

遡って辿り着いたような

不思議な気持ちにさせられた

店内に漂う香りは

まさに「和」

 

まだ若い店主は

一眼見て

「嗚呼、なるほど」と

思わせるような

職人気質な紳士で

所作 声のトーン

そして料理と

何もかも完璧でした。

「考えたらちゃんと話すの初めてだよね」

そういう菅原社長に

「はい、東京のメーカーさんのパーティで

少しお話しさせていただいて以来です」と

地ビールで乾杯しながら語った。

 

氏の盛岡を盛り上げたい

信念

そこには

やはり

「東日本大震災」が

きっかけだと云う事

 

地域密着ならではの

できること

 

様々な店舗や業種の方々を

巻き込んだ

決して商売ベースではない

「ナニカ」

突き刺さる

言霊は

南船場4丁目に育ててもらった

自分にも通じるものがあり

 

「嗚呼、やはり来て良かった」と

終始思いながら話しました

 

我々は

接客を主としている商い

だからこそ

相手にとって不快な気持ちや

気遣いが

良くも悪くも

身についているので

プライベートになると

牽制しながら会話に入る癖が

こびりついてしまっています

 

稀に

その牽制をする必要性のない方に

出逢います

 

氏はそういう方でした

産地の料理









産地の水

そして南部鉄器という



逸品に囲まれながら

 

私も、あまり開くことのない

扉を開けて

ナチュラルに会話をすることができました

 

「何処で誰から買いたいか?」

アパレル戦国時代は

これに尽きると思います

 

きっと

東北の方々は

「ここで買いたい」

そして

「ここで食べたい」と思うのだろうなと

極上の日本酒を飲みながら

 

南部鉄器を眺めていました

 

「ああ、加藤君

温泉!温泉!10時に帰らないと

入れないんじゃないの?」

 

「え?もうそんな時間ですか?」

 

「すごくおすすめのバーがあるんだけど

次回はこの辺に泊まって

そこに行こうよ」と気遣ってくれる

 

「盛岡に来てくれたんだから

ここはいいの!」とお会計も出させてくれない

 

挙句にタクシーまで呼んでいただき

本当にあっという間の3時間でした

 

「近いうちに必ず来ます」と

約束させてもらい

 

私はタクシーに乗り込んだ

後部座席からずっと手を振る

久々に気分が良い酒で

車中酔いがまわり

眠りに堕ちてしまった

 

「お客さん着きましたよ」

 

遠い声が聞こえ

慌てて

飛び起きた

 

「ありがとうございます」と

少し寝ぼけながら

タクシーを降りて

 

旅館に入った

 

「温泉かあ!!」

 

昔ながらの温泉旅館

ただ・・・・・・

薄暗い

 

フロントには誰も居ない

 

ベルがあったので

「チ〜〜〜〜ン」と鳴らすと

 

少し

小太りの従業員さんが

和かに出てきた

 

「あのう、予約していた加藤です」

 

「加藤様、お待ちしておりました」

 

待ってないなと

心で呟きながら

 

説明を聞き

 

昔ながらのルームキーを受け取り

 

部屋へと向かうのであった

思っていた旅館と違うことと

考えると旅館に一人で泊まるのは

初めてだなと

少しだけ怖くなった瞬間

酔いはすでに醒めていた。

 

続く