前回まで 3回にわたり延々と、映画「建築学概論」( 2012 )を取り上げました。

 

実は、別の映画を絡めるつもりで始めたのに、確認のため「建築学概論」を観直すうちにすっかり脱線、他のものを入れる余裕が無くなってしまいました。

 

 

 

今回は、本来絡めるつもりだった映画をお題にします。

割と最近の作品なので、心して ネタバレしない ように致します。

 

と、ここまで前置きをしたところで今回のお題

「君の結婚式」( 2018 )

 

日本での劇場公開は 2019 年。

現在、アマゾンプライム、楽天 TV,dTV,U-NEXT などで配信中のようです。
 

(左)ファン・ウヨン役にキム・ヨングァン

(右)ファン・スンヒ役にパク・ボヨン

肩のコピーが「覚えていますか? あなたの初恋」

いきなりの小ネタ、ふたりの姓がどちらも「ファン」ですが、

 

「黄 (ファン Hwang  )」 ウヨン

「桓 (ファン Hwan   )」 スンヒ

 

と、微妙に異なります。

 

ちなみに、

「黄 (ファン)」さんは姓の順位が 16位

「桓 (ファン)」さんは 154位、かなり珍しい姓のようです。

 

ついでに韓国で最も珍しい姓とされるのが

「小峰 (ソボン)」

「武本 (ムボン)」

「藤井 (トゥンジョン)」

「荒木 (ファンモク)」

など。

漢字から、その由来が分かるかと思います。

 

お話はというと…

 

でもその前に、ふたりの身長差につい目が行ってしまいます。

パク・ボヨンは公称 158cm 、キム・ヨングァンは 187cm ですが、30 cm差にはとても見えません。

まあ、パク・ボヨンの「下駄履き」は割と知られています(^^ゞ

おっと、お話を忘れることころだった。

 

高校時代の出会いから大学生活、就職活動を経て社会人になるまでの 10年間におよぶ青春時代を、さまざまな感情やエピソードを交えて描いたラブストーリー。

 

高校 3年の夏、転校生のスンヒに一目ぼれしたウヨンは、スンヒにしつこいほどのアプローチを続け、恋人同士になれるまであと一歩のところまで距離を近づけることができた。

 

しかし、その矢先、スンヒは「元気でね」という 1本の電話を残してウヨンの前から去り、ウヨンの初恋は成就することなく幕を閉じる。

 

そして、その 1年後、スンヒの行方を追って彼女と同じ大学に合格したウヨンだったが、今度はスンヒの彼氏が目の前に立ちはだかる。

 

「映画.com 」「君の結婚式」から引用。

https://eiga.com/movie/90487/

 

この映画は「初恋らしさ」の舞台や、場面設定が数多く登場します。

 

2005年、高校時代の舞台が韓国北東部、江原道 江陵(かんうぉんど かんぬん)

江陵といえば多くの映画やドラマの舞台、海岸線の風景が欠かせません。

 

スンヒは南西部、全羅道 全州(ちょるらど ちょんじゅ)からの転校生。

この距離感設定がまた絶妙です。

 

高校が舞台ときたらやはり、塀を乗り越えなくてはなりません。

しかし、身長を最大限活用したいとはいえ、この塀はちょっと高過ぎでしょう。

向こう側に落ちたら大変です。

 

塀を乗り越えるといえば、何といっても

「冬のソナタ」( 2002 KBS2 )が思い出されます。

制作時チョン・ユジン(左 チェ・ジウ 26歳)

カン・チュンサン(右 ペ・ヨンジュン 29歳)の高校生。

 

 

にわか雨が降ったら、身近なもので濡れるのを防ぎましょう。

実はこちらも、スンヒ(左 パク・ボヨン 27歳)

ウヨン(右 キム・ヨングァン 30歳)の高校生。

 

大人になったら、傘の用意を忘れずに。

 

大人になっても壊れたプランタをかざす、「知ってるワイフ」( 2018 tvN )の

チャ代理(左 チソン 41歳)と

ソ・ウジン(右 ハン・ジミン 36歳)

こちらは「初恋」だった過去が失われ、別の「現在」で出逢ったふたりという、ちょっと複雑な設定。

 

古典的なお語では、急な夕立には雨宿り。

雨が止むのを待ちましょう。

 

「秋の童話」( 2000 KBS2 )

若いジュンソ(左 チェ・ウヒョク)と

ウンソ(右 ムン・グニョン)

当時 13歳のムン・グニョンは、このドラマで「国民の妹」と呼ばれるように。

 

 

そう、学校近くの粉食店(ぷんしくちょむ 軽食堂/トッポッキ屋)でのデートも欠かせません。

 

粉食店の壁は落書きで一杯なのが定番。

一緒に来た記念に何かを書き残します。

 

「知ってるワイフ」のふたりも粉食店に。

失われた過去を象徴する、落書きの無いきれいな壁。

 

本当は思い出の店、過去の粉食店。

壁の落書きと共に、現在へとつなげなかった光景という訳です。

41歳の大学生と、36歳の高校生…

 

 

また、若いふたりには自転車のタンデム(二人乗り)が必要不可欠です。

 

「30だけど17です」( 2018 SBS )の

ウ・ソリ(左 シン・ヘソン)と

ユ・チャン(右 アン・ヒョソプ)も

やっぱりタンデム。

 

「君の結婚式」ウヨンと「30だけど17です」チャン、共通項は体育会系。

なのでどちらも、やたらとスピードを出したがる。

 

一転して「冬のソナタ」のチュンサンは、ユジンと景色の中をゆっくり走ります。

まあ、未舗装路というのもありますが。

 

ご記憶の方もいらっしゃるかと思いますが、

この場面のユジンの「タイタニックごっこ *1 」 

自転車の後ろで両手を広げたら落ちてしまうため、実際にはこうして撮影。

 *1「タイタニックごっこ」

 

1997年の映画「タイタニック」に由来

ローズ (ケイト・ウィンスレット)が

ジャック (レオナルド・ディカプリオ)に支えられ

両腕を大きく広げ「 I'm flying! 」と叫ぶ、あのシーン。

 

あまりにも有名なので、今では世界中に模倣者がいます。

1990年頃のユジンは ’97年の「タイタニック」は知らない筈。

なのでたまたま似ているだけ?

 

調子に乗ってもうひとつ。

「秋の童話」のウンソとジュンソも、やはり二人乗り。

 

日本では、法令により自転車の二人乗りが厳しく制限されるため、こうした画は撮れません。

 

 

「初恋」絡みのお仕事といえば、ウェーダー(胴付長靴)を着用した魚すくい。

 

最近ではウェーダー姿を見ると、「池の水全部抜く」かと思ってしまいます。

 

「2度目のファーストラブ (20世紀少年少女)」( 2017 MBC )のサ・ジンジン(ハン・イェスル)も、魚すくいに挑戦中。

 

手前の後ろ姿は、アイドルグループ出身のアンソニー *2 (イ・サンウ)

 *2;「アンソニー」

 

日本の漫画/アニメ「キャンディ・キャンディ」の登場人物、アンソニー・ブラウンに由来する芸名。

「キャンディ・キャンディ」は、韓国ドラマにおいて頻繁に引用される。

 

韓国ドラマにおける「キャンディ・キャンディ」の影響については昨年、相当に生煮えな記事を書きました。

あまりにもぐだぐだな長文で、自分で読み返しても何を言いたいのか、よく分からない(笑)

 

 

 

このように「初恋」という装置が十分に発動する「君の結婚式」ですが、そこで展開される出来事は、甘いだけとは限らないようです。

 

けれどもそれは、「初恋」として美化するだけでは済まされない、約束だの責任といった、現実との接点の模索かも知れません。

 

まあ、何だかかんだと言ってはみても、追憶や回想ってやつには、ほろ苦さがつきまとうのでしょう。

 

そういえば、「君の結婚式」には「初雪」が出てこない。

夏製作だったからとか、艶消しな事を言ってはいけません。

 

 

ついでにもうひとつ、パク・ボヨンとキム・ヨングァンは

映画「僕らの青春白書 (血沸く青春)」( 2014 )でも共演しています。

 

キャッチコピーが

「 1982年 忠清道を震撼させた 伝説の『テバク(吃驚)』事件!」

 

日本での劇場公開は 2016年。

ざっとこんなお話。

1982年、韓国中西部、忠清道 洪城(ちゅんちょんど ほんそん)

 

農業高校に通う不良女子学生ヨンスク(パク・ボヨン)は、プレイボーイのジュンギル(イ・ジョンソク)のことを幼い頃から思い続けていた。

 

そんなヨンスクに好意を寄せるクァンシク(キム・ヨングァン)は、ジュンギルのことが気に入らない。

 

そして、ジュンギルはソウルから転校してきたソヒ(イ・セヨン) *3 に夢中。

なんとか彼女を振り向かせようと躍起になっていたが…

 

「映画.com 」「僕らの青春白書」から引用、一部追記。

https://eiga.com/movie/81977/

*3 ; 韓国では、俳優に特定の敬称が付く事があります。
例えば 前回まで 記事にした「建築学概論」のペ・スジは「国民の初恋」
上記「秋の童話」のムン・グニョンは「国民の妹」
 
上記画像右端、子役時代のイ・セヨンの敬称が「ソウルからの転校生」
この映画での役柄もなんと「ソウルからの転校生」

 

ああ、どうして毎回、こうも長くなってしまうかなあ(笑)