この家でおこる、数々の怪異の原因は?ワシは4つの仮説を立てた。

一つは、この家に密かに生息している小動物達の生活行動によって起こされている現象。

二つ目は、なにやら、いわゆる「主」的な小動物の超自然的パワー(化かされる)によって起こされている現象。

三つ目は、人のとてつもない残留思念や霊的な現象によって起こされているもの。

四つ目は、神や妖怪等の類いによって巻き起こされた現象。

単純な思い違い、気のせいとするのは、ただ単に深く現象を解明しようとする事をあきらめているだけだ。現象には、必ず原因がある。火の無い所には、煙はたたん。

夜行バスで往復16時間、2万円の旅費をかけて来た成果を生まねばならん。
C氏は語る。
「確かに、その可能性はありますね。動物の中には、平気で人間を欺く奴等がいますから。私も子供の頃、祖父と山歩きをしていて狐に化かされている人を見かけました。山道で木にぶつかりながら、ひたすらエンジンを吹かしている車がいまして…。祖父が言うには、あれは狐に化かされているんだろうと。このあたりには○○と言う主がいるから、そいつの仕業に違いないと。そこで祖父と共に運転手に近づき、持参していたヨモギの葉を与えると運転手は正気に戻ったんです。」(ヨモギの葉は、山を仕事にしている地元の猟師であれば、誰もが持参していた気付け薬だそうです。)

C氏によれば、その運転手は木に相対していたという自覚が全く無く、アクセルを踏んでいるのに全く車が前に進まないので途方に暮れていた…と、話したそうです。

ワシはC氏に対して、この人はとんでもないホラ吹きか、とんでもない貴重な体験を持つ人物のどちらかだと、その時に確信したのです。
(このほかにも山での体験を色々聞きましたが、ここでは割愛します。)
午後11時、入浴。遠野は寒い。ところどころ、窓やドアの隙間がエアパッキンで目張りされているが、この建物の古さと寒さではやむを得まい。

震えながら、とにかく湯船に浸かる。生き返るようだ。と・・・、物音が聞こえる。コツコツ…ズルズル…と。天井からだ。真上は、もう一つの開かずの間…。家人がワシを驚かせようとしているのなら、手が込んでいるなと思う。その後も、音と気配は途切れ途切れではあったが、ワシが風呂場を出るまで続いた。

ワシがC氏に風呂場であった事を伝えると、
「そうですか。また運動会でもやっていたんですかね。」
と、大して驚く様子もなし。この人は、一体何が起これば驚くのか?と疑問に思う一方で、ある疑念が浮かんできた。

「もしかしたら、Cさんの家で起こっている不思議な事は、動物が原因じゃないですか?家の中に、蛇やネズミ、もしかしたら狸や狐等の小動物が住み着いていて、物音をたてたりしているのでは?」
ワシは聞いてみた。家は古いし、開かずの間はある。田舎で自然が豊富。可能性は高い。