ワシは、相変わらず襟首を掴まれて家の中をズルズル引きずられていた。
座敷わらしにしては、随分強引な事をするものである。こんな体験談、聞いた事がない。

そろそろ家の外だと思われた時、一瞬、視界に外の景色が入ってきたと思うやいなや、ワシは宙を跳んでいた!
相変わらず襟首を掴まれたまま、何者かによって家から引きずりだされ、遠野(と思われる)上空を飛行中!?視界のすみに、かすかに村明かりが見えるが、まるで流れ星のように見えるので、ワシは相当のスピードで跳んでいると思われる。
程なく着地。時間にして5分程か。家から5キロ程度は移動しただろうか…。

ワシは、とてつもなく大きな日本家屋の中に立っていた。まるでアニメ、千と千尋の神隠しに登場した旅館のような。ま、雰囲気は酷似している。

ワシの目の前には、先程から身長4メートルはあろうかと思われる、巨大な人影が立っていた。背が高く、顔がよく見えないくらいだ。
突然、その人影はワシに命じた。
「この家のどこかにマガダマの首飾り、金の指輪、宝石箱が置いてある。お前はそれらを探し、ここまで持ってこい!」
有無を言わさぬ、断固とした命令だ。ワシは、特に疑問を抱く事もせず、命じられるままに家中を探し始めた・・・。
恐怖感はない。

目を開こうとすら思えない。

ただ、そのまま。

寝ていたのか?

あるいは、何かにそう仕向けられていたのか?

今でもわからない。



銅鑼のかねの連打が止むと、ワシの周りをパタパタと畳の上を足取り軽く走り回っているような音が聞こえて来た!!
おまけに、女の子二人のものと思われる笑い声が…。「ウフフ~ウフフ~」と聞こえて来る。


「来た!!これがワラシかぁ?」



ワシは、興奮した。その間、1分程。

パタパタ音が止むと、今度はワシの掛け布団が3回に分けて…、



ズル、ズル、ズルと引き下げられた!さすがにこれには、若干の恐怖心が湧いたが、なかなかにワラシも悪戯好きよのぉ…と、ワシも冷静に戻った。



この間、ほんの2、3分だと思う。繰り返すが、ワシはこれらの現象を体験したが、一切目を開いて見たわけではない。

音を聞き、気配を感じ、掛け布団を下げられる感触があったという事である。



さあ、つぎは何が起きるのか?



と、突然!ワシはいきなり襟首をグィと掴まれ、上半身を起こされたような格好になりながら、部屋の中をズルズルっと強引に引きずられ始めた!



全く躊躇がない。断固たる意志。圧倒的な力強さで引きずられていた!!



しかし引きずられながら、ここでワシは物理的な矛盾に気付いた。

ワシは、壁を背にして寝ていたはずなのである。ありえないなぁ?何が起こっているんだ?と、かなり疑問に思いながらワシは家の中をズルズルと引きずられていた。



幾つもの、本来そこにあるだろう壁をすり抜けて引きずられ、もういい加減、家の外に出る頃合いである。
この家の調査をはじめてから2年。ブログ編集上割愛したが、今回で訪問は4度目になる。過去3回は、異音以外に具体的な怪異はなかった。

今晩は初めて、ワラシを祭ったという人形のある部屋に就寝させていただく事になった。これももしかしたら、C氏がワシの本気をやっと理解していただけた成果なのか?

就寝開始時間は、深夜1時。直前まで風呂であった事や、これまでC氏が体験してきた事を話した。

いよいよ就寝である。ワシがうとうとしはじめると(恐らく30分程経過)、突然耳元で大音響で銅鑼のかねが鳴り始めた!

グワン~グワン!!と、ありえない大音響である!その時、ワシが正気でおれば間違いなく目を開いて半身で起き上がり、周りを確認したはずた。

しかしワシは、理由は解らんが、何も行動を起こす事もせず、なすがままに身を任せた…。