ある時、久しく会っていない小学校の同級生から電話がかかって来た。
話の内容は、
「引っ越しで荷物整理するから、おもちゃ引き取ってくれない?」
との事。
彼は、僕が玩具に関係する仕事に就いている事も、
チョロQをコレクションしている事も知っていたので、
捨てるのは勿体無いと思ったらしく、使える物があれば
引き取ってほしいという事だった。
彼の弟が結婚し、実家に住む事になったらしく、
自分が使っていた部屋を空けなければならないそうだ。
小中学生の時に買った物がほとんどだというので、少し期待して見に行ってみた。
家につくと、作業はだいぶ進んでいて、彼の言う「おもちゃ」は、
大きな段ボール箱に詰められていた。
中を確認すると、半分近くは未組立のプラモデルで、
あとは超合金、GIジョー、モデルガン、ミクロマン、ダイアクロンなど。
同級生だから遊んだ物は大体同じ、どれも懐かしい物ばかりだ。
ただ、ほとんど遊び倒した物なので、状態は良くはない。
「もしかしたらチョロQもあるんじゃないかな?昔弟が持ってたよ」
と言ってはいるが、たとえ入っていたとしても、
この箱に詰められた状態では、完品は期待出来ない。
一方、未組立のプラモデルは、「仮面ライダー」「マカロニほうれん荘」
「ドカベン」「ウルトラマンエース」など、今となっては「まんだらけ」辺りに行かないと
見る事もないような貴重な物ばかりだった。
ゴチャゴチャと詰められていたので、他に何があるのかは判らなかったが、
引っ越し用の大きな段ボール箱2つ分あるので、
ガラクタと言えどもそれなりのお値打ち品もありそうだ。
小一時間立ち話をしてから、荷物を車に載せて帰宅した。
パーツもバラバラに収められていたので、
それを拾い上げながら分類して整理していくしかなかった。
上の方には大きな物、底面には細かいパーツなどが散乱している。
普通細かいパーツなどが散乱すると、
何に使われていた物か判別出来ない事の方が多いが、
かつて自分も所持していた物に関しては記憶を甦らせ、
見たことが無い物は勘が頼り。
仕事上見た事がある物もいくつかあるので、比較的分類は容易く出来た。
大きな本体を取り出して、細かいミサイルパーツやプラモデルの破片を
分類しながら分けていると、チョロQのタイヤとホイールが見つかった。
確かにチョロQはあったようだ。
他にもゼンマイが壊れた後輪や、
ボディとシャーシを止めるビスがいくつか見つかった。
結局、チョロQ本体は見つからなかったが、その中に、PP製部品を一つ発見した。
それは紛れもなくチョロQのソアラに着いているオレンジ色のカートだった。
それを拾い上げ、数年前にフリマで入手したソアラを思い出し、
コレクションケースから出して来た。
そのカートを、パーツの無いソアラに着けてみると、やはりピタリとはまり、
数年間ルーフに穴が開いたままのオレンジソアラは、
とりあえずは元通りの形になった。
しかし、やはりパーツの色まで正確な物がいつかは欲しい。
それが見つかるまでの間は、この状態で我慢するしかない。
実際には、このソアラのパーツは何色なのかが知りたくなり、
昔のカタログを掘り出して来て、黄色のソアラを確認してみたら、
驚いた事に貰ったカートはイエローソアラ用のオレンジ色だった。
見知らぬおじさんがフリマで売っていた部品の欠けたチョロQと、
友人の家に20年近く埋まっていたパーツ。
お互いに見つかっただけで良しと思っていたが、色まで合ってしまうとは、
まるで元々一緒だったものが、どこかで分裂して数年後に再会したようだ。
これでもう新しい物は必要ない。
その黄色のソアラは、今も変わらず僕のコレクションケースの中で落ち着いている。

