危険地帯Ⅰ | CHOROQ COLLECTOR’S BLOG

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発足から今年で33年目のチョロQコレクターズクラブ代表が綴るブログです。ここ数年はトミカとホットホィールにハマリ中。時々韓ドラとK-popネタやハワイネタも挟みます。

京都から一時帰宅していた鎌倉の友人から、いつものように電話が来た。

「Yっていう所にあるおもちゃ屋にいろいろあったよ。

そっちの分残しといてやったから行ってくれば」

彼は僕より4歳若い。この横柄な態度は何とかならないものか…

それはさておき、先ずは行ってみる事に。


都内とはいえ、聞いたこともない土地に行くには地図が必要だ。
いつものように地図を助手席に開きながら、目的地へ向かった。

そこは東京の下町、人情があふれ情緒ある場所ではあるが、

ここはちょっと違った。

道を走っていると、ホームレスが道路に飛び出してくるのだ。

危うく跳ね飛ばすところを何とか回避して車を停めた。


車から降りて、そのホームレスの所へ行き、 


「お前何考えてんだ!」


と怒鳴りつけると、なんとそのホームレスは


「すまんすまん、兄ちゃん来週返すから金貸してくれよ」



「???」


来週には返すから金を貸せと何度も言いながら追いかけてくる。

さすがに気持ち悪いと思ったので無視してその場を走り去った。


後で聞いたことだが、ここのホームレス達は、大怪我をしない程度に

車にぶつかり、示談金を巻き上げる事を生業としていたらしい。
尋常では考えられない事だ。

気分を新たに目的地へ向かった。
所在地付近へ到着したので、一度車を止めて、

いつものように徒歩で探そうとしたその時だった。

車を停めたと同時に、僕の車を追い越し、

僕の車のすぐ前に急停車した車が一台いた。


「何だ?」 と思っていたら、車内から、 

いかにもそのスジの風貌をした若い男が降りてきた。
パンチパーマにサングラス、金の太いネックレスとエルメスばりの柄シャツに

縦縞スラックスで足元はエナメル靴。

その笑ってしまいそうなくらいの衣装を身につけた男が、

運転席側から声をかけてきた。

「兄ちゃんちょっと協力してもらえんかね?」

「?」

何の事だか解らないが、


「いいけど何を?」


と返すと


「ちょっと待ってな」


と言って車に何かを取りに戻った。

目の前に車を止められ逃げる事は出来ない。
嫌な予感はしたので、現金とクレジットカードはすぐに座席の下に挟み入れ、

そして犯罪者撃退用として常備しているステンレスの棒を、床下から引き抜いて、

天井のロールバーの隙間に差し込んだ。


すぐに戻ってきた彼は助手席に乗り込みこう言って来た。

「兄さん若いから知らないかもしれないけどバッタ商品て知ってる?」

僕を見て若いと言うが、その男はおそらく見た目からすると僕より年下だろう。


いやぁ懐かしい。押し売りってやつだなこれは!
昔は家に無理やり入ってきて、脅しを利かせ高額商品とか

ゴム紐を買うまで帰らないってヤツだ。

商品を見ると、使わない物ばかりが目立つ。中にはそれなりの物もあるが、

今時カフスボタンやらネクタイピンは無いだろう。


高級栓抜き?どこがどう高級なのだろう?


昔と違って、ナイフなどの刃物で脅すと恐喝罪でヤバくなる事は知っているようで、

穏便に話を進め、商品を説明している。

僕も内容は理解したので


「ああそういう事か、そんな金は無いよ」


と突っ跳ねると、


「まあいいから。じゃあ財布見せてみな」


来ました、お決まりのセリフ。

「何で?だから金はねーよ」


そう言うと、態度が急変した。

「おめぇよぉ、さっき協力するっつったじゃねーかよ、ふざけんじゃねーぞコラ」


デカい声を出されると僕も反射的に同じテンションになってしまうので、

「買い物しろなんて言われてねーぞボケ、

協力っつっただけじゃねーか、やんのかコラ」


と切り返しながら天井に挟んだ棒に手をかけた。

すると意外にあっさり


「んだょこのクソ!」


と捨て台詞を吐きながら僕の車から降りていき、去って行った。

彼らはこのように、大事にならないくらいに軽く脅しをかけて、

金を巻き上げる手法を取っていたのだろう。


しかしあの服装では…確かにいかにもなのだが、見方を変えると、

その昔とんねるずの石橋貴明がやっていたダンサー・ストロベリーのようで、

どちらかというと笑いをこらえる事の方が大変で、

鼻から息が漏れるのを必死で我慢していたのだった。

凶器やスタンガンを使われていたらヤバかったとは思う。

僕の車は目立つので、ここに停車して離れるとボコられるかもと思い、

少し移動して人通りの多い商店街の入り口付近に止める事にした。

よく見ると、その商店街は偶然にも目的の店がある所。

お陰でほとんど歩かずに済んだ。


続く。