さて、今回はCHET BAKERへ捧げられたレコードを紹介してみたいと思います。今回の盤は、アルト・サックスとピアノ、名手2人のデュオによる繊細な1枚であります。

「SOLITUDES」 (philology)
CHETの旧友でもあるLEE KONITZ(アルト・サックス)と、ENRICO PIERANUNZI(ピアノ)という名手2人によるデュオ編成で、1988年の録音であります。KONITZは、クールな演奏をするトリスターノ派のアルト・サックス奏者として有名です。CHETとのつきあいも50年代の初めからあり、旧友の1人でもあります。ピアノのPIERANUNZIは、79年の暮れにCHETと出会い、晩年の重要な共演者の1人でした。彼は音数の多い饒舌なスタイルの演奏をしていましたが、CHETの影響で、間と静寂を活かした繊細な演奏をするようになりました。CHETにとって最後のスタジオ録音となった「LITTLE GIRL BLUE」(philology)ではピアノ・トリオ編成で、その前日に吹き込んだ「THE HEART OF THE BALLAD」(philology)ではソロ・ピアノで共演しており、CHETの最晩年の秀作2枚に大きく貢献しています。本作で共演しているKONITZとも、以前紹介記事を書いた「BLEW」(philology)ではピアノ・トリオで、そして本作ではソロ・ピアノで共演しており、編成の面からもCHETとの共演を意識していることが伺えます。デュオで奏でられる本作では、冒頭の「HOW HIGH THE MOON」から「EMBRACEABLE YOU」、「WHEN I FALL IN LOVE」と、CHETも愛奏した美しいバラードが続きます。「MY OLD FLAME」など、メロディが解体されてコード進行だけが残っている曲もあります。スタンダード曲が並んでいますが、1曲だけPIERANUNZI作曲による寂しげな雰囲気の「CHET」というオリジナル曲が入っています。アルバム全体を通して、リズム隊のいないデュオ編成ということもあり、多くの余白があります。晩年のCHET同様、間と静寂を活かした繊細な演奏になっていて、聴き応えがありますよ。
みなさま、ぜひ「BAKER」へお越しくださいませ。初めての方もお気軽にどうぞ。お待ちしております。
Bar BAKER
日野市多摩平1-5-12 タカラ豊田ホームズ107