さて、今回はCHET BAKERのレコードを紹介してみたいと思います。今回の盤は、名門prestigeレーベルへ吹き込んだマラソン・セッションからの1枚であります。

「ON A MISTY NIGHT」 (prestige)
CHET(フリューゲルホーン)、GEORGE COLEMAN(テナー・サックス)の2人がフロントを取り、KIRK LIGHTSEY(ピアノ)、HERMAN WRIGHT(ベース)、ROY BROOKS(ドラムス)によるリズム隊を加えたクインテット編成で、1965年の録音であります。これらは、3日間で32曲吹き込んだマラソン・セッションの一部であり、当時は5枚のLPに分けて発売されました。現在では、以前紹介記事を書いた「LONELY STAR」、「STAIRWAY TO THE STARS」と、本作「ON A MISTY NIGHT」の3枚のCDにまとめられています。60年代半ば、CHETはトランペットではなくフリューゲルホーンを吹いています。トランペット奏者がやわらかな表現を求めて持ち替えることが多い楽器ですが、CHETの場合は、もともと音色がやさしいので、あまり違いは感じられません。CHETとGEORGEは音楽的相性もよく、しっかりと噛み合った演奏を聴かせますし、リズム隊もアップ・テンポからバラード、3拍子のワルツまで、堅実にリズムを刻んでいます。曲目を見ると、スタンダード曲はなく、他では聴かない曲ばかりが並んでいます。ピアノのKIRKによると、リハーサルは全くなく、演奏陣がレコーディングしているブースの外で、作曲陣が次に吹き込む曲を書いていたそうです。そして書きあがった曲を次々にレコーディングしていったわけで、まさに「マラソン・セッション」と呼ぶにふさわしいですね。4ビートの曲が並んでいるなかで、「BOUDOIR」、「ETUDE IN THREE」の2曲は3拍子のワルツなので、耳に残ります。また、タイトル曲「ON A MISTY NIGHT」では、ミュート(弱音器)をつけてフリューゲルを吹いており、スローな曲調とあいまって、心に沁みる演奏になっています。他の2枚と合わせて、このマラソン・セッションをじっくりと聴き込んでみるのも興味深いですよ。
みなさま、ぜひ「BAKER」へお越しくださいませ。初めての方もお気軽にどうぞ。お待ちしております。
Bar BAKER
日野市多摩平1-5-12 タカラ豊田ホームズ107